応募総数 | 採択件数 | 条件付き採択 | 総採択件数 | 実施件数 |
---|---|---|---|---|
41件(重複申請除く) | 26件 | 4件 | 28件 | 25件 |
オーガナイズドセッション一覧
- OS-1 計算社会科学(鳥海 不二夫,笹原 和俊,吉田 光男,瀧川 裕貴,榊 剛史,高野 雅典)
- OS-2 コミック工学とAI(山西 良典,松下 光範,上野 未貴)
- OS-3 質感と感性(坂本 真樹,渡邊 淳司)
- OS-4 Well-being Computing(日和 悟,廣安 知之,髙玉 圭樹,城戸 隆,小野 弓絵)
- OS-5 人とAIが織りなす新たなエコシステム(中川 裕志,山川 宏,浅田 稔,井上 智洋,今井 倫太,江間 有沙,金井 良太,松原 繁夫)
- OS-6 自律・創発・汎用AIアーキテクチャ(栗原 聡,川村 秀憲,津田 一郎,大倉 和博)
- OS-7 「プロジェクション科学」の展開と発展(小野 哲雄,岡田 浩之,鈴木 宏昭)
- OS-8 異分野データ連携におけるデータ市場とデザイン(早矢仕 晃章,大澤 幸生)
- OS-9 プロセス中心のシステムデザインとラーニングアナリティクス(緒方 広明,平嶋 宗,松居 辰則,堀口 知也)
- OS-10 農業とAI(武田 英明,小林 一樹,朱 成敏)
- OS-11 AIによる地域課題の解決(中島 秀之,松原 仁,鈴木 恵二,山本 雅人,金森 亮,山下 倫央)
- OS-12 マイニングと知識創発(砂山 渡,加藤 恒昭,西原 陽子,森 辰則,高間 康史)
- OS-13 人狼知能と不完全情報ゲーム(片上 大輔,大澤 博隆,狩野 芳伸,稲葉 通将,大槻 恭士)
- OS-14 社会的信号処理とAI(岡田 将吾,石井 亮)
- OS-15 実社会問題へのチャレンジ(本村 陽一,鈴木 譲,原田 奈弥)
- OS-16 AI における離散構造処理と制約充足(戸田 貴久,番原 睦則,波多野 大督)
- OS-17 不動産とAI(清田 陽司,山崎 俊彦,諏訪 博彦,清水 千弘)
- OS-18 建築,都市環境のレジリエンスを支えるAI(鈴木 琢也,荒井 幸代)
- OS-19 臨床の知(諏訪 正樹,藤井 晴行,加藤 文俊)
- OS-21 人工生命の新展開: 進化・創発・ウェブ計算(池上 高志,岡 瑞起,チェン・ドミニク,飯塚 博幸,鈴木 麗璽)
- OS-22 身体と触覚の重層的な認知(福島 宙輝,宮本 和典,福本 淳一)
- OS-24 食とAI(野中 朋美,藤井 信忠)
- OS-25 人工知能と倫理(神崎 宣次,久木田 水生,服部 宏充)
- OS-27 人工知能の医療応用(荒牧 英治,大武 美保子,奥村 貴史,津本 周作,堀口 裕正)
- OS-28 複雑化社会における意思決定・合意形成のためのAI技術(福島 俊一,福田 直樹,伊藤 孝行,白松 俊,西田 智裕)
OS-1 計算社会科学
オーガナイザ
- 鳥海 不二夫(東京大学)
- 笹原 和俊(名古屋大学)
- 吉田 光男(豊橋技術科学大学)
- 瀧川 裕貴(東北大学)
- 榊 剛史(ホットリンク)
- 高野 雅典(サイバーエージェント)
内容・テーマの例
Webのソーシャル化や実空間での様々な行動センシングが進行している現在,人々の自発的な情報行動やコミュニケーションなどの詳細はデジタルに記録・蓄積されるようになりました.このような大規模社会データを情報技術によって取得・処理し,分析・モデル化して,人間行動や社会現象を定量的・理論的に理解しようとする学問が「計算社会科学」 (Computational Social Science)です.
計算社会科学OSでは,大規模社会データ分析研究,社会シミュレーションによる理論的研究,バーチャルラボ(ウェブを使った大規模行動実験)による実験的研究などを使い,人間行動や社会現象を理解することを目指した研究を募集します.
キーワード
- 大規模社会データ分析
- 社会シミュレーション
- バーチャルラボ
- ソーシャルメディア分析
OS-2 コミック工学とAI
オーガナイザ
- 山西 良典(立命館大学)
- 松下 光範(関西大学)
- 上野 未貴(豊橋技術科学大学)
内容・テーマの例
コミックを対象とした研究を分野横断的に広く募集します.
例えば,「コミックの解釈」「キャラクター認識」「コミック表現の応用」「オノマトペの理解」「新しいコミックの提案」「コミックの国際化」などの研究を募集しますが,これらに限りません.このOSでは,日本が世界に発信する重要文化ソースであるコミックを取り扱うために必要となるMultimedia処理技術やインタフェース,データベース,マーケティングなどについて議論することを目指します.コミックというMixed-mediaへのアプローチを通して,Multimedia処理技術を複合的に扱う,あるいは,そのような複雑なmediaから生まれる感性の処理についてを扱う研究領域をオーガナイズします.
