我々のデジタルシティプロジェクト(http://www.digitalcity.gr.jp/)では,様々な データのもつ地域性に基づいて,ネットワーク上のWWW情報と都市のリアルタイム 情報を統合的に利用できるプラットフォ ームの検討を行っている。都市メタファを利用し,実際の都市とネットワーク上の情 報がシンクロしたデジタルシティを構築することで,そこに住む人々の日常生活に 役立つ情報空間を目指している。現在までに京都を題材にインタフェースとして,簡易に3次元空間を記述できる3DML を利用して四条河原町にある数十のビルを3次元ウォークスルー内に実現し, Javaアプレットを利用した地図ビューアとの相互リンクを実現している。 これらを実際にインターネット上で公開するため,現地の商店街 (四条繁栄会)と協議し,商標の取扱い等様々な問題を調整中である。
また,2D/3D空間内のオブジェクトからリンクするWWW情報の収集も並行して行ってい る。まず京都市内の情報を含むホームページを5000件収集し, 各ページへの座標割付けを手作業で開始した。 この作業方法を分析し,その結果をもとに自動化を図り,約20万件の情報を含ん だ基本的なデータベースを作成する予定である。 現在までの分析結果から,住所表現における省略や誤りへの対応, 複数ページの比較による正確な情報への絞り込みが重要とわかっている。 この他,京都のデジタルアーカイブのように。技術・芸術資料には明確な住所情報を 持たないものも多いため,内容や所有者によってホームページを組織化することも 重要と考えている。これらの機能を組込んだシステムでは, 大量のデータを効率的にメンテナンスする必要もあるため,エージェントによる 分散協調処理の導入も考えている。
また都市のセンサ情報に関しては,京都市交通局から提供されるバス運行状況を地図 上にリアルタイムで表示し,状況に応じたユーザナビゲーション機能を実現する。 さらにカメラ等を持つ京都市消 防局や気象センサを持つ土木事務所などとの交渉も現在計画中であり, 2D/3D空間内に都市の状況をリアルタイムで反映させることも考えている。 その他,都市の状況の状況に応じてデータ間の優先度を動的に変化させる機能を 組込みことで,常に新しい見え方のする情報空間の構築し, その上でユーザがコミュニケーションできる環境を用意したいと考えている。
情報の地域性に注目する意義は大きいと考えている。 インターネット上に公開されているホームページから京都に関連したものを収集し, その中に含まれる住所情報にしたがって座標データを付加し, 様々なインタフェースからその情報を利用できるようにする。
収集した情報は,都市における実際の位置関係に基づいて関連づけを行ったデータ ベースとして管理し,都市メタファを利用した2D/3Dのインタフェースから 情報検索が可能にする。また,街に配置されているセンサからも, リアルタイムに情報を収集し,随時データベースへと反映させていく。 このように刻々と変化する情報空間内で,ユーザ同士がコミュニケーションする ためのツールを提供することで, より生活に密着したコミュニティ活動をサポートできる可能性もあると考えている。
インターネット上で公開されている京都に関連したホームページを収集し,その中に 含まれている住所情報にしたがって座標情報の割り振りを行っている。
あれができてこれができて,こんなことをやっている。プロジェクト終了時点ではこ んな感じになるというイメージを持って活動中である。
京都に関連したホームページを収集し,位置情報を付加したリンクデータベースを作 成し,様々なインタフェースを利用してインターネット上で配信するための アーキテクチャの設計及び試作を行っている。ホームページに建物レベルの 座標データを付与するためには,地図データベース上の住所情報とホームページ中の 住所情報を付き合わせる必要があるが,住所記述の曖昧さや省略,通称の利 用等が見られるため,その出現傾向の分析を行うことで自動化に必要なシステム仕様 の検討を行っている。
また,ホームページの出現や変化に対応してデータベースを更新するためには, 集めた大量のデータの安否(?)を常に確認しておく必要があると考えている。 情報のリアルタイム性の保持と処理の効率化のために複数のエージェントによる 協調と作業分担が必要になると考えている。
- 2D/3Dのインタフェースの構築
3次元ウォークスルー(3DML)および2D地図からホームページへリンク。
- 都市に配置されたセンサからの情報取り込み
市バス運行データ,気象データ,ネットワークカメラ等の利用。- ユーザ間のコミュニケーションをサポート
3DMLとリンクしたチャット及びツアーシステム,街角に配置された掲示板等。 現在のインターネットでは,多くのユーザがそれぞれ情報を発信し,誰でもが距離に 関係なく様々な情報を利用できるようになっている。 また,ユーザ層の広がりに伴って,一部の限られた人々のための 情報交換から,日々のニュースの伝達や日常生活に密接した情報交換,ビジネスや マーケットにおける利用が始まるなど多種多様な情報がネットワークに流れるように なってきている。世界規模での情 報流通の可能性と同様に,地域社会の活動をサポートするような機能もネットワーク (インターネット)には求められている。
