応募総数 | 採択件数 | 条件付き採択 | 総採択件数 | 実施件数 | |
---|---|---|---|---|---|
2021年度 | 13件 | 13件 | – | 13件 | – |
2020年度 | 26件(重複申請除く) | 26件 | 2件 | 26件 | – |
2019年度 | 22件 | 22件 | 0件 | 22件 | 22件 |
オーガナイズドセッション一覧
- OS-1 データサイエンスの普及と自動化(砂山 渡,森 辰則,加藤 恒昭,西原 陽子,高間 康史)
- OS-2 認知バイアス・多重解釈性とAI(日髙 昇平,高橋 康介,鳥居 拓馬)
- OS-3 ニュースメディアのデータサイエンス(高野 雅典,小川 祐樹,鈴木 貴久,園田 亜斗夢,高 史明,保高 隆之)
- OS-4 Affective Computing(熊野 史朗,寺田 和憲,鈴木 健嗣)
- OS-5 グループインタラクションとAI(酒井 元気,湯浅 将英,岡田 将吾,酒造 正樹)
- OS-6 移動系列のデータマイニングと機械学習(藤井 慶輔,竹内 孝,竹内 一郎,田部井 靖生,依田 憲,前川 卓也)
- OS-7 広告とAI(関 喜史,安井 翔太,福田 宏幸,熊谷 雄介)
- OS-8 未踏データによるAI社会デザインと倫理的課題(早矢仕 晃章,石川 開,大澤 幸生)
- OS-9 人工知能におけるプライバシー,公平性,説明責任,透明性への学際的アプローチ(福地 一斗,荒井 ひろみ,工藤 郁子)
- OS-10 AIを人と社会の側から考える(福住 伸一,佐倉 統,松田 悠馬)
- OS-11 人間と共生する対話知能(東中 竜一郎,吉川 雄一郎,新保 史生)
- OS-12 創作者と人工知能が創る創作の未来(上野 未貴,森 直樹,はたなかたいち)
- OS-13 AIと制約プログラミング(宋 剛秀,沖本 天太)
OS-1 データサイエンスの普及と自動化
オーガナイザ
- 砂山 渡(滋賀県立大学)
- 森 辰則(横浜国立大学)
- 加藤 恒昭(東京大学)
- 西原 陽子(立命館大学)
- 高間 康史(東京都立大学)
内容・テーマの例
昨今のデータサイエンティスト育成が急務となっている世の中においては、AIリテラシーの基礎教育やリカレント教育の充実に加え、データサイエンスへの敷居を下げることが必要となっています.データサイエンスへの敷居を下げるためには,データ収集から知識創発に至るまでの意思決定のためのデータ分析プロセスの全体像の理解と,そのプロセスにおける人間の試行錯誤と推論を欠かすことができません.人間の意思決定に必要なのは思考の発散と収束であり、思考の発散においては可能性の網羅的な探索が、思考の収束においては列挙された可能性からの推論が必要とされています。
そこで本セッションにおきましては、データ分析プロセスの一部を自動化することで,人間の作業の手間を省き,人間の思考錯誤と推論を支援する研究発表を募集します.特に,指標を提示するデータ分析システムの提案にとどまるのではなく,「データ分析システムを用いる人間の作業」に着目し,その作業の自動化を試みる研究発表を募集します.また,人間とコンピュータの協働作業においては,コンピュータが客観的な情報を提示し,人間が主観的に判断を行うのが,これまでの一般的なスタイルとなっていましたが,人間の主観的な思考を先読みすることなどによって,コンピュータに主観的な判断の一部を担わせる手法について議論を行い,データ分析の経験が少ない人にも,手軽にデータ分析を進めてもらえる環境について検討します.また,コンピュータによる自動化の助けを受けながらデータサイエンスのスキルを身につけられる,データサイエンティスト育成のための環境についても検討します.
