今年度は以下の39件のオーガナイズドセッションが実施されます.各オーガナイザが企画した招待講演の一覧は,「オーガナイズドセッション招待講演」をご覧ください.
オーガナイズドセッション一覧
特別企画あり(セッションの枠数: 2枠を上限)
- OS-1 ネットワークが創発する知能(栗原 聡,鳥海 不二夫,風間 一洋,澤井 秀文)
- OS-2 SAT技術の理論,実装,応用 (戸田 貴久,沖本 天太,波多野 大督)
- OS-3 世代をつなぐ知的インタフェース(田中 文英,檜山 敦)
- OS-4 コミック工学とAI(山西 良典,松下 光範,上野 未貴)
- OS-5 Deep Learning(松尾 豊,中山 浩太郎,山川 宏)
- OS-6 汎用人工知能とその社会への影響(山川 宏,市瀬 龍太郎,荒川 直哉)
- OS-7 意味と理解のコンピューティング(小林 一郎,麻生 英樹,伊東 幸宏,竹内 孔一)
- OS-8 HAI,その心とは?: 人工知能をベースとしたインタラクション技術を考える(今井 倫太,片上 大輔,寺田 和憲)
- OS-9 質感と感性(坂本 真樹,渡邊 淳司)
- OS-10 先端情報計測指向AI(鷲尾 隆,谷口 正輝)
- OS-11 Well-being Computing(日和 悟,廣安 知之,髙玉 圭樹,城戸 隆,小野 弓絵)
- OS-12 ディープライフ:生命性原理の探求(”岡 瑞起,池上 高志,鳴海 拓志,廣瀬 通孝,青木 竜太)
- OS-13 交通・移動・物流とAI(川村 秀憲,栗原 聡,服部 宏充,藤井 秀樹)
- OS-14 人と調和・協働するAI・知能ロボット(山口 高平,長井 隆行)
- OS-15 不動産とAI(清田 陽司,山崎 俊彦)
- OS-16 医学医療における人工知能(津本 周作,矢入 郁子,古崎 晃司,大武 美保子,今井 健,大江 和彦)
- OS-17 ヒューマンコンピュテーションとクラウドソーシング(松原 繁夫,櫻井 祐子)
- OS-18 味覚・嗅覚と記号システム(福島 宙輝,阿部 明典,福本 淳一)
- OS-19 金融情報学—ファイナンスにおける人工知能応用—(和泉 潔,八木 勲,西山 昇,酒井 浩之,落合 友四郎,水田 孝信,関 和広)
- OS-20 音楽の理解と生成(大村 英史,松原 正樹,北原 鉄朗,東条 敏,平田 圭二)
- OS-21 「プロジェクション科学」の創出と展開(小野 哲雄,鈴木 宏昭)
- OS-22 顔文字の科学(奥村 紀之,Michal Ptaszynski,Rafal Rzepka,松本 和幸)
- OS-23 仕掛学:再価値化のデザイン(松村 真宏,松下 光範,塩瀬 隆之,山根 承子,平岡 敏洋,片山 めぐみ,白水 菜々重)
- OS-24 人工知能が誘発する問題の人工知能による解決を目指して(中川 裕志,堀 浩一,西田 豊明)
- OS-25 知的対話システム(東中 竜一郎,船越 孝太郎,藤江 真也,岡田 将吾,徳久 良子)
- OS-26 エビデンス指向のシステムデザインとラーニングアナリティクス(緒方 広明,平嶋 宗,笠井 俊信,堀口 知也)
- OS-27 ゲノム医療支援の人工知能の研究開発へ向けて(荻島 創一,水野 聖士)
- OS-28 合意形成支援のためのAI(藤田 桂英,伊藤 孝行,福田 直樹,松尾 徳朗,白松 俊)
特別企画なし(セッションの枠数: 上限なし)
- OS-29 ことば–コンピュータ–コミュニケーション(阿部 明典,松澤 和光)
- OS-30 身体知の表現と獲得(藤波 努,松浦 慶総)
- OS-31 経営課題にAIを!(寺野 隆雄,高橋 大志,倉橋 節也,菱山 玲子,後藤 裕介,小林 知巳,鳥山 正博)
- OS-32 建築,都市環境のレジリエンスを支えるAI(鈴木 琢也,荒井 幸代)
- OS-33 脳科学とAI(山川 宏,森川 幸治,岡本 洋)
- OS-34 マイニングと知識創発(砂山 渡,加藤 恒昭,西原 陽子,松下 光範)
- OS-35 社会的信号処理とAI(岡田 将吾,石井 亮)
- OS-36 農業とAI(朱 成敏,武田 英明)
- OS-37 記号創発ロボティクス(横山 裕樹,堀井 隆斗,谷口 彰,Ye Kyaw Thu,坂戸 達陽,青木 達哉)
- OS-38 グリーンAI ~AIによる環境貢献~(松井 孝典,柴田 博仁,福井 健一,森 幹彦,熊澤 輝一)
- OS-39 Linked Dataとナレッジグラフ(古崎 晃司,武田 英明,長野 伸一,細見 格,森田 武史,山口 高平)
OS-1 ネットワークが創発する知能
オーガナイザ
- 栗原 聡(電気通信大学)
- 鳥海 不二夫(東京大学)
- 風間 一洋(和歌山大学)
- 澤井 秀文(情報通信研究機構)
内容
人間社会や集団型生物,そして我々の脳は,それぞれ膨大な数の人や蟻,神経細胞から構成され,高い適応力や安定性,そしてなにより高い知性を創発することができます.そして,最も特徴的なのは,それらの集団には中枢といった部分はなく,個々の自律的な行動と,個体同士が形成する複雑ネットワークにより創発される,ということです.この集団的知能の創発メカニズムを解明することは,社会システムや脳といった大規模複雑システムの理解・制御・構築を可能とする方法論の確立に対して重要な知見をもたらすことが期待されます.このオーガナイズドセッションでは,「群知能」,「計算社会科学」,「マルチエージェントシステム」,「ソーシャルコンピューティング」,「Web Intelligence」,「多層ネットワーク型計算アーキテクチャ」,「多段創発メカニズム」など,様々な研究分野における複雑ネットワークにおける創発現象やそのネットワークダイナミクス,および知能の創発メカニズムについての分野横断型の研究発表と,深い議論を行うことを目的とします.
キーワード
- 複雑ネットワーク
- 計算社会科学
- ソーシャルコンピューティング
- 群知能
- Web Intelligence
- 多層ネットワーク型計算アーキテクチャ
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-2 SAT技術の理論,実装,応用
オーガナイザ
- 戸田 貴久(電気通信大学)
- 沖本 天太(神戸大学)
- 波多野 大督(国立情報学研究所)
内容
CNF論理式の充足可能性を判定する充足可能性判定問題(SAT)は,1960年代から現在に至るまで計算機科学における中心的課題であり,約半世紀に渡って膨大な量の研究が蓄積されてきた.特に,ここ10数年でSATソルバーの性能が飛躍的に向上し,システム検証,プランニングやスケジューリング,定理証明,組合せ最適化など様々な応用領域における推論の基盤技術としてSAT技術は注目を集めている.本オーガナイズドセッションでは,「SAT技術の理論,実装,応用」をテーマとして,最新のSAT技術はもちろん,MaxSAT,Pseudo Boolean,モデル列挙,SMT,並列分散SAT等の次世代SAT技術,および,SATに関連の深い制約充足問題(CSP)や BDD, ZDD, 解集合プログラミング(ASP)等の技術について研究発表および討論を行う.
テーマの例
- SATソルバーの高速化
- SAT符号化
- SATの応用
- 次世代SAT技術
- 制約充足
- BDD, ZDD
- 解集合プログラミング等
キーワード
- SAT技術
- 制約充足問題
- BDD
- 解集合プログラミング
- SMT
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-3 世代をつなぐ知的インタフェース
オーガナイザ
- 田中 文英(筑波大学)
- 檜山 敦(東京大学)
内容
少子高齢社会の重要課題である「幼児教育」と「高齢者の就労支援」を結びつける知的インタフェースについて議論します.関連して,子どもとシニアに関わる幅広いトピックについて,理論から実践,分野を問わず,発表や議論を募集します.アカデミアや企業のみならず,民間からの参加者も交えたパネルディスカッションも行う予定です.