キーワード
- コミック工学
- マルチメディア処理
- インタフェース
- データベース
- エンターテインメントコンピューティング
OS-3 質感と感性
オーガナイザ
- 坂本 真樹(電気通信大学)
- 渡邊 淳司(日本電信電話株式会社)
内容・テーマの例
人は,五感を通して多様な質感を知覚し,複合的に快不快,好き嫌いなどの価値判断を行い,様々な行動選択を行っている.質感を入力するインタフェースとなる五感ごとに,研究の進捗と方法論は異なっている.視覚的質感研究は研究が進んでいるとされるが,人の目に見えるレベルでの視覚的質感認知メカニズムの解明,人工知能がどこまで人の視覚的質感認知メカニズムを再現可能なのかは未確認である.視覚に比べて原始的な感覚とされてきた触覚研究は,人工知能に触感を呈示認識,再生させる技術開発が待たれる.複雑な信号変調により生じる聴覚的質感,高次感性処理の関係の解明,視触覚や嗅覚と切り離せない味覚的質感,高次感性処理の関係の解明も課題が多い.各感覚入力を通して得られる質感が複雑な質感概念ネットワークを構成している脳の全体像を解明するための方法論として,近年発展が著しいディープラーニングを含む統計的機械学習があるが,画像など視覚を対象とした研究が主となっている.本OSは,独立に研究が行われることの多い五感を対象とする研究者による報告を通して,研究成果の進捗を共有し,方法論も共有できる機会としたい.本OSの研究テーマは,人の五感と好き嫌いなどの価値判断に関わる理工系の研究(画像処理,触覚工学,音響学,機械学習,感性工学,言語処理)を中心としながら,知覚心理物理研究,脳神経科学といった生物系の研究者との連携も図り,質感情報処理の科学的な理解と新たな人工知能研究の開発の可能性について検討する場としたい.
キーワード
- 触覚
- 視覚
- 味覚
- 聴覚
- 嗅覚
- 感性
OS-4 Well-being Computing
オーガナイザ
- 日和 悟(同志社大学)
- 廣安 知之(同志社大学)
- 髙玉 圭樹(電気通信大学)
- 城戸 隆(株式会社Preferred Networks)
- 小野 弓絵(明治大学)
内容
国連や世界経済フォーラムなどの国際社会においてウェルビーイング(心理的・社会的・身体的幸福)の推進が積極的に議論されている.わが国でも2015年12月より,改正労働安全衛生法により労働者へのストレスチェックが義務付けられるなど,これまでの単に「病気でないこと」という身体的健康に加えて,精神的・社会的にも良好な状態にあることが重要視されつつある.このような背景から,ヒトのウェルビーイングを促進することを目的とした情報技術=Well-being Computingが注目を集めている.本セッションでは,ウェルビーイングを促進するための人工知能を始めとするコンピューティング技術や,ヒトの内部状態を推定するための生体情報計測と情報処理,あるいはテクノロジーの介入がウェルビーイングに及ぼす影響など,ウェルビーイングに関わる研究トピックを広く募集し,分野横断的に議論する場としたい.
テーマの例
- 生体情報に基づく人の状態推定(機械学習,クラスタリング)
- ストレス計測・モニタリングのためのコンピューティング技術
- 睡眠のモニタリングと分析
- ニューロフィードバック技術とアプリケーション
- マインドフルネスの科学的分析,そのビジネス応用
- テクノロジーの介入が人のWell-beingに及ぼす影響
キーワード
- Well-being
- Positive computing
- 生体情報計測と情報処理
- ニューロフィードバック
- マインドフルネス
OS-5 人とAIが織りなす新たなエコシステム
オーガナイザ
- 中川 裕志(理研 革新知能統合研究センター)
- 山川 宏(ドワンゴ/全脳アーキテクチャ・イニシアティブ)
- 浅田 稔(大阪大学)
- 井上 智洋(駒沢大学)
- 今井 倫太(慶應義塾大学)
- 江間 有沙(東京大学)
- 金井 良太(アラヤ)
- 松原 繁夫(京都大学)
内容・テーマの例
AIが人々の生活の中に浸透するにつれ、そのメリットのみならずリスクも危惧される。身近には、データ処理によるバイアス、職業への影響面が指摘されている。また中長期的には、貨幣経済、資本主義、法制度、倫理観、労働の価値、民主主義などといった社会的枠組みも影響をもたらしうる。特に今後のAIにおいて汎用性、自律性、ネットワーク化が進むことで、様々な変化が加速し、社会や個人がその変化に追随すること事態が困難となりうる。人の能力がAIで拡張されたとしても人とAIが織りなすシステムの全体は大自然の如く複雑広大であり、個人としても人類全体としても、それを完全には理解し把握できない。
こうした背景を踏まえれば、人々が速すぎる変化から守られつつ遍く恩恵を得られ、なおかつ持続可能な形を造り出すためのエコシステムを新たに構築することは急務である思われる。なすべきことは数多いが、例えば、AIは不具合やハッキングを避けなが高度なロバスト性をもたせる必要がある。AIと人間の対話のあり方はいかにあるべきか。さらに技術進展にキャッチアップしたリスク管理や法制度整備をおこなうためにマルチエージェントシミュレーションなどを用いる必要も生ずるだろう。AI自身が持つべき価値観(公平性/公正性を含む)や、AIが占めるべき法的および倫理的な地位(人格)や責任についての研究も必要である。
多様な懸念事項に対処するには基本的には多面的なアプローチを取らざるを得ない。学術的には、計算機技術のみならず、倫理、哲学、経済、社会、心理、法律、歴史、政治、社会などのさまざまな分野の専門家の声を取り入れてゆくことが有効であろう。さらに、日本のAI学会としては、東洋もしくは日本の価値観を活かしながら世界的なコラボレーションにむけて貢献できるよう、技術的な議論を深める場をつくることは有意義であり。こうした活動を起点として国内の関連した活動を連携させる動きに貢献したい。
(参考: 英国のCentre for the Future of Intelligence)
キーワード
- エコシステムのフレームワーク
- Human Agent Interaction
- Multi-Agent System
- 公平性/公正性
- AI人格と責任
OS-6 自律・創発・汎用AIアーキテクチャ
オーガナイザ
- 栗原 聡(電気通信大学大学院情報理工学研究科)
- 川村 秀憲(北海道大学大学院情報科学研究科)
- 津田 一郎(中部大学創発学術院)
- 大倉 和博(広島大学大学院工学研究科)
内容・テーマの例
今後の少子高齢化社会においては,AIを労働力として積極的に導入することが急務である.その場合,人とAIとのインタラクションが発生するが,人がAIに対して違和感や驚異を感じることがあってはならない.人がAIに対して親近感や安心感を感じ,人間同士における間合いや気配りといった一体感を人とAIとの間でも構築できることが極めて重要となる.このように,AIが人と共生するためには,現在のツール型AIでは必要とされない「自律性と目的指向性」が極めて重要な要素となる.目的指向に基づいた人や環境の状態に対するセンシングと能動的な人や環境へのインタラクション能力を創出する必要がある.そして,そのような知能アーキテクチャには環境に対する高い適応性と汎用性が求められ,まだ黎明期になる創発型のアーキテクチャなどの開発にも重点を置く必要がある.本OSでは,今後において重要性が高まる自律型AIを実現するための知能アーキテクチャ,認知アーキテクチャ,行動選択アルゴリズム,自律エージェントアーキテクチャ,創発メカニズムなどに関する研究発表を募集し,人と共生する日本型AIを実現するための中核となる自律性に関する研究コミュニティの活性化を目指す.
