2012年度「近未来チャレンジ」選考過程、結果


[2012年8月7日追記]
「Total Environment for Text Data Mining」の一部の評点を実際より低く誤記しておりました。
関係各位にご迷惑をお掛けしましたことをお詫びするとともに、ここに訂正させて頂きます。

1. 選考対象

今回の選考対象は、以下の4件である。
  1. マイニングによる大規模 Web オントロジの実現 (最終サバイバル)
  2. Total Environment for Text Data Mining (サバイバル2回目)
  3. ソーシャルビジネスの為のプロジェクトマネジメント (ニューチャレンジ)
  4. 異種協調型災害情報支援システム実現に向けた基盤技術の構築 (ニューチャレンジ)

2. 選考基準

会場アンケートの結果に、担当の選考員の意見を加味して、来年度に残すか否かを選考する。 選考の基本方針として、特に、第1〜2回目のサバイバルについては、 「良いところを見る」という方針で選考する。以下に、今回採用した選考基準を示す。

<ニューチャレンジの選考基準>
総合評価が優れている (4.0以上) であることを前提に、

の2つの評価項目のいずれか一つに優れた点 (3.0 以上) があればサバイバルとする。但し、上記の条件を満たす場合であっても、 2つの評価項目に、サバイバルとするのに問題となる点 (3.0 未満)があれば、別途、アンケートのコメントの中身、審査員の意見を検証して決める。 (今年はニューチャレンジセッションに加え、 インタラクティブセッションでもアンケートを集計した。 インタラクティブセッションで使用したアンケート用紙は、 ニューチャレンジセッションで使用したものに「話題に上らず」という選択肢を追加した。 結果として、一つも「話題に上らず」は選択されなかったため、 ニューチャレンジセッションとインタラクティブセッションのアンケートはそのまま合わせて選考を行った。)

<1〜2回目のサバイバルの選考基準>
総合評価が優れている(4.0以上)であることを前提に、

の3つの評価項目のいずれか一つに優れた点(3.0以上)があればサバイバルとする。但し、上記の条件を満たす場合であっても、3つの評価項目に、サバイバルとするのに問題となる点(3.0未満)があれば、別途、アンケートのコメントの中身、選考員の意見を検証して決める。

<4回目のサバイバルの選考基準>
総合評価が優れている (4.0以上) であることを前提に、

の3つの評価項目のいずれか一つに優れた点 (4.0以上) があればサバイバルとする。但し、上記の条件を満たす場合であっても、3つの評価項目に、サバイバルとするのに問題となる点 (3.0未満)があれば、別途、アンケートのコメントの中身、選考員の意見を検証して決める。

3. アンケート集計結果 (青塗りつぶしは基準未満を示す)


表1: アンケート結果


図1: アンケート結果グラフ (サバイバル)


図2: アンケート結果グラフ (ニュー)

4. 選考結果

  1. マイニングによる大規模 Web オントロジの実現 (最終サバイバル)
    集計の結果、総合評価がサバイバルの基準を満たしていない。 これはアンケートに寄せられたコメントにも多くあるが、 チャレンジを始めた4年前とは状況が変わり、 現在はWikipediaを使った研究はそれほどチャレンジングなものではなく、 むしろ実用化に着目した研究に他のWikipediaを使った研究もシフトしている傾向となっている。 また、発表件数も5件と決して多くはなく、 課題に対する取り組みは重要ではあるものの研究件数が少なくなっている可能性がある。 (一方で、上記の集計結果において、社会へのインパクトについては点数が低いものの、 5つの項目に対して、3.5点以上を非関係者からの集計結果からも得られている。)
    以上のように、サバイバル基準を満たさないため、残念ながら「サバイバル」失敗とする。

  2. Total Environment for Text Data Mining (サバイバル2回目)
    オーガナイザらは全国大会に先立ち、TETDMアプリケーションのインストールから活用までを紹介するwikiサイト(http://tetdm.jp/pukiwiki/index.php?TETDM)を立ち上げた。このサイトでは一般利用者向けと開発者向けの両面で説明がなされており、利用者の拡大およびアプリケーションの有する機能の拡充など普及にあたって重要な役割を果たすことが期待される。今後は類似プロジェクト(UIMA、gephiなど)に対する優位性を示すことあるいは、差別化を図ることなどが期待されている。
    集計の結果、全項目において基準を満たした。よって「サバイバル」とする。

  3. 異種協調型災害情報支援システム実現に向けた基盤技術の構築 (ニューチャレンジ)
    大災害が起きた場合に、生き残っている設備を活用して短時間に情報支援システムを構築しようという取り組みである。2011年の大震災を受けて企画されたテーマであり、チャレンジが実を結べば、人工知能学会として社会に多大な貢献をできると考えられる。
    集計の結果、全項目において基準を満たした。よってチャレンジテーマとして採択とする。

  4. ソーシャルビジネスの為のプロジェクトマネジメント (ニューチャレンジ)
    グループ内のコミュニケーションから抽出した「指標」を基に、グループでの課題遂行を支援できる枠組みを作ろうという提案である。ニューチャレンジャーは、学生として勉学に励みながら、社会問題への関心を啓発する任意団体を立ち上げ活動を行っている。今回は、その団体で行った予備的な実験結果をもとに発表を行ったが、人工知能との結びつきの弱さを指摘する意見も散見された。
    集計の結果、どの項目においても基準を満たせなかった。よって残念ながらチャレンジテーマとしては採択しない

付録: 各テーマへのコメント

  1. 「Wikipediaマイニングによる大規模Webオントロジの実現 (最終サバイバル)」へのコメント
  2. 「Total Environment for Text Data Mining (サバイバル2回目)」へのコメント
  3. 「異種協調型災害情報支援システム実現に向けた基盤技術の構築 (ニューチャレンジ)」へのコメント
  4. 「ソーシャルビジネスの為のプロジェクトマネジメント (ニューチャレンジ)」へのコメント