キーワード
- 幼児教育
- 高齢者就労支援
- アクティブシニア
- テレプレゼンス
- クラウド
- ロボット
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-4 コミック工学とAI
オーガナイザ
- 山西 良典(立命館大学)
- 松下 光範(関西大学)
- 上野 未貴(豊橋技術科学大学)
内容
「コミックの解釈」「キャラクター認識」「コミック表現の応用」「オノマトペの理解」「新しいコミックの提案」「コミックの国際化」などを例として,日本が世界に発信する重要文化ソースであるコミックを取り扱うために必要となるMultimedia処理技術やインタフェース,データベース,マーケティングなどの研究を分野横断的に広く募集します.このOSでは,コミックというMixed-mediaへのアプローチを通して,Multimedia処理技術を複合的に扱う,あるいは,そのような複雑なmediaから生まれる感性を処理するaffective-media処理を目指します.
キーワード
- コミック工学
- 画像処理
- 言語処理
- インタフェース
- データベース
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-5 Deep Learning
オーガナイザ
- 松尾 豊(東京大学)
- 中山 浩太郎(東京大学)
- 山川 宏(ドワンゴ)
内容
Deep Learningは、近年、機械学習の分野で大変注目を集めている新しい技術であり、人間の脳の神経回路のような深い構造を作り出すことにより、抽象的な表現を学習し、精度を大幅に向上させるものである。画像認識をはじめ、音声認識、自然言語処理、ゲーム(アルファ碁など)、ロボティクス等のさまざまな分野で目覚ましい成果を収めており、大きな注目を集めている。本OSでは、Deep Learningに関しての研究発表と議論を行う。Deep Learningに関する新しいアルゴリズムの提案(CNNやRNN、生成モデル等に関して)、理論、活用例、将来的な研究の展望など、幅広い範囲の研究を募集する。また、従来の人工知能の領域(推論や探索、強化学習、知識ベース、オントロジー、対話、コミュニケーション)と融合した研究も歓迎する。
キーワード
- Deep Learning
- 表現学習
- 深層学習
- 機械学習
- ニューラルネットワーク
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-6 汎用人工知能とその社会への影響
オーガナイザ
- 山川 宏(株式会社ドワンゴ人工知能研究所)
- 市瀬 龍太郎(国立情報学研究所)
- 荒川 直哉(株式会社ドワンゴ人工知能研究所)
内容
近年,欧米を中心として技術的特異点(Singularity)や汎用人工知能
(Artificial General Intelligence: AGI)についての研究活動が盛り上がりつつあります.当学会でも,これまで,過去2年に渡り,全国大会で汎用人工知能に関するオーガナイズドセッションが開催され,今年度には,第3種研究会として,汎用人工知能研究会が立ち上がりました.こうした背景から,パネルを含めたオーガナイズドセッションを開催します.
テーマ例
- AGIのアーキテクチャ,モデル
- AGI研究の現状調査(関連する科学技術やその進展状況)と実現の見通し
- AGI構築のロードマップ
- AGIに向けた問題点(フレーム問題,シンボルグラウンディング問題など)
- AGIの評価/ベンチマーク
- AGIのインパクト(想定されるAIリスク)
- AGIのレビュー
- その他,AGIに関する話題
キーワード
- 汎用人工知能
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-7 意味と理解のコンピューティング
オーガナイザ
- 小林 一郎(お茶の水女子大学)
- 麻生 英樹(産業技術総合研究所)
- 伊東 幸宏(静岡大学)
- 竹内 孔一(岡山大学)
内容
計算機の処理能力が上がり、大量のデータを簡単に扱える時代になった。それにともない、データの統計的処理の観点から、その意味をとらえる研究が多くなっている。たとえば、文書をBagof wordsとして扱い、語彙の出現頻度に基づく統計量から文章の内容を捉えるような統計的自然言語処理は、情報検索システムなどの成功に裏打ちされ、自然言語によって記述された文章を処理する実用的な手段として現在も自然言語処理の分野の主流となるアプローチとして位置づけられている。そのような背景において、以前のような意味に対する深い取り扱いへの試みが希薄なっているように感じられる。たとえば、文章の内容を理解するためには言語学的知識の考慮や内容を理解するための他の知識の連携が必要とされるが、そうしたことを可能にする論理学による意味の記述や推論などを用いた意味理解に対するアプローチの研究は少なくなっている。しかし、システムを真に知的にするためには、人が行うような意味の理解のメカニズムが必要であり、必要な技術は振り子のように回帰してくると考える。本オーガナイズドセッションは、そのような背景を踏まえ、意味や理解をとらえるための多様な取り組みや姿勢を大切にしながら新しい技術を開発することを目指す人たちが、それぞれのアプローチに基づいたアイデアを持ち寄り、相互理解や新たな方向性について議論するための場として開催する。
キーワード
- 言語
- 意味
- 理解
- 生成
- マルチモーダル情報
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-8 HAI,その心とは?: 人工知能をベースとしたインタラクション技術を考える
オーガナイザ
- 今井 倫太(應義塾大学)
- 片上 大輔(東京工芸大学)
- 寺田 和憲(岐阜大学)
内容
人と人工物のインタラクション技術は、HCIの分野やHRIの分野で発展してきているがその多くが、ヒューマンファクタの側面からのデザインに留まっている。人工物側が知的に人とインタラクションする技術を開発していくためには、インタラクションにおける人の心の変化の特性がどのようなものなのかを明らかにするとともに、人の心的状態を捉えながらインタラクションする技術を開発していくことが必要不可欠である。昨今の機械学習や確率推定技術によって、人の心的状態を考慮したインタラクション技術を開発していくことも夢物語では無い時代になりつつあり、ここで、心をもった人と、意図を持って行動するエージェント間のインタラクションのモデルを議論するべき時期であると考える。
本OSでは、招待講演を一件持つとともに、ヒューマンエージェントインタラクション(HAI)分野で活躍されているシニア研究者を中心に人と人工物のインタラクションに置いて中心的な役割を担う人の心の働きと、エージェントの行動モデルについて議論する。
キーワード
- Human Agent Interaction
- 雰囲気工学
- インタラクションの認知科学
- 心の理論
- インタラクションのモデル
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-9 質感と感性
オーガナイザ
- 坂本 真樹(電気通信大学)
- 渡邊 淳司(日本電信電話株式会社)
内容
人は,五感を通して多様な質感を知覚し,複合的に快不快,好き嫌いなどの価値判断を行い,様々な行動選択を行っている.質感を入力するインタフェースとなる五感ごとに,研究の進捗と方法論は異なっている.視覚的質感研究は研究が進んでいるとされるが,人の目に見えるレベルでの視覚的質感認知メカニズムの解明,人工知能がどこまで人の視覚的質感認知メカニズムを再現可能なのかは未確認である.視覚に比べて原始的な感覚とされてきた触覚研究は,人工知能に触感を呈示認識,再生させる技術開発が待たれる.複雑な信号変調により生じる聴覚的質感,高次感性処理の関係の解明,視触覚や嗅覚と切り離せない味覚的質感,高次感性処理の関係の解明も課題が多い.各感覚入力を通して得られる質感が複雑な質感概念ネットワークを構成している脳の全体像を解明するための方法論として,近年発展が著しいディープラーニングを含む統計的機械学習があるが,画像など視覚を対象とした研究が主となっている.本OSは,独立に研究が行われることの多い五感を対象とする研究者による報告を通して,研究成果の進捗を共有し,方法論も共有できる機会としたい.本OSの研究テーマは,人の五感と好き嫌いなどの価値判断に関わる理工系の研究(画像処理,触覚工学,音響学,機械学習,感性工学,言語処理)を中心としながら,知覚心理物理研究,脳神経科学といった生物系の研究者との連携も図り,質感情報処理の科学的な理解と新たな人工知能研究の開発の可能性について検討する場としたい.