キーワード
- 自律性
- 創発メカニズム
- 汎用人工知能
- 群知能
- 目的指向性
OS-7 「プロジェクション科学」の展開と発展
オーガナイザ
- 小野 哲雄(北海道大学)
- 岡田 浩之(玉川大学)
- 鈴木 宏昭(青山学院大学)
内容・テーマの例
人間の認知的なメカニズムの解明とそのモデル化は、人工知能研究の理論的な基盤をなすものである。しかし近年、従来の理論的な認知モデルの限界も明らかとなってきた。本OSでは、認知科学的視点から「投射」(projection)を中心概念とした新たなモデルを提案し、将来的には現在の人工知能研究と融合させ、知的なシステムの構築に貢献することを目指す。
ここで述べた「投射」の概念について簡潔に説明する。人は外界から情報を受け取り、それについての「表象(内部モデル)」を作り上げていると考えられる。人の感覚や知覚はこの表象に基づいている。この感覚や知覚は脳という情報処理システム内に生じるのだが、人はこれを情報の提供元の性質と見なす。つまり、ここでは内部表象の世界への投射が起きている。通常はうまく働く投射であるが、様々な歪みも生じる。たとえば、ラバーハンド錯覚、フルボディ錯覚、腹話術効果などの実験室内の様々な現象、統合失調症における幻聴、幻視、失行症に見られる対象定位の不全などに見られる実在しない対象への投射、VR/ARによる臨場感、没入感などは人間の「投射」の豊かな広がりを示している。
これまでの認知科学や人工知能研究では、この「投射」について研究されることはほとんどなかった。この理由としては投射があまりに当たり前のことであり、その重要性が認識されてこなかったためである。一方、人工知能を含めた情報科学、特にエージェント研究、VR、ARを用いたインタフェース研究では、様々なイノベーティブな装置の開発により、「投射」を自在にコントロールする試みを行ってきた。こうした先端技術を用いて、「投射」という、認識論の根源的な問題に切り込むこと、そしてエージェント、VR、AR研究を飛躍的に発展させ、研究成果を人工知能研究と融合させていくことが本OSの目的である。
キーワード
- 認知科学
- 表象(内部モデル)
- 投射(プロジェクション)
- Projected Reality
- エージェント
- VR/AR
OS-8 異分野データ連携におけるデータ市場とデザイン
オーガナイザ
- 早矢仕 晃章(東京大学)
- 大澤 幸生(東京大学)
内容・テーマの例
近年、様々な分野で蓄積された膨大なデータを利用し、意思決定に役立てようとする動きが活発になり、ビッグデータの世界的なブームも起きた。さらに、人工知能(AI)の普及も後押しし、データの役割はますます重要となってきている。そのような社会背景の中で、既存の分析技術や統計学では扱えないデータが登場し、さらに今までAIが主要技術ではなかった分野においても注目が集まっている。そこで、一つの企業や組織のデータではなく、異なる領域のデータやAI技術を流通・交換・連携させることで新しい価値を発見し、問題解決を行う動きが活発となってきた。本オーガナイズドセッションでは、データ・AI技術・人間の相互作用によるデータの価値発見と交換によるイノベーションの場を「データ市場」と定義し、産官学民から多様なデータ利活用事例、データ利活用によるイノベーションを促進するためのコミュニケーション技法、データ価値化手法、認知プロセス、知識構造化、データ市場及びそのデザインに関する発表を広く募集する。また、データ市場及びデータ流通を阻害する社会的要因等についても議論し、これからのデータ駆動型社会に向けた提言も行っていく。以上に述べたデータ市場の最新の研究及びデータ流通環境整備技術をオーガナイズドセッションとしてまとめ、学会員及び全国大会参加者らに提供し、議論することを狙いとする。
キーワード
- データ市場
- データ設計
- シナリオ
- データ流通
- メタデータ
OS-9 プロセス中心のシステムデザインとラーニングアナリティクス
オーガナイザ
- 緒方 広明(京都大学)
- 平嶋 宗(広島大学)
- 松居 辰則(早稲田大学)
- 堀口 知也(神戸大学)
内容
近年,単に知識や技能を習得するだけでなく,問題に対して論理的・批判的に思考するコンピューテーショナルシンキングやクリティカルシンキングといった能力を育成することへの関心が高まっている.このような学習をコンピュータ・システムによって支援しようとするとき,学習の成果物(プロダクト)のみを評価する従来の手法では不十分であり,学習の過程(プロセス)をデータに基づいて評価する手法を確立することが不可欠となる.種々の情報端末やLMS等に記録された大量・詳細な学習行動履歴データを分析・活用しようとするラーニングアナリティクス研究は,データ主導の立場からこの問題へアプローチすることを可能にするものである.一方,どのようなデータが重要かつ取得に値するかを教授・学習のモデルに基づいて考察し,その収集・活用をシステムの機能として実現するモデル主導による方法も,知的学習支援システム研究において試みられてきた.本セッションは,これら二つのアプローチによる様々な研究を一堂に会することで相互の交流を図り,両者の協働への展望を得ることを目的とする.
