Hal's Legacyにみる人工知能の現状と将来
大沢 英一
HALは1997年に制作された設定になっていますが,その年に「Hal's Legacy(邦題:HAL伝説)」が出版されました.この本では,16人の著名な人工知能の研究者がさまざまな視点からHALに関して考察しています.ここでは,映画のあらすじに続き,何人かの研究者の考え方を,アーキテクチャ,高次知能,そして感情などに絞って紹介します.
|
vol.16
no.1掲載
(590kB) |
HALの謀反
中島 秀之
HALはある意味で究極の人工知能であろう.しかしながら,HALを描いたのは素人のSF作家と映画監督です.物理学と宇宙旅行に関してはかなり精度の良かった映画ではありますが,人工知能研究の観点から見ると根本的な誤解も散見されます.
|
vol.16
no.1掲載
(360kB) |
再考:HAL設計論
浅田 稔
筆者はことあるごとに,HALの存在を否定してきました.その理由は,一見,徹底した機能モジュールの実装により,あたかも超越した存在として宇宙船に君臨可能な人工システムHALが,いかにしてヒトの行動を理解し,意図をくみ取る能力を獲得できたかに疑問があるからです.ここでは,筆者が漠然と抱いているHALの知能と,ヒトの知性のあり方を比較しながら,人工物としての知能の設計論を論じてみたい.
|
vol.16
no.1掲載
(350kB) |
勝つだけがすべてではない
松原 仁
筆者が小学生までに影響を受けたのが鉄腕アトムだったとすれば,中学生から高校生にかけて影響を受けたものの一つが「2001年宇宙の旅」でした.ここでは「2001年宇宙の旅」が提示している人工知能像について,チェスを中心に考察してみたい.
|
vol.16
no.1掲載
(240kB) |
「2001年宇宙の旅」の中のロボディックシステム
−工学的観点からの夢と現実−
淺間 一
HALの知についてはさまざまな議論があるが,ロボティクスの観点から見ればそれは宇宙船というボディを持つロボットです.1968年にアーサー・クラークとスタンリー・キューブリックが,「2001年宇宙の旅」の中でロボディクスに対して発している多大な期待と警告を,2001年まで歩んできた現実の技術と対比しながら見直し,これからの研究の問題意識を改めて確認してみようと思います.
|
vol.16
no.1掲載
(450kB) |
完全無欠なコンピュータHALは何を欠いていたのか
岡田 美智男
クラークやキューブリックたちがHALという作業仮説を提示しながら,我々に訴えかけたかったもの,それは完全無欠を理想としてきた我々のモノ作りの姿勢に対する警鐘なのではないか,と.そんなことを考えながら,ここでは「小さなHAL現象」とでもいえる,我々の身の回りで生じている「人工物と我々との奇妙な関係」を見ていきたいと思います.
|
vol.16
no.1掲載
(350kB) |