キーワード
- 触覚
- 視覚
- 味覚
- 聴覚
- 嗅覚
- 感性
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-10 先端情報計測指向AI
オーガナイザ
- 鷲尾 隆(大阪大学産業科学研究所)
- 谷口 正輝(大阪大学産業科学研究所)
内容
ナノセンサ、量子計測など先端デバイス・システム開発分野では、微細・微量な対象を計測する技術が次々と開発されつつあり、日本は世界をリードする立場にある。一方で、機械学習を含め情報科学では、計測情報の高度な処理を可能とする理論・技術が急激な発展を見ている。これを背景として、我が国の科学技術戦略目標として「材料研究をはじめとする最先端研究における計測技術と高度情報処理の融合」が策定され、本年度から科学技術振興機構(JST)において、情報計測CREST(計測技術と高度情報処理の融合によるインテリジェント計測・解析手法の開発と応用)が開始されている。この領域は、「計測・解析技術の深化による新たな科学の開拓や社会的課題の解決のために、多様な計測・解析技術に最先端の情報科学・統計数理の研究を高度に融合させることによって、これまでは捉えられなかった物理量・物質状態やその変化あるいは潜在要因等の検出、これまでは困難であった測定対象が実際に動作・機能している条件下でのリアルタイム計測等を実現するインテリジェント計測・解析手法の開発とその応用を目指す」としている。本オーガナイズドセッションではこれに沿い、既存のセンサを組み合わせたIoT実現に留まるのではなく、新たな先端計測デバイス・システムを実現する人工知能技術開発へ向けた研究発表を集め、先端情報計測指向AIを展望する。本セッションは、昨年の先端デバイス指向AIのオーガナイズドセッションの成果を受けて開催するものである。
テーマ例
- ナノデバイス計測と機械学習の融合による高性能DNAシーケンサの実現
- 多種受容体出力情報を統合した高性能嗅覚センサの開発
- 細胞計測と機械学習の融合による高速細胞診断センシングの実現
キーワード
- 先端センシングデバイス
- 先端計測システム
- 機械学習
- 情報統合
- 情報計測
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-11 Well-being Computing
オーガナイザ
- 日和 悟(同志社大学)
- 廣安 知之(同志社大学)
- 髙玉 圭樹(電気通信大学)
- 城戸 隆(株式会社Preferred Networks)
- 小野 弓絵(明治大学)
内容
国連や世界経済フォーラムなどの国際社会においてウェルビーイング(心理的・社会的・身体的幸福)の推進が積極的に議論されている.わが国でも2015年12月より,改正労働安全衛生法により労働者へのストレスチェックが義務付けられるなど,これまでの「病気でないこと」という身体的健康に加えて,精神的にも良好な状態にあることが重要視されつつある.近年のマインドフルネスの流行も,多くの人々が心理的な健康を目指していることの表れと考えられる.このような背景から,ヒトの生体情報を取得・利用し,心理状態や感情,ストレスの度合いなどヒトの内部状態を推定するためのコンピューティング技術=Well-being Computingが注目を集めている.本セッションでは,ウェルビーイングを促進するための人工知能を始めとするコンピューティング技術や生体情報計測,それらの社会応用に関する研究発表を広く募集し,分野横断的に議論する場としたい.
テーマ例
- 生体情報に基づく人の状態推定(機械学習,クラスタリング)
- ストレス計測・モニタリングのためのコンピューティング技術
- 睡眠のモニタリングと分析
- ニューロフィードバック技術とアプリケーション
- マインドフルネスの科学的分析,そのビジネス応用
キーワード
- Well-being
- Positive computing
- 生体情報計測
- ニューロフィードバック
- マインドフルネス
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-12 ディープライフ:生命性原理の探求
オーガナイザ
- 岡 瑞起(筑波大学)
- 池上 高志(東京大学)
- 鳴海 拓志(東京大学)
- 廣瀬 通孝(東京大学)
- 青木 竜太(株式会社ヴォロシティ)
内容
2015年まで続いたマッシブデータフロー(MDF)が作り出す生命性のセッションを更新して、人工生命化する社会に関するオーガナイズドセッションを2016年に立ち上げた。インターネットやロボットに見られるように進んだ技術というものは不思議と生命性を帯びるものであり、とりわけ、優れた技術はしばしば実際の生物のように適応的で自律的な様相を呈する。これを人工生命化する、という。見方を変えれば、生命性を獲得しつつある人工物が自然物との境界を曖昧にすることで、いま世界は人工生命化する方向に向かっている。こうした状況に即して、これまで人工知能や人工生命の研究分野で培ってきた技術を共有し、生命性原理の探求をしつつこれから作るべき技術について議論したい。
キーワード
- 複雑系・人工生命
- ウェブサイエンス
- 認知科学
- バーチャルリアリティ
- Generative AI
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-13 交通・移動・物流とAI
オーガナイザ
- 川村 秀憲(北海道大学)
- 栗原 聡(電気通信大学)
- 服部 宏充(立命館大学)
- 藤井 秀樹(東京大学)
内容
本OSは,2008年大会において開催した「次世代知的交通システムにおけるAI」を源流として,翌年には「交通・移動・流れとAI」へ,さらに2011年には「交通・移動・物流とAI」へと,研究のトレンドを背景に名称を変更しつつ,毎年開催(計8回)をしており,セッションは毎回活況を呈している.なお,本OSは2011年大会より本学会「データ指向構成マイニングとシミュレーション研究会」(DOCMAS)の活動の一環としてのイベントとなっており,DOCMASへの導入機会として重要度が増している.
近年,経済,環境,エネルギー,食糧などさまざまな分野で問題が顕在化してきており,社会は異種のシステムが複合する複雑かつ規模の大きい課題に直面している.とりわけ我が国は,震災復興グランドデザイン,超高齢化社会への対応など前例のない複合的な課題の解決に取り組まねばならず,その解決のためのアイディアを社会に広く求めるところである.本OSは,交通,移動,物流など,多数の主体・物資が行き交う中で,人の意思決定が関わり,さまざまな社会の動態が生み出される現象やシステムの分析,理解,設計について,研究者のアイディアを集め,議論し,社会に成果を供する研究を促進する場として企画されたものである.テーマ例としては,高移動効率・環境負荷低減を実現する都市交通システムの設計・評価ロジスティックス効率化のための倉庫管理・配送経路の最適化,各種ユビキタスセンサによる大規模移動データに基づく群集挙動の可視化,観光・災害のための人流制御方式など,幅広い課題を取り上げたものが挙げられる.
