2011年度人工知能学会大会開催決定のお知らせ

2011年度人工知能学会大会開催決定のお知らせ

2011年5月6日
人工知能学会
会長 西田豊明
大会委員長 山口高平
プログラム委員長 間瀬健二
実行委員長 山川 宏
現地運営委員長 榑松理樹

2011年度の人工知能全国大会は,大震災で開催が危ぶまれましたが,当初の予定の日程・場所で開催することを決定しました.

大会委員会では,3月29日時点でお知らせした条件が,つぎのとおりほぼ満たされていると考え,理事会にもはかり開催することを決定しました.ただし,今後大きな余震に見舞われて被害が関係各所に及ぶなど事態が急変した場合は,即座に中止する考えです.

幸い,盛岡市は大きな被害に遭わず,会場のアイーナは4月上旬より平常運営を開始しています.アイーナは免震構造で,防災の備えも確認済みです.東北新幹線が50日もかからずに全面復旧したのは奇跡的です.また,多くのホテル,小岩井農場も平常営業をしており受入体制は万全です.このゴールデンウィーク中は,ボランティアツアー客などで市内のホテルは満室になるほど活況とのことです.余震については,4月上旬に大きな余震を観測してからは,次第に少なくなってきており,全体的には,M7.0以上の大きな余震が発生する可能性は少なくなってきましたが, 今後もまれに大きな余震が発生することがあるとのことです.福島第一原子力発電所については,関係者の努力で作業がつづいていますが,いまだ安定した状態とは言えません.また,当初の放射能物質の拡散量が多くレベル7評価に引き上げられましたが,幸い,東北新幹線が通過する50km圏が新たな避難区域になる事態にはなっていません.放射線量の報告や報道から小康状態にあると判断します.

今回の大会は,自然の前に科学技術の脆さや危うさを見せつけられ,技術立国である日本の社会全体が不安定な状況に立っています.万全の備えを求めれば,会議を中止することもひとつの方策ですが,いま,人工知能研究者が集って大震災と向き合い,科学技術の方向性について議論することが必要であると考え,開催を決定しました.

今回の開催においては,人工知能研究者として,この危機から学び,未来に進む一歩としたいという思いから,緊急企画として,「大震災と向き合い,どう取り組むか」というテーマでパネルセッションを企画するとともに,復興会議委員を交えて,「大震災復興と科学技術の役割」について討論する予定です.さらに,確定ではありませんが,実際にICTを使って支援活動された方をお招きして討論できればと思っております.

参加予定者の中にはご自身やご家族・友人が震災に遭われ,困難の中におられる方もいらっしゃると思います.また,余震への注意や福島第一原子力発電所の状況をみて,不安に思い,東北地方への旅程を控えたいと考えておられる方もいらっしゃるでしょう.この地域への旅行は控えるように通達がでている会社や大学の組織もあると聞いています.開催する限りは,多くの方にご参加いただきたいと思いますが,それぞれの状況のなかで,けっして無理はなさらず,参加・不参加のご判断をしていただきますようお勧めします.

参加者の皆さんには復興に是非一役買いたいという思いもありましょうが,盛岡市の状況では,自然体で十分ではないかと考えます.学会参加のスケジュールに合わせてボランティア活動を検討されている方は,事前に現地のボランティアセンターに問い合わせてからおいで下さい.

現地ホテルの予約状況は変動的です.早めのご予約をお勧めします.皆様の旅行中の無事をお祈りしつつ,元気に盛岡でお会いできることを願っております.