キーワード
- データ分析作業の自動化
- 試行錯誤支援と自動化
- 知識推論支援と自動化
- データ解釈支援と自動化
- データサイエンティストの育成
OS-2 認知バイアス・多重解釈性とAI
オーガナイザ
- 日髙 昇平(北陸先端科学技術大学院大学)
- 高橋 康介(中京大学)
- 鳥居 拓馬(北陸先端科学技術大学院大学)
内容・テーマの例
原理的に曖昧なデータに対しても、人は何らかの答えを導く。こうした現象の多くの例では、その曖昧なデータに対する答えを恣意的に学習しているというよりは、何らかの系統的な傾向性をもって人は答えを導くように思われる。こうした人の経験的な傾向性は認知バイアスと呼ばれる。例えば、曖昧図形の一種であるネッカーキューブと呼ばれる平面図形は、数学的には、その平面射影をもつ立体構造は無限に存在するにもかかわらず、人はそれを立方体として知覚する傾向を示す。
多くの認知バイアスは個人差や文化差が小さいため、その現象に通底する情報処理機構には、何らかの合理性や最適性があると考えられるが、一方で、その理論的な理解は進んでいない。本OSでは、こうした認知バイアスを、多重解釈性を持つデータに対する一貫性・系統性をもつ情報処理として捉え、その理解を深めることを目的とする。
高度に発展した人工知能システムと人が調和的に社会を構成するには、(1)人の認知バイアスを前提に設計された人工知能システムや、(2)人の多重解釈性の情報処理に基づく新たな人工知能システムの開発が必要であると考えられる。この問題意識から、本OSでは、多重解釈性を持つデータを扱うAIや、人の認知バイアスの理論的な理解を発展させる経験的な研究を広く募集する。
研究例として、錯覚(錯視、錯聴、など)、曖昧図形の知覚、身体運動からの意図推定、曖昧な文の解釈(ガーデンパス文)、言語獲得、複合的な解釈をもつ物体の認識・検出、類推や洞察問題解決、意思決定でのヒューリスティックなどを想定するが、本OSの合致する限りこれらの例に限らない。
キーワード
- 認知バイアス
- 多重解釈性
- 意味理解
- 曖昧図形の知覚
- 意図推定
OS-3 ニュースメディアのデータサイエンス
オーガナイザ
- 高野 雅典(株式会社サイバーエージェント)
- 小川 祐樹(立命館大学)
- 鈴木 貴久(津田塾大学)
- 園田 亜斗夢(東京大学)
- 高 史明(神奈川大学)
- 保高 隆之(NHK放送文化研究所)
内容・テーマの例
スマートフォンの普及に伴い人々を取り巻くニュースメディアという環境は大きく変化した。膨大で玉石混交のニュースが日々作られ、ソーシャルメディアではそれらが飛び交い、推薦システムは各個人の好みに合わせたニュース記事を推薦する。このような環境は人々の関心や政治的態度に大きな影響を与えるため、オンラインニュースやソーシャルメディアでのニュースの流行は活発に研究されているトピックの1つである。例えば、ニュース接触と利用者の行動・態度の関連、ニュース推薦システムの影響と改善、ソーシャルメディアでのニュースの流布などである。「ニュースメディアのデータサイエンス」OSではニュースと利用者に関わる学際的な研究発表を広く募集する。
キーワード
- メディア・コミュニケーション
- フェイクニュース
- ニュースアプリ
- ソーシャルメディア
- マスメディア
OS-4 Affective Computing
オーガナイザ
- 熊野 史朗(NTT/筑波大学)
- 寺田 和憲(岐阜大学)
- 鈴木 健嗣(筑波大学)
内容・テーマの例
Affective Computingは90年代にProfessor Rosalind Picard (MIT Media Lab)が提唱した分野であり,機械に人の情動を認知させる,機械を情動的に振舞わせる,機械に情動を持たせることを基本目標とする.人の心に計算論的アプローチで迫ろうとするこの分野は,心理学,認知(神経)科学,生理学,情報学,社会学,哲学,経済学など幅広い分野にまたがる学際分野である.こと人工知能は,人の情動の自動推定に(も)使える優れたアルゴリズムを構築してきただけでなく,幸福,驚き,後悔といった人の進化的な感情を学習モデル自体に取り入れてきており,Affective Computingの中核と言っても過言ではない.Affective Computingの黎明期には,コントロールされた心理実験で得た条件下でのそれら基本カテゴリや感情価・覚醒度といった基本次元の自動認知だった.だが,近年では,機械学習技術に加えてオンライン実験,ウェアラブル生体センサ,データロギングの普及で,より実環境に近い条件下での実験や,痛み,鬱,ストレス,共感,wellbeingといったより高次の対象をも扱えるようになってきた.Affective Computingは国際的には旗艦会議の一つであるInternational Conference on Affective Computing and Intelligent Interaction (ACII)を中心としてここ数年で特に伸びてきており,かつ,次回のACIIは,本オーガナイザが中心に誘致した結果,2021年秋に初めて日本開催となる見込みである.しかし,日本国内では関連研究が他分野に分散しておりその全体像を掴み辛いため,それがAffective Computingの研究発展や人工知能分野との相乗効果を阻害していると危惧される.そこで,本オーガナイズドセッションでは, 盛況だった昨年に引き続き,Affective Computingやその関連分野で活躍する研究者を集め,発表や議論による知識共有を通じて人工知能分野における感情計算論の位置付けや現状をより明確にするとともに,今後感情計算論が進むべき方向について考察・共有することを目的とする.