キーワード
- 社会シミュレーション
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-14 人と調和・協働するAI・知能ロボット
オーガナイザ
- 山口 高平(慶應義塾大学)
- 長井 隆行(電気通信大学)
内容
昨今、ボードゲームでAIがプロに勝利し、AIが人の知能を凌駕してきたことから、AIが人の職業を奪うなどの議論がよく聞かれるようになりましたが、職業という大括りではなく、業務プロセスという小括りから考えれば、人とAIの二項対立的な議論ではなく、人とAIの得手不得手を考慮し、人とAIが協働する議論にすべきです。
人と調和して協働するAI・知能ロボットを実現するには、知識ベース推論、音声対話、画像センシング、動作、学習など、要素知能の探求だけでなく、要素知能の統合アーキテクチャ(オーケストレーション)の研究が必要です。このオーケストレーションでは、各要素知能を実装する言語、データ構造、時間制約などが異なることから、その差異を埋めるメディエーション、記号から知識全体を物理世界に双方向にグラウンディングする知識グラウンディング、要素知能技術の水平統合アーキテクチャなど、未知のAI・知能ロボットの研究課題が多く含まれています。
本OSでは、人と調和して協働するAI・知能ロボットの実現に向けて、要素技術の深化から、統合技術の提案、エコシステム・ELS (Ethical, Legal, and Social)から考えた、人とAI・知能ロボットの在り方まで、幅広く、発表を募集します。
キーワード
- 人とAIの調和
- 知のオーケストレーション
- メディエーション
- 知識グラウンディング
- ELS
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-15 不動産とAI
オーガナイザ
- 清田 陽司(株式会社ネクスト リッテルラボラトリー)
- 山崎 俊彦(東京大学大学院情報理工学系研究科)
内容
金融分野でのテクノロジー活用を意味する「FinTech」に続いて、不動産分野の「Real Estate Tech(ReTech)」というキーワードが注目を集めている。現在、不動産分野をビジネス領域とするテクノロジーを活用したユニコーン企業が世界中に数多く生まれており、日本でもAI関連技術を活用したスタートアップ企業群が立ち上がりつつある。大学でもAI分野の研究者が不動産分野の研究課題にもチャレンジを始めている。一方で、不動産の購買プロセスの複雑さ、実世界の不動産の情報をどのように収集・取得するか、さらには宅地建物取引業法などによる規制など、AI関連技術の適用にあたって壁となるさまざまな問題も存在する。 本オーガナイズドセッションでは、不動産分野でのAI関連技術の最新の取り組みや課題を俯瞰し、共有することによって、不動産分野のAI適用の研究・開発活動の活性化につなげることを狙う。
具体的には、以下に挙げるような(しかし以下に限定されない)テーマを扱う。
- 立地や建物の品質など、さまざまな要因によって左右される不動産の価格を適切に推定するAI。現時点で達成できている精度、不動産物件の売買双方をどのように納得させるか、ソーシャルメディア・クラウドソーシング・IoT(センサーデータ)の活用など。
- 不動産取引において大きなコストがかかっている「接客」を自動化するAI。適切なレコメンデーションやチャットボットなど。
- 不動産情報の品質の向上(不正な情報の検出や是正)や、個々の不動産物件特有の「魅力」のアピールにAI技術を適用する取り組み。不動産物件画像へのdeep learning(CNN)の適用など。
キーワード
- 社会シミュレーション
- マルチエージェントシステム
- 最適化
- 社会情報システム
- ビッグデータ
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-16 医学医療における人工知能
オーガナイザ
- 津本 周作(島根大学)
- 矢入 郁子(上智大学)
- 古崎 晃司(大阪大学)
- 大武 美保子(千葉大学)
- 今井 健(東京大学)
- 大江 和彦(東京大学)
内容
IoTを使った家庭でのヘルスケアから機械学習による医学への貢献まで,応用から基礎にわたる幅広い医用人工知能のトピックを扱う.医療関係者と人工知能関係者が集う議論・交流の場を提供する.
キーワード
- ヘルスケア
- 介護
- 看護
- 医療情報
- 診断
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-17 ヒューマンコンピュテーションとクラウドソーシング
オーガナイザ
- 松原 繁夫(京都大学)
- 櫻井 祐子(九州大学)
内容
ヒューマンコンピュテーションとは、計算機だけでは現実的な性能を得ることが難しく、人間の認識や判断等を必要とするような課題において、人間を「計算資源」の一部として捉えることによって、計算機と人間の両者を組み合せてこれを解決するという考え方である。計算資源としての人間の労働力へのアクセス手段であるクラウドソーシングの隆盛とも相まって、ヒューマンコンピュテーションは人工知能分野における大きなトレンドの一つとして注目を集めている。
クラウドソーシングはここ数年で随分と認知されるようになったが、人・機械の協働による問題解決と見たときには、まだ多くの課題が存在し、その克服に人工知能技術の適用が期待されている。そこで、我が国におけるヒューマンコンピュテーションとクラウドソーシングに関連する研究者ならびに実践家が一同に会し、急速な進展を見せる本分野の技術に対する理解を共有するとともに、一層の推進を図ることを目的に、オーガナイズドセッション「ヒューマンコンピュテーションとクラウドソーシング」を開催する。
テーマ例
◆ヒューマンコンピュテーション/クラウドソーシング基礎・基盤
- 機械学習/データマイニング
- メカニズムデザイン
- タスク設計/ワークフロー設計
- ヒューマン・コンピュータ・インタラクション
- プラットフォーム
- 社会科学/認知科学
◆ヒューマンコンピュテーション/クラウドソーシング応用
- 言語/メディア処理
- ビッグデータ分析
- ゲーミフィケーション/目的を持ったゲーム(GWAP)
- ソーシャルコンピューティング/コレクティブインテリジェンス(集合知)
- 予測市場
- コンテスト
- クラウドセンシング/IoT
- シェアリングエコノミー
- MOOC/ラーニングアナリティクス
- HRテック(AIによる人材管理等)
- ボランティアクラウド/シチズンサイエンス
- プライバシ
キーワード
- ヒューマンコンピュテーション
- クラウドソーシング
- クラウドセンシング/IoT
- シェアリングエコノミー
- MOOC/ラーニングアナリティクス
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-18 味覚・嗅覚と記号システム
オーガナイザ
- 福島 宙輝(慶應義塾大学)
- 阿部 明典(千葉大学)
- 福本 淳一(立命館大学)
内容
本OSでは,味覚,嗅覚,あるいは触覚の記号システムを扱います.
味覚や嗅覚の記号表象過程の研究は萌芽段階にあり,認知科学や認知言語学,哲学を巻き込んだ今後の展開が期待される領域です.
本OSは記号概念を軸に扱いますが,分子生物学,神経科学などの低次認知としての味覚,嗅覚研究を制限,除外するものではありません.
感覚と記号に関連するテーマであれば分野を制限せず,分野横断的な議論をしたいと考えています.
なお対象は特に制限しません.味覚,嗅覚に関する表現一般が対象であり,例えば日本酒やワインといった酒類を含む嗜好品の味わい,和菓子の食感といった複合的な感覚も対象に含めます.
キーワード
- 味覚,嗅覚,触覚,近感覚
- メタファ,類推的表象
- 記号接地,記号過程
- 音象徴,オノマトペ
- 感性情報処理
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-19 金融情報学—ファイナンスにおける人工知能応用—
オーガナイザ
- 和泉 潔(東京大学)
- 八木 勲(神奈川工科大学)
- 西山 昇(Dragons’ Desk Limited/千葉商科大学)
- 酒井 浩之(成蹊大学)
- 落合 友四郎(大妻女子大学)
- 水田 孝信(スパークス・アセット・マネジメント株式会社)
- 関 和広(甲南大学)
内容
金融市場における近年の急激な環境の変化から、金融市場への関心が高まっています。このような社会的状況の中で、人工知能分野の手法や技術を金融市場における様々な場面に応用することが大いに期待されています。
本セッションでは、膨大な金融情報を分析し投資判断の支援をする技術や、市場の特性を理解し適切な市場制度を設計する技術、さらに市場メカニズムを金融市場以外の社会現象に応用する技術など金融市場に関わる基礎から応用までの幅広い研究課題全てを対象とし、金融市場に対する人工知能を中心とした情報技術の利用を拡大することを目的とした発表と議論を行います。
本セッションは,「ファイナンスにおける人工知能応用」という名称で2008年度から開催していましたが,2013年度から名称を「金融情報学」に変更しました.
募集テーマ
- マルチエージェントを用いた人工市場,市場シミュレーション
- オークションプロトコルなど市場制度設計の理論や技術
- 機械学習,データマイニング,テキストマイニングなどを用いた市場予測
- 知識ベースシステム,意思決定支援システムなどを用いた投資支援
- 金融市場における投資行動,学習の分析やモデル化(行動ファイナンス)
- 予測市場などの新しい市場分野への人工知能の応用
- オントロジーを用いたファイナンス知識の体系化
など
キーワード
- 人工市場
- 金融データ・マイニング
- 金融テキスト・マイニング
- 市場予測
- 行動ファイナンス
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-20 音楽の理解と生成
オーガナイザ
- 大村 英史(東京理科大学)
- 松原 正樹(筑波大学)
- 北原 鉄朗(日本大学)
- 東条 敏(北陸先端科学技術大学院大学)
- 平田 圭二(はこだて未来大学)
内容
音楽と言語は,聴覚を基本とするが,他の様々な知覚チャンネルを通じて情動に働きかけるように身体性を有するメディアである点や,文字や楽譜といった構造を含有する中間記号表現が存在する点では生物学的に同ルーツであると考えられる.一方で,音楽は言語のような具象性に乏しく,抽象性から人間の情動に働きかけるメディアとしてあらゆる文化に根付いていることを考えれば特性が異なる.近年,人間に関する研究分野では,知能だけでなく心や感情に代表されるような抽象的な人間の特性を取り組んだ研究が見られ,知能と心や感情を切り離して考えることに懐疑的な動きがある.音楽は心や感情など抽象的な人間の特性を含み,中間メディアによる分析が可能であることから,人工知能研究には最適な問題設定である.本セッションでは人間と音楽に関するモデル化を通した音楽理解と音楽生成に関する研究を募集する.
