第101回人工知能学会 言語・音声理解と対話処理研究会(SLUD)の開催日が近づいてまいりましたので、ご案内いたします。

今回は通常の一般セッションに加え、特別セッション「キャラクターの言語と対話システム」を設けています。
本特別セッションでは、『「方言コスプレ」の時代 ニセ関西弁から龍馬語まで』『方言萌え!? ヴァーチャル方言を読み解く』(岩波書店)などのご著書でも有名な日本大学の田中ゆかり先生による招待講演を予定しています。

参加には《事前登録》が必要です。
皆さまふるってご参加くださいますよう、よろしくお願いいたします。

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第101回 言語・音声理解と対話処理研究会(SLUD)

日時:2024年9月9日(月)、9月10日(火)

会場:名古屋大学 オークマ工作機械工学館 講義室
    〒464-8603 愛知県名古屋市千種区不老町
    https://www.engg.nagoya-u.ac.jp/access/

参加費:無料

参加資格:特になし(人工知能学会および本研究会非会員の方でも参加可能)

参加方法:以下のWebページより事前登録をお願いいたします。(〆切:9月6日(金))
https://www.ai-gakkai.or.jp/sig-system/sigusers/add/slud/slud101

資料集:冊子もしくは電子版で提供いたします。
[SLUD研究会登録会員] 
     冊子を郵送(発行日:8月27日(火)以降)
     J-STAGEの掲載(発行後1年以内は認証要)も無料で閲覧可能
     認証のための購読者番号やパスワードはオンライン会員情報管理システムにログインし「学会からのお知らせ」にてご確認ください。
     https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jsaislud/-char/ja
[人工知能学会学生会員]
     電子版(無料)【申込先:https://forms.gle/zjrUNQEfiHFcCbLP6】
     申込締切:8月26日(月)
[上記以外]
     電子版(1,650円)(STORES)
     【通販サイト:https://jsaioffice.stores.jp/ 】
     販売開始日:8月27日(火)

     冊子(2,200円。送料・発送手数料・消費税を含む)
     【申込先:https://forms.gle/zjrUNQEfiHFcCbLP6】
     申込締切:8月26日(月)
     ※販売数には限りがございますのでお申し込み順となります。

問合わせ先(担当幹事):宮崎千明(ソニーグループ株式会社)
Email: jsai-slud-info(at)googlegroups.com

備考:
情報保障等特別なサポートを希望される方はご相談ください。可能な範囲で対応致します。

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プログラム(発表は目安として発表20分、質疑10分)

【1日目:9月9日(月)】

10:25-10:30 オープニング

10:30-12:30 一般セッション1(4件)

1. LLMによる仮説形成的スロット生成を用いたキャリア面談対話システム
橋本慧海, 中野幹生, 櫻井崇貴, 白松俊(名古屋工業大学), 駒崎俊剛(東京医療保健大学), 土屋志保(北里大学病院)

2. ChatGPTを用いた療法士面接練習システム
山本雄樹, 西田昌史(静岡大学), 田中悟志(浜松医科大学)

3. オンライン会議動画に対する顔の類似度の時間変化を用いた話者分離手法
髙瀬悠太, 春日宥一郎, 大野正樹, 橋本泰一(株式会社RevComm)

4. 母語が未発達な双子の赤ちゃんの会話における固有値、骨格移動距離、基本周波数、音響インテンシティレベルの時系列の相互相関
大木仁史(フリー)

12:30-13:30 休憩

13:30-14:30 招待講演

5. 写し鏡としての「方言キャラ」
田中ゆかり 先生(日本大学)

14:30-14:45 休憩

14:45-16:45 特別セッション「キャラクターの言語と対話システム」(4件)

6. テレビアニメにおける女子高校生キャラクターの性格類型ごとの発話機能と表現形式の特徴
佐藤茉奈花(東京外国語大学)

7. 人物像を演じる際に用いられる文末表現と音声的特徴
勅使河原三保子(駒澤大学)

8. キャラクターらしさを醸し出す意図と発話の生成手法
保土沢朋和, 村井源, 富田真生, 奥山凌伍, 金刺智哉(公立はこだて未来大学)

9. ライブ配信するAIキャラクター:実況配信型キャラクター対話システムの取り組みと課題
佐藤浩輔, 頼展韜(株式会社バンダイナムコ研究所)

16:45-17:00 休憩

17:00-18:00 一般セッション2(2件)

10. 応答の発話順番で使われる「たぶん」「まあ」に関わるオーバーラップ現象
白楊, 伝康晴(千葉大学)

11.  日本語日常会話における「長い文」の検討
臼田泰如(静岡理工科大学)