このデータベースを基本に,複数のインタフェース間での連携,ユーザ間のコミュニ ケーションのサポート,実世界からのリアルタイムセンサ情報の反映など, ネットワーク上へ反映させる情報を順次拡大 していく。データベース中の蓄積情報に関しても,現在は手作業で収集しているが, エージェントシステム等を導入することで,効率的な自動収集を実現する。 また,蓄積した情報量とアクセス数の増大 に応じて,データベースの分散化と情報検索方法の最適化を図っていく。
複数のエージェントが協調しながら効率的にインターネット上の情報を収集し,地理 関係等の関連性に従った編集情報を提供するためのマルチエージェントシステムの 提案を行う。マルチエージェントシステムにより, 多くの情報発信源への対応を容易にし,変化する情報への追従性を向上させる。
交通センサやネットワークカメラ等,都市に設置した各種センサからの情報をイン ターネット経由でリアルタイムに収集し,時系列データとして可視化するシステムを 構築する。広域配置されたセンサから のデータを効率的に収集する手法を検討し,定量的に評価を行うことでその利用範囲 を言及する。
デジタルシティ京都における,収集・編集した情報とユーザ間のコミュニケーション をサポートする各種ツールをシームレスに連携させるため, 2D/3Dの都市仮想空間を利用したユーザインタフェースを 構築する。オンライン情報と実世界の間の連携を明確にし,双方からの検索参照を可 能にする。
現在オープンラボでは,京都を題材としたデジタルシティの構築を通じて,上記の地 理情報を利用したデータベースの構築,2D/3Dインターフェースの実装を並行してすす めている。データベースの構 築に関しては,人間の行う作業の分析と通してその問題点を明確にし,大量のデータ を効率的に処理することを目指して,マルチエージェントアーキテクチャを利用して システムを実装する方向で検討 している。複数のエージェントが重複しないように情報を収集するためには,エー ジェント間での知識の共有や学習機構,自然言語処理等が重要になると考えている。
またセンサ情報の利用に関しては,ネットワークを利用したロボット操作環境をイン ターネットへと拡張する方向で検討し,閉じた実験室での結果を広く一般的に使える 方向で拡張していきたい。センサデ ータとしては,独自にセンサを設置するのには時間的にも限度があるので,京都市の 消防局や交通局等に対して既存のセンサ情報提供を依頼している。 収集した実時間データは,そのまま数値として 表示するだけではなく,2D/3D空間での表示,データ収集へとフィードバックしてい く予定である。
都市情報の自動収集とセンサデータの利用に加え,チャットやニュースなど各種コ ミュニケーションツ ールを組込んでいくことで,実際に京都市民が日々利用できるようなコミュニケー ションプラットフォームとしての方向も考えていきたい。
- オンライン情報の自動収集と分類を行うマルチエージェントシステムの設計・試作。 エージェントの学習とネゴシエーションによるデータベースの構築と, データベースの分散を並行して検討する。
- インターネット上の情報を地理情報に基づいて自動収集・編集するシステムの提案お よびその構築を行う。 この際に使う技術として,エージェント,分散オブジェクト指向設計, 分散データベース,学習等を利用したテキスト自動分類, 地理的制約に基づいた学習システム。
- 上記システムにて構築した情報環境に,センサ情報を導入する。 リアルタイム情報による自動収集ターゲットの変更,トピックデータの検出・学習, 時系列データのビジュアライゼーション。
- そのインタフェースとして,情報表示,コミュニケーションツールを導入した 統合的インタフェースを体系的に説明,評価する。統計データの提示。
- インターネット上の情報を収集・編集するマルチエージェントシステムの提案 およびその実装を行う。
- インターネット上に存在するホームページを収集し,その情報に地理的な位置と含有 情報によるカテゴリーを付加することで,地域性を持った情報検索を可能にする。 この両方の属性を用いることで,曖昧な情報分類だけでなく,地理的属性で情報を分 類する方法を実現する。
トップページとしての有効性,都市情報空間への入り口,分かりやすいナビゲーショ ンが可能,同時に表示できる情報数は有利か不利か。 その情報を自動的に分類・編集するシステムを構築する。(このことによって何が改 善されるか?),多種多様なフォーマットの情報を自動分類するシステムを構築し, そのヒューリスティックをホームページ収集方法に自動的にフィードバックできる。- 情報収集エージェント
地理情報に基づいた情報分類手法の提案,学習システム等 分散オブジェクト機構,エージェントによる協調収集,分散データベース,情報要約。- 都市メタファを利用したネットワークシステムの統合
- freeWAISのセットアップ : http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/%7Ebaba/wais/
NTTソフト研 Ingrid : http://www.ingrid.org/index-j.html- これらを統合したインタフェースシステムを構築する。複数ツールの間のシームレス な移動,ユーザの興味に従った2D/3D空間への情報張付け。
[デジタルシティでは,2D/3Dのインタフェースを利用してこのデータベースにアクセ スする。]