なお,本セッションは昨年度まで「音楽と言語」という名称で開催してきたセッションを引き継ぐ形で行う.テーマの例として,音楽の意味論全般,音楽における情動の形式化,旋律や和声などの音楽構造の理解や予測などが考えられる.
キーワード
- 音楽情報処理
- 自動作曲
- 自動音楽分析
- 意味論
- 機械学習
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-21 「プロジェクション科学」の創出と展開
オーガナイザ
- 小野 哲雄(北海道大学)
- 鈴木 宏昭(青山学院大学)
内容
人間の認知的なメカニズムの解明とそのモデル化は、人工知能研究の理論的な基盤をなすものである。しかし近年、従来の理論的な認知モデルの限界も明らかとなってきた。本OSでは、認知科学的視点から「投射」(projection)を中心概念とした新たなモデルを提案し、将来的には現在の人工知能研究と融合させ、知的なシステムの構築に貢献することを目指す。
ここで述べた「投射」の概念について簡潔に説明する。人は外界から情報を受け取り、それについての「表象」を作り上げていると考えられる。人の感覚や知覚はこの表象に基づいている。この感覚や知覚は脳という情報処理システム内に生じるのだが、人はこれを情報の提供元の性質と見なす。つまり、ここでは内部表象の世界への投射が起きている。通常はうまく働く投射であるが、様々な歪みも生じる。たとえば、ラバーハンド錯覚、フルボディ錯覚、腹話術効果などの実験室内の様々な現象、統合失調症における幻聴、幻視、失行症に見られる対象定位の不全などに見られる実在しない対象への投射、VR/ARによる臨場感、没入感などは人間の「投射」の豊かな広がりを示している。
これまでの認知科学や人工知能研究では、この「投射」について研究されることはほとんどなかった。この理由としては投射があまりに当たり前のことであり、その重要性が認識されてこなかったためである。一方、人工知能を含めた情報科学、特にエージェント研究、VR、ARを用いたインタフェース研究では、様々なイノベーティブな装置の開発により、「投射」を自在にコントロールする試みを行ってきた。こうした先端技術を用いて、「投射」という、認識論の根源的な問題に切り込むこと、そしてエージェント、VR、AR研究を飛躍的に発展させ、研究成果を人工知能研究と融合させていくことが本OSの目的である。
キーワード
- 認知科学
- 認知モデル
- 投射(projection)
- ラバーハンド錯覚
- エージェント
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-22 顔文字の科学
オーガナイザ
- 奥村 紀之(明石工業高等専門学校)
- Michal Ptaszynski(北見工業大学)
- Rafal Rzepka(北海道大学)
- 松本 和幸(徳島大学)
内容
本オーガナイズドセッションでは,非言語情報をテキストベースで伝達する手段として広く活用されている顔文字について広く意見交換を行うことを目的とする。日本国内で使用されている顔文字はすでに数万種以上確認されており,Unicodeを利用した顔文字を構成できるようになったことから今後も益々その数が増加していくと予測できる.一方で,自然言語処理をはじめとした言語情報を取り扱う分野では,顔文字をノイズとして除去してしまうことも多い.そこで,本セッションでは,顔文字に関する知見を持つ研究者がそれぞれのアイデア,データを持ち寄り,顔文字に関する知見を集約し,今後の展望について発表者を中心としてパネルディスカッション形式で討論する.また,素材を顔文字に限定せず,絵文字やアスキーアート,スタンプなどの表情を表す非言語情報の他に,クサチュー語・ギャル語・2ちゃん語など文字を分解し他の文字を組み合わせることで表現される文字列に関する知見についても幅広く取り扱う.
テーマの例
- 顔文字など非言語情報の辞書
- 顔文字,絵文字,アスキーアートと感情
- 顔文字などの自動抽出
- 顔文字などの自動分類
- 顔文字などの自動生成
- 言語と非言語行動
- 画像処理としての顔文字認識
- その他の非言語行動に関する研究
キーワード
- 顔文字
- 感情
- 非言語情報
- オンラインコミュニケーション
- 言語解析
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-23 仕掛学:再価値化のデザイン
オーガナイザ
- 松村 真宏(大阪大学大学院経済学研究科)
- 松下 光範(関西大学総合情報学部)
- 塩瀬 隆之(京都大学総合博物館)
- 山根 承子(近畿大学経済学部)
- 平岡 敏洋(京都大学大学院情報学研究科)
- 片山 めぐみ(札幌市立大学デザイン学部)
- 白水 菜々重(関西大学総合情報学部)
内容
ちょっとした仕掛けがちょっとした意識や行動の変化を生み、それが大きな社会的インパクトをもたらすことがある。「仕掛学」では、そのような社会現象、具体的には人の意識や行動を変えるための「仕掛け」とその「効果」を体系的に明らかにすることを目指す研究テーマである。今回は「再価値化のデザイン」の副題をつけ、社会のコンテンツ(製品やサービスや文化や芸術などの資本となるもの)の再価値化により人々の行動変容を促し、それを通じてソーシャル・イノベーションを目指すための価値分析やモデル化、方法論に関する研究発表を募集し、参加者全員で仕掛学について議論を深める場にしたい。
キーワード
- 仕掛け
- 再価値化
- ソーシャルイノベーション
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-24 人工知能が誘発する問題の人工知能による解決を目指して
オーガナイザ
- 中川 裕志(東京大学)
- 堀 浩一(東京大学)
- 西田 豊明(京都大学)
内容
人工知能の発展に伴い種々の社会問題が顕在化しています。例えば、SNSで見られる推薦は利用者の行動履歴などを入力素材に用いた人工知能の利用者プロファイリングの結果を用いますが、利用者の予期しない効果、例えば望まないターゲット広告メールなどが大量に送られてくることがあります。このような人工知能によって誘発された問題は、これまで人間が解決するものと思い込まれていたようです。しかし、人工知能が大量のデータを用いてともすればブラックボックス的な動きをするとき、もはや人間による解決の及ばない状況になっています。したがって、人工知能の誘発する問題を解決する方法は、その原因となった人工知能と同程度の複雑な処理能力を持つ人工知能によって解決する道筋が期待されます。このセッションでは、人工知能によって誘発された社会問題の指摘する発表、およびその解決のための人工知能の仕組みに関する提案に関する発表を募集します。ちなみに、解決の仕組みとしては、人工知能の動作内容の可視化、動作ロジックの人間に理解可能な説明、誘発した問題の早期発見を行う異常検知のような手法、誘発された問題の原因を探索する技術などが考えられます。人工知能の将来性を広い視点で捉えるセッションであるので、関連する話題も歓迎いたします。
キーワード
- 自動運転
- プロファイリング
- 可視化
- 異常検出
- プライバシー
- 倫理
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-25 知的対話システム
オーガナイザ
- 東中 竜一郎(NTT)
- 船越 孝太郎(HRI-JP)
- 藤江 真也(千葉工大)
- 岡田 将吾(東工大)
- 徳久 良子(豊田中央研究所)
内容
対話システムには,音声対話システム,テキスト対話システム,対話エージェントや対話ロボットを含むマルチモーダル対話システムなど,様々なタイプのものがあるが,その根底にあるメカニズムは共通であり,多くの研究課題が共有されている.しかしながら,従来対話システム研究は,様々な要素技術を統合した学際的な研究分野であるがために,音声処理,言語処理,人工知能,ヒューマンコンピュータインタラクション,ロボティクスなど,様々な学会に分散して発表が行われてきており,研究者間の情報交換が難しい状況であった.そこで,2011年より,対話システム研究者を一同に集めて議論を行うべく,本オーガナイズドセッションを開催しており,2011年は9件,2012年は11件,2013年は12件,2014年は8件,2015年は11件の発表,2016年は9件の発表が行われた.