テーマの例
- 教授・学習のモデルに基づくシステム設計と機能の質保証
- 論理的・批判的思考力養成の観点から見た学習支援システムの設計・評価
- 学習支援システムにおけるログデータに基づく認知モデリング
- LMS等に蓄積された学習ログに基づくラーニングアナリティクス
- eポートフォリオに蓄積された学習成果データのテキストマイニング
- 携帯情報端末により取得されたライフログの教育的利活用
キーワード
- コンピューテーショナルシンキング
- クリティカルシンキング
- 教授・学習のモデル
- ラーニングアナリティクス
- 学習のプロセス
- 学習行動履歴データ
- データマイニング
OS-10 農業とAI
オーガナイザ
- 武田 英明(国立情報学研究所)
- 小林 一樹(信州大学)
- 朱 成敏(国立情報学研究所)
内容
近年,日本では農業就業人口の減少と農業従事者の高齢化が進んでおり,農家の生産性と生産所得の低下が懸念されている.また,国全体において食糧の安定な供給に影響を与える可能性があり,現在農業分野では革新的な変化に対する期待が高まっている.その変化を主導する主体として情報通信技術(ICT)やInternet of Things(IoT)、人工知能(AI)が注目されている.農業分野にICTやIoT,AI関連技術を導入することで生産の効率化と生産性と品質の向上を確保することができ,農業全体の価値の上昇も期待される.本OSは農業のスマート化を実現するための基盤技術について考察し,様々な先端技術を農業分野と融合させることで,農業現場における生産性の拡大と生産作業の効率向上を図る.
テーマの例
- IT基盤の営農支援・管理手法
- 農業におけるセンサーネットワーク
- 知識基盤の農業
- 農業ITシステムにおけるデータの標準化
- 収穫時期・量の予測手法
- 栽培の自動化
- 意思決定支援
- ICTを用いた鳥獣・病害対策
キーワード
- 農業
- 農業情報
- スマート農業
- データ管理
- センサーネットワーク
- フィールドモニタリング
- 農業IoT
OS-11 AIによる地域課題の解決
オーガナイザ
- 中島 秀之(東京大学)
- 松原 仁(はこだて未来大学)
- 鈴木 恵二(はこだて未来大学)
- 山本 雅人(北海道大学)
- 金森 亮(名古屋大学)
- 山下 倫央(北海道大学)
内容・テーマの例
現在、ディープラーニングを発端とした人工知能ブームが到来している。一昔前の人工知能技術では処理が難しかった画像認識、音声認識、文章理解などのタスクにおいて、現在の人工知能は驚くべき性能を発揮している。これらの状況から、今後のソフトウェア開発においては人工知能を組み込むことが必須となる。人工知能が組み込まれたソフトウェアは人の代わりに四六時中、瞬時に人に近い判断を下すことができる。
人口減少や少子高齢化などの環境変化にともなって、地域では様々な課題が顕在化しつつある。その分野も、農業、漁業、医療、交通、観光、小売、生活など、多岐に渡っている。人手不足、事業継承、働き方、効率化などの地域で見られる課題を解決するためには人工知能の導入が欠かせない。特に、農業、漁業、観光などを主産業とする地域経済においては、技術継承、働き手不足、資源管理、環境変化などの諸問題に対して人工知能を利用した解決策を考えていく必要がある。人工知能が人の仕事を奪うということが心配される一方、少子高齢化や過疎に悩む地方ではこの新しい人工知能を利用することによって地域インフラや地域産業を存続させることが可能になることが期待されている。
本オーガナイズドセッションでは、人工知能による様々な分野での地域課題解決事例や人工知能技術の運用のためのノウハウに関する研究発表を中心に募集する。地域課題の解決に向けた最新の知見を共有することで、新たに取り組むべき人工知能の研究テーマの創出を目指す.
キーワード
- 地域課題
- 人工知能
- 第一次産業
- サービス産業
- サービス工学
OS-12 マイニングと知識創発
オーガナイザ
- 砂山 渡(滋賀県立大学)
- 加藤 恒昭(東京大学)
- 西原 陽子(立命館大学)
- 森 辰則(横浜国立大学)
- 高間 康史(首都大学東京)
内容・テーマの例
多量のデータを理解し,そこから新しい知識を創発する目的で行われるテキストマイニング・データマイニングにおいては,人とコンピュータシステムのインタラクションを通じた,協働・共同による両者の連携が重要になります.本セッションでは,この知識創発に向けた,人とコンピュータに広く関わる研究発表を募集します.知識創発を支援するコンピュータシステム,そこでのインタラクションのデザイン,またこれらのプロセスに関する認知科学的モデルなど,システム構築から理論的考察まで,幅広いトピックを集め,総合的な議論を行いたいと考えています.更に,人と人とがコンピュータを通じてインタラクションを行い,協働・共同して知識創発を実現するプロセスにも,視野を広げていきたいと思います.また,総合的な視点だけでなく,コンピュータの処理結果についての人の理解を助ける情報可視化や,インタラクションのひとつの形式である言語による対話の管理など,知識創発に向けた人とコンピュータを支える要素技術の提案も歓迎します.
キーワード
- インタラクティブマイニング
- 知識創発
- 情報理解
- インタラクションデザイン
- ヒューマンセンタード
OS-13 人狼知能と不完全情報ゲーム
オーガナイザ
- 片上 大輔(東京工芸大学)
- 大澤 博隆(筑波大学)
- 狩野 芳伸(静岡大学)
- 稲葉 通将(広島市立大学)
- 大槻 恭士(山形大学)
内容
本企画セッションは,不完全情報ゲームと不完全情報ゲームの一つである人狼を対象にして,「人間と自然なコミュニケーションを行うエージェントの構築およびその関連研究」に関する議論の場を提供することを目的とします.本セッションに関連する技術は,エージェント同士もしくは人間とエージェント間の信頼・説得・協調関係の構築や,欺瞞的コミュニケーション,ノンバーバルインタラクション,多人数インタラクション,自然な対話生成,不完全情報に基づく推定,雰囲気の理解と生成など多岐にわたります.これらは,将来の人工知能と人間とのコミュニケーションが密になるにつれて必ず必要となる技術であり,この様なテーマを凝縮した不完全情報ゲーム環境において,人工知能学会をベースとして統一した議論を行うことは今後のAI研究の発展に欠かせないと考える.
