人工知能は,人の知能に倣って人に役立つ装置やシステムを創る学問分野だといわれてい
    ます.産声をあげた'60年代は,自然言語処理, パターン認識, 学習といったいくつかの
    キーワードで大方の人工知能研究を見渡すことができました.それ以降の歴史は,多様化
    と専門化のくり返しであったといっても過言ではありません. 多様化に関しては,例え
    ば本大会の論文募集・論文該当分野をご覧頂きますと,その辺の事情がよくわかります.

    当初は知識中心であったものが,芸術, 感性情報処理といった項目も含むようになりま
    した.近年は,e-コマース,e-learningなどの項目も見出され,社会の事情をよく反映
    しています.一方専門化に関しても,例えば知識表現,推論,学習理論などのしっかり
    した基礎理論の枠組みが出来て参りました.横幅も奥行きも拡大し,本学会の成長が伺
    われます.

    このような時期にあって昨年は,全国大会がはじめて松江で開催され,地方大会として
    成功裡に終了しました.今年は再び中央に戻ってきまして,従前に近い東京大会という
    ことになりました.見かけは従前に近い,ようでありますが,プログラム委員会は事務
    局とともに2,3大切な基盤整備に取り組みました.本学会が上記のような成長,発展
    を遂げるためには,それを支える基盤が大切です.具体的には発表申込,論文受付,論
    文集作成,会場サービス,大会記録などに関して,本プログラム委員会独自の工夫や機
    械処理化を進めました.本年直ちに,会員,その他の参加者のみなさまに目に見えての
    サービス向上にはつながりませんが,プログラム委員一同,本年が基盤整備の元年とな
    るよう取り組んだ積もりです.

    裏方として,参加者の方々にあまり不自由なく,ごく自然に大会を楽しんで頂けること
    を願う,本大会であります.


    2002年5月

    人工知能学会大16回全国大会
    プログラム委員長

    岡田 直之