例年多くの参加者が本セッションに会し,活発な研究発表,議論が行われている. 特に,昨年度の参加者は約120人であり,過去5回の参加者数である40〜60人と比較して最多であった.これは,対話システムへの興味が年々高まっていることを示している.
本年も,本オーガナイズドセッションを開催し,対話システム研究の一層の発展のため,最先端の対話システムに関する研究発表を集めたい.加えて,恒例の総合討論も行う予定である.過去の総合討論では,複数の大学や企業の研究所をまたいだ対話システムコミュニティの営みが活性化し,対話データに対話破綻のアノテーションを付与したものを公開することに繋がった.本会SLUD研究会の75回,78回では,このデータセットを用いた評価型ワークショップが開催されている.昨年度はマルチモーダル対話におけるShared タスクのあり方について総合討論を行った.今年度も総合討論を行う予定であるが,このテーマに関しては,具体的かつ実りある議論ができるようオーガナイザで現在検討中である.
テーマの例
- 対話システムの構築
- 対話データの分析
- 対話システムの評価
- 対話システムの要素技術の開発(発話理解,対話管理,応答生成など)
- 対話システムにおける知識獲得
- 対話ロボット
キーワード
- 対話システム
- 自然言語理解
- 対話ロボット
- マルチモーダル
- 音声認識
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-26 エビデンス指向のシステムデザインとラーニングアナリティクス
オーガナイザ
- 緒方 広明(九州大学)
- 平嶋 宗(広島大学)
- 笠井 俊信(岡山大学)
- 堀口 知也(神戸大学)
内容
近年,社会的諸活動におけるエビデンス(科学的根拠)及びアカウンタビリティ(説明責任)が強く求められており,学習支援システムのデザインにおいても,質保証されたエビデンスの蓄積やそのプロセス(適切な利活用)を意識する必要性が高まっている.種々の情報端末やLMS等に記録された大量・詳細な学習行動履歴データを分析・活用しようとするラーニングアナリティクス研究は,データ主導の立場からこれに応えようとするものである.一方,どのようなデータが重要かつ取得に値するかを教授・学習のモデルに基づいて考察し,その収集・活用をシステムの機能として実現するモデル主導による方法も,知的学習支援システム研究において行われてきた.本セッションは,これら二つの方法による様々な研究を一堂に会することで,この研究トピックへの理解の深化とより一層の活性化を目指すものである.
テーマの例
- 教授・学習のモデルに基づくシステム設計と機能の質保証
- エビデンスに基づく学習支援システムの評価
- 学習支援システムにおけるログデータに基づく認知モデリング
- LMS等に蓄積された学習ログに基づくラーニングアナリティクス
- eポートフォリオに蓄積された学習成果データのテキストマイニング
- 携帯情報端末により取得されたライフログの教育的利活用
キーワード
- 教授・学習のモデル
- ラーニングアナリティクス
- プロセス・エビデンス
- 学習行動履歴データ
- データマイニング
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-27 ゲノム医療支援の人工知能の研究開発へ向けて
オーガナイザ
- 荻島 創一(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)
- 水野 聖士(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)
内容
「日本再興戦略」改訂 2015において、医療においてゲノム情報を利活用し、個々人の体質等に適した「ゲノム医療」の実現に向けた取組みを推進することになり、健康・医療戦略推進会議の下に設置された「ゲノム医療実現推進協議会」が課題等の中間とりまとめのうえ、日本医療研究開発機構がゲノム医療実現推進プラットフォーム事業等を開始しました。ゲノム医療の実現にあたっては、最終的には、ゲノム・オミックス情報や医療情報の膨大な時系列のデータからの適切なゲノム医療の支援が必要であり、人工知能の研究開発は重要です。そのデータは非常に高次元の時系列のデータであり、外れ値や欠損値が多くみられ、患者群が健常者群に対して極端に少ないインバランス性、疾患名や病型等の精度の高い分類を得ることが難しい等の課題があります。また、蓄積している医学知識をいかに利活用するかの課題があります。そこで、本セッションでは、ゲノム医療の支援に向けた人工知能の研究開発について、ゲノム医療のゲノム・オミックス情報や医療情報のデータの特性からはじまり、薬剤活性の予測や医用画像を用いた診断支援等の研究が進展している深層学習等の人工知能の研究開発までその現状と問題点を共有し、パネルディスカッションにより議論する。
キーワード
- ヘルスケア
- ゲノム医療
- ビッグデータ
- 深層学習
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-28 合意形成支援のためのAI
オーガナイザ
- 藤田 桂英(東京農工大学)
- 伊藤 孝行(名古屋工業大学)
- 福田 直樹(静岡大学)
- 松尾 徳朗(産業技術大学院大学)
- 白松 俊(名古屋工業大学)
内容
公共政策などの専門家による高度な意思決定においても、多数の市民からの意見を集約し、合意へ導くことが必須になってきている。しかし、既存の方法論による、対面式の閉じた空間かつ限られた時間でのワークショップでは、多数の意見を集約することは非常に困難である。一方、SNSなどを使った大規模な人数の意見交換が可能になっているが、人工知能を用いた意見集約・合意形成支援に関する方法論は発展途上である。そこで、人工知能を用いて大規模な意見集約・合意形成を支援する学術的成果や社会実装の成果を対象としたオーガナイズドセッションを企画する。
具体的なテーマとして
- 議論理解や議論支援のための研究(知識管理・整理、議論内容の構造化、インセンティブメカニズム)
- 炎上のような無秩序な状況を防ぎ、より良い合意を導くための研究(ファシリテーションの方法論・支援、マルチエージェント協調、集合知、メカニズムデザイン、ゲーム理論)
- 合意形成の事例を様々なフィールド共有するための仕組み(オントロジー、Linked Open Data)
などの合意形成支援のための人工知能に関連する幅広い研究成果を募集する。
また、人工知能に閉じた情報工学的な発表のみではなく、最新の合意形成支援システムを導入した社会実験や社会実装も対象とする。
本オーガナイズドセッションはJST CREST「エージェント技術に基づく大規模合意形成支援システムの創成(代表者:伊藤孝行)」と協調して進めていく。
キーワード
- 合意形成支援
- マルチエージェント
- 集合知
- Linked Open Data
- インセンティブメカニズム
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-29 ことば–コンピュータ–コミュニケーション
オーガナイザ
- 阿部 明典(千葉大学)
- 松澤 和光(神奈川大学)
内容
本セッションでは、昨年に引続き、コンピュータの上でことばを扱う問題に関して議論する予定である。
コンピュータなどの機械メディアの上でことばを扱う研究を各々の観点から分野を横断して議論をしたいと考えている。
テーマ例
コンピュータ、認知科学、社会学、心理学、脳科学、哲学、人工知能などの面から見た
- ことばの問題
- ことばの特性
- ことばの生成、デザイン
- 文学の問題)
- 文学の特性)
- 文学の生成、デザイン
- コミュニケーションの問題
- コミュニケーションの特性
- コミュニケーションの生成、デザイン
- 駄洒落、ユーモア、修辞等上記に深く関わる現象に関しても同様の議論
その他、
- 広告コミュニケーションなどのアプリケーションがらみの話
など
キーワード
- ことば工学
- 感性
- コミュニケーション
- 修辞
- 表現の仕方
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-30 身体知の表現と獲得
オーガナイザ
- 藤波 努(北陸先端科学技術大学院大学)
- 松浦 慶総(横浜国立大学)
内容
楽器の演奏やスポーツなど、人間が長年の修練を経て獲得する技には知的な要素が含まれていると考えられるが、それがどのような種類の知能の顕れなのか、またいかにして獲得されるのかは明らかではない。技は個人が独力で獲得する方法もあるが、一般には教師の助言と指導のもとに研鑽を積んで身につけていくことが多い。技の内容は言葉で表現しにくいため、教師から生徒に伝わりにくい。言語以外の手段(たとえばグラフなど)の併用は技の伝達に寄与すると予想されるが、その方法と効果については未知である。本セッションは、技の習得を可能にしている知的なものを身体知と捉え、それがどのように表現されるのか、またいかに伝えられるのかを議論する。
キーワード
- 知識表現
- 知識獲得
- 技能継承
- 身体性
- 暗黙知
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-31 経営課題にAIを!