テーマの例
- 新しい人狼知能エージェントの提案
- 不完全情報ゲーム
- 信頼・説得・協調力のある知的対話システム
- 新しい人狼知能プロトコルの提案
- 多人数コミュニケーションにおける信頼・説得・協調
- ノンバーバルインタラクションによる信頼・説得・協調
- 欺瞞的コミュニケーション研究
- 不完全情報に基づく人狼の役職推定
- 多人数の議論における空気を読む・生成するシステム
ただしこれらのテーマに限らず広く募集する.
キーワード
- 人狼知能
- 不完全情報ゲーム
- 知的対話システム
- 多人数コミュニケーション
- ノンバーバルインタラクション
- 欺瞞的コミュニケーション
- 信頼・説得・協調
- 雰囲気工学
OS-14 社会的信号処理とAI
オーガナイザ
- 岡田 将吾(北陸先端科学技術大学院大学)
- 石井 亮(NTTメディアインテリジェンス研究所)
内容
社会的信号処理(Social Signal Processing)とは,言語・音声・視線・姿勢・ジェスチャ・生体情報といった複数のチャネルより得られる信号情報を統合し,人間の情動・態度・個性・スキル・リーダシップや,人間同士のコミュニケーションのメカニズムといった,人間が行動・コミュニケーションを通じて形成する社会性の側面を理解・計算するための技術である.この技術は,対話システム・ロボット,マルチメディア解析,コミュニケーション支援,インタラクティブシステムなどで重要な基盤となることから,近年,大きな注目を集めている.
社会的信号処理研究を推進するには,言語・音声・画像・生体信号処理や,機械学習・データマイニングといった,人工知能に関連の深い技術に加え,人間の行動・コミュニケーションの理論を構築する社会学・言語学・心理学などの知見が重要となる.このように,社会的信号処理は,異なる研究領域を横断した学際的な取り組みが必須である壮大な研究テーマである.
「社会的信号処理」に関する研究は,近年,多くのトップレベル国際会議で主要なトピックとして扱われており,例えば,ACM International Conference on Multimodal Interaction (ICMI)
ACM Multimedia
IEEE International Conference on Automatic Face and Gesture Recognition (FG)
International Conference on Acoustics Speech and Signal Processing (ICASSP)
ACM International Joint Conference on Pervasive and Ubiquitous Computing (Ubicomp)
Affective Computing and Intelligent Interaction (ACII)などがあり,様々な研究発表の場が整備されている.一方,日本国内においては,「社会的信号処理」に関して発表する主要な場が存在しない状況であり,研究者間の情報交換が難しい状況であり,コミュニティも十分に形成されていない.このような状況を踏まえて,本OSは,社会的信号処理の研究に携わる,国内の研究者を一堂に集め,研究発表・議論を行う場を構築することを目的としており,国内の社会的信号処理研究の発展,コミュニティの形成を行う上で重要な機会として位置づけている.
テーマの例
- 社会的信号処理の基礎(音声,言語,画像,生体信号などのマルチモーダル情報処理)
- 社会的信号処理に基づく人間の内部状態(感情,個性など)の理解・認識
- 社会的信号処理に基づくコミュニケーション状態の自動理解
- 社会的信号処理に基づくヒューマンコンピュータインタラクション技術
- 社会的信号処理に基づく認知モデリング
- 社会的信号処理に基づくコミュニケーション支援
- マルチモーダル対話システム,マルチモーダル対話ロボット・エージェント
キーワード
- 社会的信号処理
- マルチモーダル
- マルチメディア
- 信号処理
- 機械学習
OS-15 実社会問題へのチャレンジ
オーガナイザ
- 本村 陽一(産業技術総合研究所)
- 鈴木 譲(大阪大学)
- 原田 奈弥(産業技術総合研究所)
内容・テーマの例
人工知能技術を実社会問題のために活用し社会実装を進めることは今や全世界的に重要なテーマである。しかしながら、人工知能の本質的な難問であるフレーム問題や、死の谷、ダーウィンの海と呼ばれるイノベーションにおける難問がなお立ちはだかっている。そこで、本セッションでは、人工知能技術を実社会問題解決のために活用し、社会実装を進めるための方法論、実践的な取り組み、メタレベルの問題解決のインテリジェンスをオーガナイズドセッションのテーマとして提案する。また11/24人工知能基本問題研究会においても問題提起を行ったメンバーが本セッションを企画し、その際の講演者からの一般発表と、新たに関連テーマからの招待講演も想定している。
本セッションではまず、人工知能技術の応用が期待されている社会課題解決の事例を包括的に整理し、人工知能技術の成果普及を目指している産総研人工知能技術コンソーシアムの各ワーキンググループの活動から報告されているユースケースのサーベイを報告する。また、人工知能技術の社会実装のために重要な課題である
- 人工知能技術による問題解決のインテリジェンス(価値適合と価値創造)
- 人工知能と人の相互理解・協調
- 人工知能技術活用のためのデータ・知識融合
- 人工知能間の協調・連携
- 人工知能の活用のための多機関・異業種連携
- 人工知能技術による産業構造変革と人材育成
などをテーマとした招待講演、一般発表、パネルディスカッションを企画する。
キーワード
- 人工知能技術の社会実装
- フレーム問題の擬似解決
- ユースケースデザイン
- AI間協調・連携
- 人工知能産業応用
- ビッグデータ活用
OS-16 AI における離散構造処理と制約充足
オーガナイザ
- 戸田 貴久(電気通信大学)
- 番原 睦則(神戸大学)
- 波多野 大督(国立情報学研究所)
内容
本セッションは,「AI における離散構造処理と制約充足」をテーマとし,離散構造処理と制約充足にかかわる学際的な研究課題を取り上げ,AI における新しい基盤技術の創出に資する研究発表・議論を行う場を提供することを目的とする.
計算機が扱う問題の多くは,集合・論理・グラフ・確率などの離散構造に対する処理を基盤としている.近年,二分決定グラフ (BDD) およびその進化形である ZDD をベースとした離散構造処理技術が大きく発展し,システム検証,データマイニングと知識発見,機械学習と自動分類など多種多様な問題に対する実用的応用が急速に拡大している.
一方,制約充足は与えられた制約式を満たす解を探索する問題である.特に,命題論理の充足可能性判定 (SAT) は,最初に NP 完全性が証明された問題であり,計算機科学の中心的課題であった.最近の十数年で,SAT 問題を解く SATソルバーの性能が飛躍的に向上し,今や SAT は AI 分野の様々な問題に対する推論基盤として広く利用されている.