キーワード
- 感情
- 情動
- 計算論
- 主観
- 行動
- 生体
- 脳
OS-5 グループインタラクションとAI
オーガナイザ
- 酒井 元気(東京電機大学)
- 湯浅 将英(湘南工科大学)
- 岡田 将吾(北陸先端科学技術大学院大学)
- 酒造 正樹(東京電機大学)
内容・テーマの例
グループインタラクションの研究は,参加者のコミュニケーション能力や内面状態(性格やリーダーシップ)の推定技術の構築や個人のコミュニケーション能力の改善にも繋がることから期待が高まっている.さらに近年発展してきている機械学習の技術と,音声・画像・言語などのメディア処理,ユビキタスコンピューティング,ウェアラブルコンピューティングを統合することで,グループインタラクションの理解とモデル化,その支援技術に関する研究基盤が整ってきた.しかしながら,これらにより発表される研究成果は各研究グループごとに実験デザインが統一されていないことが問題になっている.本OSでは,グループインタラクションの理解および支援技術に関する研究発表を広く募集し,研究発表の場を提供するとともに,複数の研究グループで統一できる実験デザインや評価方針を議論する.
キーワード
- グループコミュニケーションの質のモデル化
- ウェアラブルデバイス
- 社会的信号処理
- グループディスカッションにおけるフィードバック
- インタラクションへの介入
- ワークショップデザイン
- CSCW
OS-6 移動系列のデータマイニングと機械学習
オーガナイザ
- 藤井 慶輔(名古屋大学大学院情報学研究科)
- 竹内 孝(京都大学大学院情報学研究科)
- 竹内 一郎(名古屋工業大学大学院工学研究科)
- 田部井 靖生(理化学研究所革新知能統合研究センター)
- 依田 憲(名古屋大学大学院環境学研究科)
- 前川 卓也(大阪大学大学院情報科学研究科)
内容・テーマの例
計測技術の発展によって、様々な生物や人工物の移動の記録が可能になりました。これを背景に、多岐にわたる社会や科学分野への貢献、例えば、小型GPSを装着した野生の動物の行動データから動物の生態の理解、車両の移動データから様々なリソース配分の効率化、カメラから得られたスポーツ選手の行動データからスキルの評価などが期待されています。このように移動系列を解析する手法の重要性が高まっていますが、対象を越えて移動系列が持つ普遍的性質を扱う方法や、その性質を用いて高度な予測を行う人工知能技術は存在せず、従来の研究は対象毎に個別の領域で研究が行われるに留まっています。そこで、本OSでは、解析手法の1つであるデータマイニングや機械学習技術を軸足とし、対象間に共通する問題やその上で更に個別の議論を行うことで、各領域や共通の問題の解決を行っていきます。
本OSは、工学、コンピュータ科学、生物学、神経科学、スポーツ科学などを専門にする研究者が、記録されたヒト、動物、自動車などの軌跡・活動・行動データの解析方法について機械学習など人工知能分野の技術を用いた議論する場となることを期待しています。本OSのオーガナイザには、科研費新学術領域「生物ナビゲーションのシステム科学(生物移動情報学)」への参画者が多く含まれており、ヒトや車両などの公開データだけでなく、様々な生物行動の貴重な計測データの研究も発表される予定です。関心のあるテーマとして、生物・人工物の軌跡・活動・行動データに関する以下の例がありますが、これらを超えた領域からの参加など分野の創出と発展を期待しています。
テーマの例:
- データマイニング、機械学習、時系列分析
- 認識、予測、可視化、知識抽出
- モデリング、強化学習
- 位置推定、データ前処理、ラベリング
- モニタリングおよび認識システムなどへの応用
キーワード
- 時空間データ
- データマイニング
- 機械学習
- 生物モデル
- 軌跡・活動・行動データの情報処理
OS-7 広告とAI
オーガナイザ
- 関 喜史(株式会社Gunosy Gunosy Tech Lab)
- 安井 翔太(株式会社サイバーエージェント AILab)
- 福田 宏幸(株式会社 電通 データ・テクノロジーセンター)
- 熊谷 雄介(株式会社博報堂)
内容・テーマの例
本セッションでは人工知能技術の広告への応用に関する研究開発を扱います。
広告と人工知能は研究事例として数多く行われています。具体的には以下のような内容です。