オーガナイザ
- 寺野 隆雄(東京工業大学)
- 高橋 大志(慶應義塾大学)
- 倉橋 節也(筑波大学)
- 菱山 玲子(早稲田大学)
- 後藤 裕介(岩手県立大学)
- 小林 知巳(小林マネジメント研究所/早稲田大学)
- 鳥山 正博(立命館大学)
内容
近年、経営分野における人工知能研究の発展は目覚ましく、マーケティング、情報システム、経営環境、財務など、様々な経営課題に対して取り組みが進んでいます。
本オーガナイズドセッションでは、ビジネスおよび経営分野における人工知能研究および関連する諸研究の議論の場として開催します。
経営分野に関心のある工学系研究者、人工知能応用に関心のある経営系研究者、ビジネスの最前線にいる実務家など、お互いの課題や研究成果・研究構想を発表し議論する場を設けることを通して、国際競争力の更なる向上が課題となっている日本の経営力を、人工知能技術の利用を通して強化することを目指します。
キーワード
- ビジネス・インフォマティクス
- 企業ビッグデータ活用
- 経営シミュレーション
- 企業価値分析
- イノベーション・マネジメント
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-32 建築,都市環境のレジリエンスを支えるAI
オーガナイザ
- 鈴木 琢也(竹中工務店)
- 荒井 幸代(千葉大学)
内容
建築は人が生活していく上で必要な「衣食住」のうちの「住」を担う重要な要素であり,建設産業は,社会資本整備の担い手として、欠かすことのできない基幹的産業である。
本OSでは,建築・建設・都市計画分野への適用を目的とした人工知能技術に関する発表を募集する。「建築」という言葉の守備範囲は,非常に広範かつ多岐にわたり,建築を具現化するための計画は,単体としての構造的,芸術的,機能的な要求のほか,都市計画や人間社会的な集団的な要件も考慮された上で立案・実施される。そのため,人工知能技術の適用すべき個所も様々なものが考えられるが,その複雑さのため他産業に比べて人工知能技術の積極的な適用は行われていない。本OSが人工知能技術と融合による次世代のレジリエントな建築,住環境の実現に向けた有意義な議論の場となり,今後,建設産業の発展に資することを期待している。
テーマの例
- 照明や空気質など室内環境制御への適用
- 構造解析高速化技術への適用
- 構造設計最適化への適用
- ビル管理システムへの適用
キーワード
- 建築
- 都市環境
- 進化計算
- 事例ベース推論
- 機械学習
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-33 脳科学とAI
オーガナイザ
- 山川 宏(株式会社ドワンゴ)
- 森川 幸治(パナソニック株式会社)
- 岡本 洋(富士ゼロックス株式会社)
内容
近年,脳科学分野は脳機能イメージング,信号処理技術等を活用することでブレインマシンインタフェース,リハビリテーション,神経経済学などの応用分野が見え始めています.一方で,神経科学の知見が爆発的に増加し,人工知能分野においても,脳型の情報処理技術やDeep Learning,圧縮センシング,認知アーキテクチャ,計算知能などの研究の新たな進展も期待されています.
本オーガナイズドセッションは,この脳科学とAIの橋渡しになるような境界領域のテーマを募集します.
テーマ例
- 脳計測データの分析,信号処理
- ニューラルコンピューティング(Deep Learning/圧縮センシング等)
- 全脳エミュレーション/シミュレーション
- 脳情報の符号化/復号化(エンコーディング/デコーディング)
- ブレインマシンインタフェース
- 脳活動を利用したユーザインタフェースとその評価
- 専門能力/スキルの脳科学的理解
- 脳活動評価と医療応用
- ニューロ・リハビリテーション
- 脳科学の教育応用
- ソーシャルインタラクションにおける脳活動
- 神経経済学,ニューロマーケティング
- システム神経科学
- 脳型計算知能,認知アーキテクチャ,脳の計算モデル
- 脳型アーキテクチャ
- ニューロインフォマティクス(オントロジ/データマイニング/モデリング等)
- 脳活動を利用した感性情報処理
- 認知発達ロボティクス
- 脳型計算機のハードウェア
- 上記以外の脳科学とAIに関わる研究
キーワード
- システム神経科学
- ブレインマシンインターフェース
- 脳型計算機
- 脳科学応用
- 脳情報表現,脳の計算モデル
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-34 マイニングと知識創発
オーガナイザ
- 砂山 渡(滋賀県立大学)
- 加藤 恒昭(東京大学)
- 西原 陽子(立命館大学)
- 松下 光範(関西大学)
内容
多量のデータを理解し,そこから新しい知識を創発する目的で行われるテキストマイニング・データマイニングにおいては,人とコンピュータシステムのインタラクションを通じて,協働・共同による両者の連携が重要になります.本セッションでは,この知識創発に向けた,人とコンピュータに広く関わる研究発表を募集します.知識創発を支援するコンピュータシステム,そこでのインタラクションのデザイン,またこれらのプロセスに関する認知科学的モデルなど,システム構築から理論的考察まで,幅広いトピックを集め,総合的な議論を行いたいと考えています.更に,人と人とがコンピュータを通じてインタラクションを行い,協働・共同して知識創発を実現するプロセスにも,視野を広げていきたいと思います.また,総合的な視点だけでなく,コンピュータの処理結果についての人の理解を助ける情報可視化や,インタラクションのひとつ形式である言語による対話の管理など,知識創発に向けた人とコンピュータを支える要素技術の提案も歓迎します.
キーワード
- インタラクティブマイニング
- 知識創発
- 情報理解
- インタラクションデザイン
- ヒューマンセンタード
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-35 社会的信号処理とAI
オーガナイザ
- 岡田 将吾(東工大)
- 石井 亮(NTT)
内容
社会的信号処理(Social Signal Processing)とは,言語・音声・視線・姿勢・ジェスチャ・生体情報といった複数のチャネルより得られる信号情報を統合し,人間の情動・態度・個性・スキル・リーダシップや,人間同士のコミュニケーションのメカニズムといった,人間が行動・コミュニケーションを通じて形成する社会性の側面を理解・計算するための技術である.この技術は,対話システム・ロボット,マルチメディア解析,コミュニケーション支援,インタラクティブシステムなどで重要な基盤となることから,近年,大きな注目を集めている.
社会的信号処理研究を推進するには,言語・音声・画像・生体信号処理や,機械学習・データマイニングといった,人工知能に関連の深い技術に加え,人間の行動・コミュニケーションの理論を構築する社会学・言語学・心理学などの知見が重要となる.このように,社会的信号処理は,異なる研究領域を横断した学際的な取り組みが必須である壮大な研究テーマである.
「社会的信号処理」に関する研究は,近年,多くのトップレベル国際会議で主要なトピックとして扱われており,例えば,ACM International Conference on Multimodal Interaction (ICMI), ACM Multimedia, IEEE FG, IEEE ICASSP, ACM Ubicomp, Affective Computing and Intelligent Interaction (ACII)などがあり,様々な研究発表の場が整備されている.一方,日本国内においては,「社会的信号処理」に関して発表する主要な場が存在しない状況であり,コミュニティも十分に形成されていない.このような状況を踏まえて,本OSは,社会的信号処理の研究に携わる,国内の研究者を一堂に集め,研究発表・議論を行う場を構築することを目的としており,当分野の発展,コミュニティの形成を行う上で重要な機会として位置づけている.
