〜 インターネットコンテンツからの知識の自動構成 〜
インターネットの出現により、 情報の入手は格段に容易になりました。 例えば「最新の電化製品」や「今日の円相場」などの情報も簡単に入手できます。 こうした状況では「情報」をうまく利用、 活用する「知識」がいっそう重要になります。 いくら最新の豊富な情報を手に入れることができても、 それをうまく活かす「知識」がなければ意味がありません。 インターネットコンテンツを使った人工知能システムは、 こうした「知識」をシステムに内蔵することにより、 ユーザに代わって「情報」を活かすお手伝いをしようとするものです。さて、人工知能システムに「知識」を内蔵するにあたっては、誰かが知識を集めて形式化しなければなりません。 こうした知識の獲得作業は、骨の折れる作業で、 人工知能システム実現のボトルネックの一つといわれています。 特にネット情報のように多彩な内容を扱う知識を獲得するには、 これまでの人工知能の知識獲得技術だけでは非常に困難であるといえます。
私たちは、こうした「知識獲得の問題」に対して 「インターネットコンテンツを扱う知識はそれ自体ネット上にあるのではないか?」という着想から研究を進めており、 DSIU (「デシュウ」: Decision Support for Internet Users) というシステムを構築中です。 この研究は、インターネットコンテンツから、「情報」のみでなく、 それを扱う「知識」すらも自動獲得しようという考えに基づいています。 もし、これが可能であれば 「豊富で最新のインターネットコンテンツを扱う人工知能」 という画期的なシステムが実現できることになります。 こうしたアプローチの可能性については賛否両論があるでしょう。 しかし、少なくとも、
といった問いに答えるのは人工知能研究者の仕事であろうと私たちは考えています。
- こうしたアプローチで人工知能システムができるか?
- 実現が可能なとき、それは、どのようなドメインか?
私たちは、こうした趣旨のもと、一緒に議論して下さる人たちを探しています。 私たちの研究分野に興味をお持ちになられた方は、2000年の人工知能学会全国大会における
特別セッションなどで、ディスカッションをしてみませんか? 私たちも、それを一つのメドに研究を進めております。 また、そのセッションに投稿して下さる人たちも募集しております。
「近未来チャレンジ」セッション:Decision Support for Internet Users では、 「インターネットコンテンツと人工知能」について広く募集します。 具体的には、下記のテーマ例のような研究に関する論文を募集しています。 (但し、以下のテーマには限りません。)
- インターネットコンテンツ処理
- テキストからの知識獲得
- テキスト要約
- テキストマイニング
- 情報抽出
- HTMLタグ解析
- インターネットコンテンツ収集
- 収集プランニング
- マルチエージェントベースの収集
- テキストマイニング
- 情報フィルタリング
- インターネットコンテンツを扱う推論
- 確率推論、ベイジアンネットワーク
- 仮説推論、アブダクション
- ファジィ集合、ファジィ推論
- 常識に基づく推論
- 説明生成
- ネットユーザインタフェース
- ユーザモデリング
- ユーザ視点/興味の抽出
- ユーザとの対話
- インターネットコンテンツの利用
- ナレッジマネジメント
- コミュニティ形成
- 新しいネット社会
- その他、インターネットコンテンツと人工知能一般
- 応募の方法にてきましては、学会提供の
論文募集ページ、あるいは、学会誌1月号(Vol. 15, No. 1)をごらんください。- 発表カテゴリは「近未来チャレンジ(サバイバル)」を選択ください。
- キーワードの一つに「DSIU」と記載ください。
- 応募締切は3月24日です。
- 原稿締切は6月2日です。
- DSIUについては、今年の人工知能学会誌1月号(Vol. 15, No. 1, pp. 61--64)藤本他, DSIUシステム:Decision Support for Internet Users, および、
DSIUのホームページもごらんください。