- オークション型デジタル広告における広告CTR予測・最適化
- 広告クリエイティブの自動生成
- 検索連動型広告におけるクエリ選択
また広義にはSEOやマーケティングにおけるデータマイニングなども含まれます。広告に関する幅広い意欲的な提案をお待ちしております。
キーワード
- 機械学習応用
- 広告
- データマイニング
- 情報検索
- 強化学習
OS-8 未踏データによるAI社会デザインと倫理的課題
オーガナイザ
- 早矢仕 晃章(東京大学)
- 石川 開(日本電気株式会社 データサイエンス研究所)
- 大澤 幸生(東京大学)
内容・テーマの例
我が国が情報社会政策の旗印とするSociety 5.0においてAIは機械学習を含む技術によってデータ分析を行う役割を司り、物理世界の事象をセンシングし、学習・分析を経てサービス化することが期待されている。しかし、データ化されていない、例えば人々のメンタルの奥のケアやこれに踏み込むような「情報の虚部(+i)」の扱いは根本的に未踏の問題が含まれ、それらの問題の解決に人や社会に対してAIがいかなる寄与が可能であるかを網羅的かつ精緻に想定することは困難である。本オーガナイズドセッションでは、AIと、虚部をはらむ情報の源(未踏データ)である人々の相互作用によって飛躍的に進化する社会システム(Society 5+i)をモデル化する視点から、AIの社会受容性と倫理的課題を扱う研究とこれに関連する事例、機械学習等の既存フレームから飛躍した新しいAIの設計に関する発表を広く募集する。本OSでは以上のテーマに関する研究・調査に関する手法や考え方を会員及び全国大会参加者らに提供し、議論することを狙いとする。
キーワード
- 未踏データ
- 社会受容性
- AI倫理
- Society 5 + i
- AI社会システム
OS-9 人工知能におけるプライバシー,公平性,説明責任,透明性への学際的アプローチ
オーガナイザ
- 福地 一斗(筑波大学)
- 荒井 ひろみ(理化学研究所)
- 工藤 郁子(大阪大学)
内容・テーマの例
人工知能技術が広く社会に広く普及するとともに,その利用におけるプライバシーの保護や公平性,説明責任,透明性などへの配慮について社会的な関心や要請が高まっている.例えば機械学習を利用した個人に対するAI信用スコアリングサービスにおいては,個人情報保護の遵守,データの共有範囲や用途を適切に説明する利用規約の設定,サービスのベネフィットとリスクについての十分な説明,ユーザーに対する公平性などが課題となりうる.
人工知能技術の発展は著しく様々なことが実現可能になっている一方で,最近では,その技術の悪用や新しい技術の実現に伴う倫理的・法的・社会的問題が話題になっている.例えば,DeepfakeなどAIにより生成された偽情報がプライバシーや情報の信頼性を脅かす自体も想定される.その他にも,AI技術を使って故人が実際に話しているような動画を作成できるようになっており,このような動画による故人の権利・利益にかかわる倫理的問題が話題になった.
現在,これらのAIにかかるプライバシー,公平性,説明性などの諸問題に対処するために,AIや機械学習のコミュニティで盛んに研究が行われている.一方で,これらの問題に対して実際にどのような基準を達成すれば問題が解決したと言えるかは必ずしも明瞭ではない.これらの要請について現行法令,倫理,世論(public acceptance)といった様々な論点が存在しており,法学,哲学,社会学などのそれぞれの立場において盛んに議論されている.実際に,既に多くの機関や企業からAI活用に伴う諸問題に対処するための倫理指針やガイドラインが複数公表されている.しかしながら,現実的にAI技術の利点を担保しつつこれらの問題を解決するためには,それぞれの立場からの研究に加え,学際的な研究が必要不可欠である.すなわち,法学,倫理学,社会学,計算機科学など様々な分野の研究者が同時に集う学際的な場を用意し,様々な立場の意見を集約し,論点を整理したのち,実際の実装方法に関する議論をする必要がある.
本オーガナイズドセッションでは,上記のような状況を受け,様々な分野における人工知能のプライバシー,公平性,説明性などの諸問題についてのサーベイ,論考,解決方法の提案などにまつわる報告を募集し,議論状況の共有,論点整理及びディスカッションを行う.特に様々な観点からの具体的なケースや技術の分析や問題提起などを歓迎する.