テーマの例
- 社会的信号処理の基礎(音声,言語,画像,生体信号などのマルチモーダル情報処理)
- 社会的信号処理に基づく人間の内部状態(感情,個性など)の理解・認識
- 社会的信号処理に基づくコミュニケーション状態の自動理解
- 社会的信号処理に基づくヒューマンコンピュータインタラクション技術
- 社会的信号処理に基づく認知モデリング
- 社会的信号処理に基づくコミュニケーション支援
- マルチモーダル対話システム,マルチモーダル対話ロボット・エージェント
キーワード
- 社会的信号処理
- マルチモーダル
- マルチメディア
- 信号処理
- 機械学習
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-36 農業とAI
オーガナイザ
- 朱 成敏(国立情報学研究所)
- 武田 英明(国立情報学研究所)
内容
近年、日本では農業就業人口の減少と農業従事者の高齢化が進んでおり、農家の生産性と生産所得の低下が懸念されている。また、これは国全体において食糧の安定な供給に影響を与える可能性があり、現在農業分野では革新的な変化に対する期待が高まっている。その変化を主導する主体としてIT技術が注目されている。農業分野にIT技術を導入することで生産の効率化,生産性と品質の向上を確保することができ,農業全体の価値の上昇も期待される。本OSは農業のスマート化を実現するための基盤技術について考察し、様々なIT技術を農業分野と融合させることで、農業現場における生産性の拡大と生産作業の効率向上を図る。
テーマ例
- IT基盤の営農支援・管理手法
- 農業におけるセンサーネットワーク
- 知識基盤の農業
- 農業ITシステムにおけるデータの標準化
- 収穫時期・量の予測手法
- 栽培の自動化
キーワード
- 農業
- 農業情報
- スマート農業
- 精密農業
- データ管理
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-37 記号創発ロボティクス
オーガナイザ
- 横山 裕樹(玉川大学)
- 堀井 隆斗(大阪大学)
- 谷口 彰(立命館大学)
- Ye Kyaw Thu(岡山県立大学)
- 坂戸 達陽(NII)
- 青木 達哉(電気通信大学)
内容
人間の知能は身体的な環境との相互作用に基づきながらボトムアップに形成されていく.私達人間が利用する言語や記号も人間の適応的な知能の一部として捉えられ,記述され,表現されていく必要がある.
伝統的なAIやロボティクスは,予め与えられた概念を基に記号列を推定,操作することに主眼を置いてきた.一方で,自らの身体から得られるマルチモーダル情報に基づき,また,相互作用の文脈から相互信念を形成する過程を通して,言語を獲得し,運用していく人間知能に関する計算論的理解は未だに十分ではない.
人間と長期的なコミュニケーションを継続させ,実りあるコラボレーションを実現する知能ロボットを実現するためには,記号創発システムとして表現される人間社会の中に参画するだけの適応性を持たねばならない.
記号創発ロボティクスでは,ボトムアップに概念獲得や言語獲得,動作獲得を行なう知能を機械学習装置やロボット,エージェントとして創りだすことにより,人間の言語的コミュニケーションについての構成的理解を深めていくことを目指す.
本セッションでは,この新しい研究領域 ―記号創発ロボティクス― に係る基礎から実用化研究に携わる研究者が一同に会し,近未来の課題と解決への取組みを討議する.
トピック例
- 記号創発
- シンボルグラウンディング
- マルチモーダル対話
- 概念学習
- 物体操作学習
- 言語獲得
- 対話戦略・対話調整とスキルの学習
- 言語発達
- 言語進化
- 動作の言語化
- 動作の分節化
- 環境の分節化
- 一般物体認識・学習
- 文章生成
- 自己位置学習
- 強化学習
- 模倣学習
- 音声認識
- 映像情報処理
- 自然言語処理
- 実世界情報処理
- 記号論
キーワード
- 記号創発システム
- マルチモーダル対話
- 概念学習
- 物体操作学習
- 言語獲得
- 実世界理解
昨年度実施セッション(JSAI2016)
特記事項
本OSは人工知能学会・日本ロボット学会の共催となっております.
今回の特例として,ロボット学会員の皆様には,人工知能学会員価格の参加費が適用されます.
発表を検討されている方はオーガナイザに事前にご連絡ください.連絡なしに申し込まれた場合,人工知能学会員価格が適用されません.
- オーガナイザー(連絡先)
横山 裕樹(玉川大学) hiroki.yokoyama@okadanet.org
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-38 グリーンAI ~AIによる環境貢献~
オーガナイザ
- 松井 孝典(大阪大学)
- 柴田 博仁(富士ゼロックス株式会社)
- 福井 健一(大阪大学)
- 森 幹彦(京都大学)
- 熊澤 輝一(総合地球環境学研究所)
内容
環境に対するサステナビリティのデザインは人類が取り組むべき最重要な戦略的課題のひとつです.例えば,自然環境や環境汚染のモニタリング,生物多様性の保全,エネルギーの最適・均衡的配分,資源の循環利用,快適な都市環境デザインや農林水産業の振興,災害復興,グリーンエコノミーの進展や環境教育の支援などがあります.このような中でAI研究の分野が果たすべき役割や果たしうる貢献は極めて大きなものです.機械学習,データマイニング,エージェントシミュレーション,オントロジー,最適化,情報視覚化など,多岐にわたった技術や方法論が適用可能です.このように扱う問題も様々で,そこに適用される技術や方法論も様々であるため,相互に関連しあう分野の連携と体系化が重要になります.そこで,ニーズ側とシーズ側の意見交換を行う場として2011年より全国大会にてオーガナイズドセッション「グリーンAI」を継続して開催してきました.また,2013年7月号にて学会誌特集「グリーンAI」,2016年には最新の研究成果を特集論文としてまとめることで,新しい本研究領域の発展とプラットフォーム化を加速させてきました.
本企画セッションでは,AI分野の様々な技術を活用して環境問題にアプローチした研究発表を広く募集します.特に環境問題に即したAI技術の有効な使い方,AI技術の有用な組合せ方,有用なツールの開発等の実践的なAIシステムに関する研究を取り上げます.また,直接的に環境問題を扱っていなくても,環境に関わるトピックスにAIを活用した研究やシステム開発に関する研究,もしくは社会科学や人文科分野などからのAIと環境に関わる分析や実践の研究,提案論文なども歓迎します.
キーワード
- 持続可能性
- 地球環境問題
- AI技術応用
昨年度実施セッション(JSAI2016)
今年度実施セッション(JSAI2017)
OS-39 Linked Dataとナレッジグラフ
オーガナイザ
- 古崎 晃司(大阪大学)
- 武田 英明(国立情報学研究所)
- 長野 伸一(株式会社東芝)
- 細見 格(日本電気株式会社)
- 森田 武史(慶應義塾大学)
- 山口 高平(慶應義塾大学)
内容
Webの仕組みを利用した,構造化データの公開の仕組みであるLinked Dataは,学術,Webメディア,行政,産業など様々な分野において活用されています.また,Linked Dataは,誰でも自由に利用が可能なオープンデータ(Open Data)を公開・活用するための手法としても注目され,この技術を用いたLinked Open Data(LOD)を公開する取り組みも,各分野で広がっています.そのような様々な知識が相互にリンク(連携)されたものはナレッジグラフと呼ばれ,AIによる意味処理の知識基盤として,盛んに構築・活用が進められています.
本セッションは,本研究領域における多様なアプローチ,および新たな方向性について議論する場とします.Linked Data・ナレッジグラフの構築・活用に限定せず,オントロジー研究との融合,社会での情報共有やビジネスへの応用など,幅広い研究発表を募集します.
なお,本セッションは,2011-2014年度は「Linked Dataとオントロジー」,2015-1016年度は「Linked Dataとオープンデータ活用」という名称で開催しておりましたが,今年度より名称と内容を「Linked Dataとナレッジグラフ」に変更しました.
キーワード
- Linked Data
- ナレッジグラフ
- オントロジー
- オープンデータ
- 知識統合