離散構造処理と制約充足は,発展してきた経緯および基本技術は異なるが,共に離散的・記号的な処理を対象とし,その応用領域にも共通する部分が多い.したがって,AI における新しい価値創造のための基盤技術として,これら二つを融合させた技術が重要になると考えられる.
テーマの例
- 実用的な探索アルゴリズムおよびデータ構造(例えばBDD/ZDD・CDCL)
- 離散構造処理あるいは制約充足の観点からの知的処理(例えば、知識表現・推論・>データマイニング・最適化・機械学習・確率統計処理)
- 離散構造処理と制約充足の融合
- 制約(最適化)ソルバーの高速化 (SAT・MaxSAT・PB・SMT・CSP・ASPなど)
- NP を超えた問題に対する SAT 技術の実用化
- 実験と考察に基づく事例紹介や報告
- 基礎理論(例えばアルゴリズム・計算量の解析)
キーワード
- AIにおける列挙問題
- 制約充足・制約最適化
- BDD/ZDD/MDD
- SAT/MaxSAT/PB/SMT
- 解集合プログラミング
OS-17 不動産とAI
オーガナイザ
- 清田 陽司(株式会社LIFULL)
- 山崎 俊彦(東京大学)
- 諏訪 博彦(奈良先端科学技術大学院大学)
- 清水 千弘(日本大学)
内容
金融分野でのテクノロジー活用を意味する「FinTech」に続いて、不動産分野の「Real Estate Tech(ReTech)」という<キーワード>が注目を集めている。現在、不動産分野をビジネス領域とするテクノロジーを活用したユニコーン企業が世界中に数多く生まれており、日本でもAI関連技術を活用したスタートアップ企業群が立ち上がりつつある。大学でもAI分野の研究者が不動産分野の研究課題にもチャレンジを始めている。一方で、不動産の購買プロセスの複雑さ、実世界の不動産の情報をどのように収集・取得するか、さらには宅地建物取引業法などによる規制など、AI関連技術の適用にあたって壁となるさまざまな問題も存在する。
本オーガナイズドセッションでは、不動産分野でのAI関連技術の最新の取り組みや課題を俯瞰し、共有することによって、不動産分野のAI適用の研究・開発活動の活性化につなげることを狙う。
テーマの例
具体的には、以下に挙げるような(しかし以下に限定されない)テーマを扱う。
- 立地や建物の品質など、さまざまな要因によって左右される不動産の価格を適切に推定するAI。現時点で達成できている精度、不動産物件の売買双方をどのように納得させるか、ソーシャルメディア・クラウドソーシング・IoT(センサーデータ)の活用など。
- 不動産取引において大きなコストがかかっている「接客」を自動化するAI。適切なレコメンデーションやチャットボットなど。
- 不動産情報の品質の向上(不正な情報の検出や是正)や、個々の不動産物件特有の「魅力」のアピールにAI技術を適用する取り組み。不動産物件画像への深層学習(CNN)の適用など。
キーワード
- 不動産
- 価格推定
- 画像処理
- 情報推薦
- 接客
OS-18 建築,都市環境のレジリエンスを支えるAI
オーガナイザ
- 鈴木 琢也(竹中工務店)
- 荒井 幸代(千葉大学)
内容
建築は人が生活していく上で必要な「衣食住」のうちの「住」を担う重要な要素であり,建設産業は,社会資本整備の担い手として、欠かすことのできない基幹的産業である。
本OSでは,建築・建設・都市計画分野への適用を目的とした人工知能技術に関する発表を募集する。「建築」という言葉の守備範囲は,非常に広範かつ多岐にわたり,建築を具現化するための計画は,単体としての構造的,芸術的,機能的な要求のほか,都市計画や人間社会的な集団的な要件も考慮された上で立案・実施される。そのため,人工知能技術の適用すべき個所も様々なものが考えられ,他産業に比べて若干遅れてはいるものの人工知能技術の適用は徐々に進みつつある。本OSが人工知能技術と融合による次世代のレジリエントな建築,住環境の実現に向けた有意義な議論の場となり,今後,建設産業の発展に資することを期待している。
テーマの例
- 照明や空気質など室内環境制御への適用
- 構造解析高速化技術への適用
- 構造設計最適化への適用
- ビル管理システムへの適用
キーワード
- 建築
- 都市環境
- 進化計算
- 機械学習
- 推論
OS-19 臨床の知
オーガナイザ
- 諏訪 正樹(慶應義塾大学)
- 藤井 晴行(東京工業大学)
- 加藤 文俊(慶應義塾大学)
内容
60~70年代に提言された情報処理パラダイムは、人の知能を「頭の中に格納された知識やアルゴリズムにしたがって、世界の情報を処理して、新たに情報をつくりだしたり、意図を生み出して世の中に働きかける」行為としてモデル化する考え方である。情報処理の考え方にしたがうならば、知能とその主体を取り囲む世界は、情報入手と、情報もしくは行動の出力という、入出力行為で結ばれることになる。人工知能研究はこの考え方に礎を置き、発展を遂げてきた。
しかし、70年代には、哲学分野からフレーム問題というAIにとっての障壁が指摘され、80年代以降、認知科学分野からはsituated cognitionという考え方が台頭した。これらの動向は、情報処理パラダイムが知能のモデルとして不十分であることを示唆する。それ以降、知能は身体という物理的な存在に宿っていること、したがって身体を通して世界の中に埋め込まれていること、情報は受動的に世界から与えられる(入力される)ものではないこと、知とは、身体と世界の相互作用の中から主体が能動的に見出すものであること、などが活発に議論されてきた。