19:00- 懇親会@栄周辺
    (会費 学生:4000円、社会人:5000~6000円(予定))

【2日目:9月10日(火)】

10:30-12:00 一般セッション3(3件)

12. 間投助詞・終助詞使用率と自閉傾向の相関分析 ―『日本語日常会話コーパス』に基づいて―
鈴木あすみ(国立障害者リハビリテーションセンター研究所/東北大学), 幕内充(国立障害者リハビリテーションセンター研究所), 小磯花絵(国立国語研究所), 木山幸子(東北大学), 中村仁洋(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)

13. 画像認識を用いた日本語日常会話コーパスへのマルチモーダルアノテーションの検討
森大河, 伝康晴(千葉大学)

14. 日本語のライブストリーミングにおける「テキストの滝」をめぐって
落合哉人(国立国語研究所), 新山聖也(筑波大学)

12:00-13:00 休憩

13:00-15:00 一般セッション4(4件)

15. 人はロボットとのコミュニケーションに何を求めるのか:実際の家庭をフィールドとして
白井宏美(FCL/ベルリン自由大学)

16. 知覚的デザインとしての言語の諸相 生態学的言語分析の方法論の確立に向けて
井上拓也(京都工芸繊維大学)

17. ネステッドビリーフに基づく共同行為制御
寺尾光一郎(岡山県立大学), 相良陸成(静岡県立大学), 岩橋直人(岡山県立大学)

18. 生成系AIへの知識注入におけるPromptの種類と効果の関係について―人文系知識の場合―
王棟(東京外国語大学)

15:00-15:15 休憩

15:15-16:15 一般セッション5(2件)

19. 移動販売サービスにおける地域高齢者らの相互行為:「商品を見ること」をめぐる共在状態の組織化
酒井晴香(東京国際大学), 坂井田瑠衣(公立はこだて未来大学)

20. 感動詞「ふうん」と「へえ」の用法
加藤恵梨(愛知教育大学)

16:15-16:25 クロージング

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招待講演
講演者:田中ゆかり 先生(日本大学)
タイトル:写し鏡としての「方言キャラ」
要旨:
 キャラクター造形に際しての重要なポイントの一つに、キャラクターにどのような「ことば」を与えるか、ということを指摘できる。登場人物を台詞で「キャラ付け」するには、〈標準語〉にキャラクター性を繰り出すための「キャラ助詞」(定延利之2005『ささやく恋人、りきむレポーター』岩波書店)を付す、あるいは特定の非〈標準語〉変種を与えるという二つの方法がある。この場合における非〈標準語〉とは、仮想の方言であるヴァーチャル方言を指す。
 ヴァーチャル方言とは、現実の生活の中で用いられるいわば「素の方言」であるリアル方言に対して何らかの水準で加工・編集が施されたものである。ヴァーチャル方言は、リアル方言同様に特定の地域と結びつく地域方言変種と社会の位相を反映する社会方言を含む。本講演では、このうち地域方言変種に由来するヴァーチャル方言によって造形される「方言キャラ」に着目し、主に戦後日本語社会における方言と共通語に関連した言語意識の変遷を読み解くことを試みる。
 ヴァーチャル方言には、リアル度の高いものからヴァーチャル度の高いものまで幅広く存在する。ヴァーチャル度の高いものは、概してステレオタイプ度も高く、それらは「役割語度」(金水敏2003『ヴァーチャル日本語役割語の謎』岩波書店)の高い「役割語」と化したヴァーチャル方言とみなすことができる。
 コンテンツ等に現れるヴァーチャル方言は、以下に述べるような観点から当該の言語社会の意識を読み解く手立ての一つとなる。たとえば、由来となる現実の方言変種は「どこ」の地域のものなのか、にはじまり、現実の方言からの乖離ならびに方言ステレオタイプとの結びつきの程度、さらにはその「方言」の働きなど、がそれである。一方で、時代が異なれば、それらは移ろう。その移ろいは当該社会の言語意識の変遷に重なる。
 以上のようなことから、発表者は、ヴァーチャル方言を身にまとう「方言キャラ」は、そのキャラクターが造形・共有された言語社会の意識を映す鏡の一つと捉える。「方言キャラ」は、文学から映画、テレビドラマ、マンガやアニメ、ゲームなど、身の回りにあまた存在する。ポップカルチャー界では、「方言」が「キャラ属性」の一つとして扱われるようにもなってきた。
 本講演では、幅広いコンテンツに多彩な「方言キャラ」が存在すること、またそのことが社会において比較的自然に受け入れられていること、これらが日本語社会の特徴のひとつとなっていることにも触れる予定である。

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共催:名古屋大学大学院情報学研究科
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