AIレクチャー

AIレクチャー1:ツールボックス

河原 達也

李 晃伸

  • タイトル:”音声認識ソフトウェアJulius”
  • 日時:2011年6月2日(木) 9:00-10:30(90分)
  • 講演者:
    • 河原 達也(京都大学)
    • 李 晃伸(名古屋工業大学)
  • 概要:
    Juliusは音声認識のフリーソフトウェアとして1990年代後半に開発され,継続的に機能拡張・性能改善が行われている。当初は大語彙連続音声認識(ディクテーション)の研究基盤として主に研究者に利用されていたが,その後様々なアプリケーション開発に展開されている.特に,2008年以降のバージョンであるJulius 4では拡張性・柔軟性が大きく向上している.本講演では,Juliusの基本的なコンセプトと利用法について,デモをまじえながら解説する.

 
 
 

AIレクチャー2:先端AI
(注:本講演はキャンセルとなりました)

後藤 真孝
  • タイトル:”音楽情報処理最前線: 能動的音楽鑑賞インタフェースと歌声情報処理システム”
  • 日時:2011年6月2日(木) 10:40-12:00(80分)
  • 講演者:後藤 真孝(産業技術総合研究所)
  • 概要:
    音楽の楽しみ方の未来は,音楽情報処理技術によってどのように切り拓かれていくのだろうか.世の中のすべての音楽はデジタル化される宿命にあり,いつでもどこでも好きな音楽を大量に聴ける時代が到来した.従来は,音楽は受身で聴くことが多かったのに対し,これからは,もっと自分の好みに合わせて自在に音楽を楽しむことが可能になっていく.本招待講演では,音楽を鑑賞する場面,制作する場面の両方において,音楽情報処理技術がどのように新たな可能性を切り拓いていくのかを議論する.例えば音楽鑑賞では,「能動的音楽鑑賞インタフェース」と名付けた一連の研究の中から,楽曲の構成を自動的に分析・理解して「音楽の地図」を作ることができるサビ出し機能付き音楽試聴「SmartMusicKIOSK」等,音楽の自動理解技術に基づく様々なインタフェースを紹介する.音楽制作では,「歌声情報処理」と名付けた分野から,人間の歌い方を真似て自然な歌声を合成できる歌声合成技術「VocaListener(ぼかりす)」等を紹介する.エンドユーザが直接恩恵を受けるような音楽情報処理は,これから大きく発展していくことが期待される.

AIレクチャー3:研究会紹介(1)

藤波 努
  • タイトル:”身体知研究会のご紹介”
  • 日時:2011年6月3日(金) 9:00-9:45(45分)
  • 講演者:藤波 努(北陸先端科学技術大学院大学)
  • 概要:
    身体知研究会は高度な技に着目して,体の動かし方,技の構造,感覚,意識,さらに熟練者特有のものの見方などに取り組んでいます。身体知とは,完全に言語化することはできないが「やり方」や「動き方」を知っていること,それらを可能にする感覚を持っていること,そして潜在意識の中で判断していることなどを意味します.トップアスリートや優れた演奏家は一般人にはない感覚を持っていたり,普通の人にはない鋭敏な意識で動きを制御したりしています.本研究会ではこれらの現象からどのようにデータを取り出すか,集めたデータをどのように分析するか,そして得られた結果をどのように解釈すべきかなどを話題としています.またそのようにして得られた知見を実際のコーチングや教育,訓練,練習方法にどのように生かしていくか.さらに人工物の設計にどのように生かしていくかといったことにも関心をもって取り組んでいます.人工知能の研究としては,文脈の影響による多様性,問題定義の困難さなどが特徴であり,身体知研究を通してこれらの点の解明に貢献できるものと考えています.

AIレクチャー4:研究会紹介(2)

加藤 恒昭
  • タイトル:”情報編纂研究会が目指すもの”
  • 日時:2011年6月3日(金) 9:45-10:30(45分)
  • 講演者:加藤 恒昭(東京大学)
  • 概要:
    情報編纂は「様々な情報を編集・編纂して,わかりやすくしよう」という技術で,特に,対話的・探索的に情報を探し出す中において,場面と利用者に適した形で情報を示すことで,その過程を支援することを目的としている.情報編纂研究会は本大会近未来チャレンジから発展した研究会で,その目的は,この情報編纂技術に対して,研究分野としての特徴づけ,インフラの構築,評価の枠組みの提案等をすすめることにある.その一環として現在は,関連分野のチュートリアルや情報編纂に関わる研究報告を中心としたシンポジウムを開催して情報発信を続けている,そして,情報アクセス技術研究の促進を目的とした評価ワークショップ・シリーズであるNTCIRに,情報可視化を用いた対話的探索の評価方法を検討するためのパイロット・タスク VisExを提案し,そこでの活動を通じて,インフラの構築,評価の枠組みの検討を進めている.本講演ではこれらの活動を紹介し,それを通じて情報編纂研究会が目指すものを明らかにする.