この考え方に立つならば、主体が埋め込まれている現実世界(各々の「現場」と言ってもよい)の個別具体性や、主体の身体性および主観性は、知能を論じる際に捨象するわけにはいかないはずである。近代科学が良しと定めてきた原則、<普遍性><客観性>を無自覚に信奉していると、研究が捉える知の姿と「生きている人」の知のあり様には、どうしても大きな乖離が生まれてしまう。哲学者の中村雄二郎氏は著書『臨床の知とは何か』でそれを切に訴えている。
人の知のあり様は、多くのことがまだ謎に包まれている。暗黙知の壁が高く、深く掘り下げて探究できていない。その理由は、今もなお、近代科学の原則(特に<普遍性>や<客観性>)に則っていないと、研究として評価されない風潮が、知能の研究界にも根強いからではないだろうか。その結果として、主体が埋め込まれた状況の個別具体性、および身体性や主観性の中に生起している「現実世界の豊かな諸相」を捉え損ねることになる。
本OSは、中村雄二郎氏の著書にちなんで「臨床の知」と称する。客観性や普遍性の原則を念頭に置きながらも、個別具体性、身体性、主観性を強く孕むデータを尊重し、「知の現実の豊かな諸相」を浮かび上がらせるための「視点(世界の見かた)」を発見したり、有望な「仮説」を見出す研究の場としたい。そのために、生活や産業における(人が生きる)現場で生じているものごとを、個別具体性、身体性、主観性を大事にする方法で記述・観察し、たとえ証例数(心理学ではNという文字で表すことが多い)が少なくても、その中に面白い「視点」や「仮説」を見出そうとする研究の投稿を促す。この問題意識を共有する知能の現場は、少なくないはずである。
テーマの例
以下に示す、様々な現場で生じている知の姿を論じる研究を、本OSのテーマとして取り上げたい。
- 学校における学び
- 学校における教育・ファシリテーション
- 産業界における学び
- 産業界における教育・ファシリテーション
- 技能伝承
- リハビリテーション
- 医療行為・看護
- 地域施設のデザイン
- 住まいのデザイン
- 都市や建築における居場所の創造
- 建築空間におけるふるまいの記述
- 企業の経営
- 企業の人材教育
- アートや音楽などの創造
- 庭園空間の鑑賞体験
- 生活における感性・個性の醸成
- 日常の生活経験に潜むデザイン・マインド
- 地域の価値の発見
- 小集団(家族、組織)におけるコミュニケーションの理解
- コミュニティのデザイン
- シビックプライドの醸成
キーワード
- 臨床
- 個別具体性
- 主観性
- 現場
- 研究方法論
OS-21 人工生命の新展開: 進化・創発・ウェブ計算
オーガナイザ
- 池上 高志(東京大学)
- 岡 瑞起(筑波大学)
- チェン・ドミニク(早稲田大学)
- 飯塚 博幸(北海道大学)
- 鈴木 麗璽(名古屋大学)
内容・テーマの例
インターネットやロボットに見られるように進んだ技術というものは不思議と生命性を帯びるものであり、とりわけ、優れた技術はしばしば実際の生物のように適応的で自律的な様相を呈する。これを人工生命化するという。見方を変えれば、生命性を獲得しつつある人工物が自然物との境界を曖昧にすることで、いま世界は人工生命化する方向に向かっている。こうした状況に即して、これまで人工知能や人工生命の研究分野で培ってきた技術を共有し、生命性原理の探求をしつつこれから作るべき技術について議論したい。
キーワード
- 人工生命/複雑系
- 進化
- 創発
- インタラクション
- ウェブサイエンス
OS-22 身体と触覚の重層的な認知
オーガナイザ
- 福島 宙輝(九州女子大学)
- 宮本 和典(九州女子大学)
- 福本 淳一(立命館大学)
内容
本OSでは,触覚・味覚・嗅覚などの「ふれる感覚(近感覚)」を,分子,細胞レベルから身体,表象までの重層的な生命現象と捉えて,記号や表象,音象徴とのつながりを議論します.
本セッションではこれらの感性を,単に計測するだけでなく,主観的な表象や表現などを含めて考えることで,身体と言葉と感性と対象の関係性を扱いたいと思います.
本OSは記号概念を軸に扱いますが,センサ工学,生物科学,神経科学などの低次認知としての研究も歓迎し,多層的な感性の構造を議論したいと思います.
感性と記号に関連するテーマであれば分野を制限せず,分野横断的な議論をしたいと考えています.
対象は特に制限しません.感性に関する表現一般が対象であり,例えば酒類を含む嗜好品の味わい,食感といった複合的な感覚も対象に含めます.
テーマの例
- 記号接地,記号過程
- 高次認知,トップダウン知覚
- 生命現象と身体
- 「コト」としての感性と身体性
- 感性の記号表象
- 感性情報処理
- 感性をはかる
- 比喩,メタファー,類推
- オノマトペ,音象徴
- イメージスキーマ
- 味わいや手ざわりの表現方法
- レシピ,調理方法などの表現
- 感性と感覚のコミュニケーション
- 日本酒,ワイン,嗜好品などの味覚表現
- さわり心地のデザイン
- せんべい,和菓子などの食感
などのトピックに関連する幅広い分野の研究を募集します.
キーワード
- 触覚,味覚,嗅覚,近感覚
- 感性の言語化,記号表象
- 重層的な身体と記号
- 音象徴,オノマトペ
- 細胞からみた身体と生命現象
OS-24 食とAI
オーガナイザ
- 野中 朋美(青山学院大学)
- 藤井 信忠(神戸大学)
内容・テーマの例
食・食システム分野へのAI活用が広がっている.食とひとえにいってもその適用範囲は幅広く,食品製造,販売,サービス提供における一連のバリューチェーンの生産性・付加価値向上や,人の嗜好や感性データを用いた食品開発や料理レシピ・献立開発,ロボットを用いた自動調理やデリバリーシステムの構築など人工知能技術を用いたビジネス活用が進んでいる.
本OSでは,食・食システム分野における基礎から応用にわたる幅広い人工知能研究を扱う.萌芽的な研究や,食に関する実証研究・社会システム研究なども歓迎し,食分野に関心を持つ幅広い研究者や実務家が集う議論・交流の場を提供する.
キーワード
- 機械学習/データマイニング
- 最適化
- ビッグデータ
- サービス工学/経営工学
- 社会科学/認知科学
OS-25 人工知能と倫理
オーガナイザ
- 神崎 宣次(南山大学)
- 久木田 水生(名古屋大学)
- 服部 宏充(立命館大学)
内容
人工知能技術の開発と社会への浸透が加速を続けており,技術と社会の関わりはいっそう強まりつつある.人工知能技術の研究者・開発者は,純粋な技術開発にとどまらず,技術やシステムの研究開発の過程において,またその社会実装において,社会への影響にも目を向けて行かざるを得ない.法制度,経済システムなど,議論されるべき論点は数多いが,本OSでは,倫理面に焦点をあて,多様な観点からの意見をあつめ,議論を行うことを目的とする.
近年,人工知能技術にかかわって倫理的問題に対する注目は高まっている.自動運転車に関するトロッコ問題に代表されるように,明確な答えを見出しにくい問題に対して,倫理面に配慮したアルゴリズムやモデルをどのように設計するべきなのか.兵器のように人々を害したり,人々の思考を操作・支配し得る技術やシステムの研究開発をどのように進めるべきか,人工知能技術者の多くがそれらを検討する思考の道具立てを備えていない.
また,技術の研究開発の過程そのものにも多くの問題が潜在している.センサーを備えたデバイス群やSNSをはじめとするWeb上のサービスから人々の営為に関する多量・多様なデータを収集・利用が可能である現在,それらのデータを利用したアルゴリズムやモデルを構築する過程で,個人のプライバシーは曖昧なものとなっている.利便性や効率の向上という社会の目的を前に,個人(ないしはそのデータ)はどのように扱われるべきか.研究者や開発者が考慮すべき,倫理面に配慮した対象の取り扱いについて,データを介して人々に接触する可能性が増したいま,議論する必要がある.
本OSでは,従来からの情報倫理や研究者倫理を超え,データ・アルゴリズム倫理,機械倫理,そして技術の倫理的デザインなど,人工知能と倫理について幅広い議論を行うと共に,国内外の動向について報告する.
テーマの例
より具体的には以下の話題を想定する.
- 開発した技術・システムがもたらしうる帰結について開発者が考える際に役立つような倫理学の道具立てについての議論(デュアルユースの話題なども含む)
- 社会のビッグデータの取り扱いに関する議論(プライバシーの問題などを含む)
- 技術・人工物に倫理的価値を組み込む研究についての議論
- 人工知能に関する倫理関連研究の現状についてのオーバービューを与えるような報告(何がやられていて、何が足りないのか、いまは何をやるべきなのか)
- 人工知能浸透社会に向けた倫理観・価値観の構築に関する議論
キーワード
- 機械倫理
- 研究者倫理
- データ倫理
- アルゴリズム倫理
- 技術の倫理的デザイン
OS-27 人工知能の医療応用
オーガナイザ
- 荒牧 英治(奈良先端科学技術大学院大学)
- 大武 美保子(理化学研究所)
- 奥村 貴史(国立保健医療科学院研究情報支援研究センター)
- 津本 周作(島根大学)
- 堀口 裕正(独立行政法人国立病院機構本部診療情報分析部)
内容・テーマの例
診療情報の電子化や医療機器のネットワーク対応等により,医学・診療情報の電子的な蓄積が進んでいます.センサーネットワークの医療情報分野への導入も,本格的な実現が近づいてきており,医学・医療におけるビッグデータの形成は到来を告げようとしています.このような背景から,人工知能研究の成果である機械学習による診療データ解析,画像診断支援,自然言語処理など様々な要素技術を融合させ,医学医療に応用するための素地ができあがりつつあると言えます.そこで本オーガナイズドセッションでは,人工知能技術の実践的なフィールドとして,医学医療分野における人工知能要素技術の研究と応用に関する発表を広く募集します.
キーワード
- 病院情報システム (ビックデータ)
- IoTの医療応用
- 診療支援
- 自然言語処理
- 機械学習
OS-28 複雑化社会における意思決定・合意形成のためのAI技術
オーガナイザ
- 福島 俊一(科学技術振興機構)
- 福田 直樹(静岡大学)
- 伊藤 孝行(名古屋工業大学)
- 白松 俊(名古屋工業大学)
- 西田 智裕(名古屋工業大学)
内容・テーマの例
AI技術の進化が著しく、人間の代わりにAIが自動実行するタスクが増えつつあるが、それらのタスクを定義し、実行を指示し、結果を評価する等、上位の意思決定をするのは人間である。しかしながら、情報爆発やボーダーレス化が急速に進んだことで、意思決定の際に考慮すべき要因・影響の膨大さや複雑さは、人間が思考できるレベルを超えるようになってきた。この困難さを克服し、人間が適切かつ迅速に意思決定できる仕組みを持たねば、ビジネス・研究開発・政策等における国際競争力を維持・確保するのが難しくなる。
一方、ウェブやソーシャルメディア等の情報技術の活用によって、これまでにない大規模な集団での合意形成や不特定多数の群衆の意思決定が可能になってきた。しかし、フェイクニュース、炎上、フィルターバブル等の現象が多々発生し、健全な議論が困難であるとか、集団浅慮(Groupthink)に陥るとか、世論誘導・政治操作(デジタルゲリマンダー)に悪用される等の問題も起きている。
このような問題意識のもと、本オーガナイズドセッションでは、複雑化する社会における人間(個人や集団)の意思決定・合意形成のためのAI技術にフォーカスする。膨大な意思決定空間の探索と解候補(選択肢)の評価、大規模議論の可視化・不整合検出、群衆の意思決定・合意形成のファシリテーション、集団浅慮・視野狭窄や悪意・扇動意図による思考誘導の回避、合理性・論理性だけでなく共感・納得感や主体性の高い意思決定・合意形成の仕組み等の技術開発を含む。機械学習、推論、マルチエージェント、メカニズムデザイン等のAI技術の発展に加え、計算社会科学、行動経済学、社会心理学、ソーシャルメディア論、シビックテック、社会学・政治学、法律・倫理等の知見や連携した取り組みも重要になる。
キーワード
- 意思決定、合意形成、意見集約
- エージェント技術、メカニズムデザイン
- フィルターバブル、フェイクニュース、デジタルゲリマンダー、思考誘導
- コレクティブインテリジェンス、シビックテック