テーマ例:
- 機械学習の公平性,説明性についての機械学習,哲学,法学等からの学際的な報告
- AI利用におけるプライバシーや公平性についてのケース分析
- AI倫理ガイドラインについてのサーベイ
- AI技術の社会受容性についての調査報告
- SNSなどの情報サービスにおける偽情報の検出・防止
- AI技術と故人の権利・利益における倫理的問題
キーワード
- AIの倫理
- AI/機械学習の公平性,説明責任,透明性
- プライバシー保護
- Trustworthy AI
- 説明可能AI
OS-10 AIを人と社会の側から考える
オーガナイザ
- 福住 伸一(理化学研究所)
- 佐倉 統(東京大学/理化学研究所)
- 松田 悠馬(合同会社アイキュベータ)
内容・テーマの例
新しい技術が次々と開発され、社会に入ってこようとしている。しかし、社会や人々がそれを受け入れなければ、その技術は消えて行ってしまう。一方、社会や人間側は、新しい技術を無理やり使おうとすると、どこかで無理が生じ、結果的にそれらの技術の普及を妨げることになってしまう。すなわち、新しい技術が社会に入り、広がっていくためには、それが受け入れられるためやるべきことを明らかにしていく必要がある。これを実現するためには、技術サイドだけで議論しても解決できず、社会や人間の側で議論し、課題を技術開発側に示していくことが重要である。従来は、新しい技術に対して人間が我慢しながら使い、少しずつ課題を出し、それを解決するというやり方であった。しかし、単なるインタラクションではなく、社会自体に新しい技術が埋め込まれるようになる時代では、その手法では解決は難しく、製品仕様だけでなく、使用することによる影響を明らかにし、その影響を抑えるために技術側も社会・人間側も何をすべきか、を示していかなければならない。
このように、社会や人々がAIを中心とした新しい技術と安心して共存するために、社会や人々は技術に何を求めるか、について、社会・文化的側面や人間的側面から討議する。具体的には、「社会-人-AIの関係性」、「AIを『使う』ことによるステークホルダや社会への影響(安心、トラストなど)」などを中心にテーマを募集し、討議する。
キーワード
- 社会
- 文化
- 使用
- 安心
- トラスト
OS-11 人間と共生する対話知能
オーガナイザ
- 東中 竜一郎(名古屋大学大学院情報学研究科)
- 吉川 雄一郎(大阪大学大学院基礎工学研究科)
- 新保 史生(慶應義塾大学総合政策学部)
内容・テーマの例
スマートフォン上の音声エージェントやスマートスピーカー,コミュニケーションロボットなど,人間と対話を行うことのできるシステムが普及し始めている.しかしながら,現状の対話システムの大半はその場限りの対話を行うことを目的としており,長期にわたって人間と共生する対話システムの検討はあまり進んでいない.本オーガナイズドセッションでは,人間と共生する対話知能について考えたい.人間と共生する対話システムのデザイン,人間と関係構築をするための対話システムの実装,社会における受容性の高い対話システム構築のためのガイドラインなど,社会において,対話システムが人間と共生することをテーマとした研究発表を募集する.
キーワード
- 対話システム
- 対話知能
- 人間との共生
- パーソナライズ
- ヒューマンコンピュータインタラクション
OS-12 創作者と人工知能が創る創作の未来
オーガナイザ
- 上野 未貴(大阪工業大学 工学部)
- 森 直樹(大阪府立大学 工学研究科)
- はたなかたいち(株式会社クリエイターズインパック)
内容・テーマの例
計算機は創作者が作品に込めた情緒を理解することができるのか?
近年,人工知能を用いて解析および生成の両面から,人の創作物を対象とした研究が進んでいる.
人がコミュニケーション手段として用いる言語や画像を中心としたストーリーを持つ創作物として,小説,漫画,絵本,アニメ,音楽などが研究対象として想定されてきた.
一方で,創作物をデータとして客観視して手法適用するだけではなく,創作過程で込められた想いを主体的に扱って表現を汲み取り,創作者と研究者をつなぐための研究にも注目が集まっている.
人工知能分野では完成して公開された創作物を扱う事例が多いが,研究初期段階から創作者と連携し,人が試行錯誤する創作過程に発現する高度で繊細な情報を扱うことも重要である.
創作物の構成要素はマルチモーダル情報であることが多く,単一のコンテンツのみを対象として研究を進めるだけではなく,分野融合的かつ横断的な研究連携が望まれる.
本オーガナイズドセッションでは,創作者と研究者が人工知能を介して共存し豊かな創作の未来を築くことを目的として,研究的視点を持つ創作者,創作的視点を持つ研究者,本分野に興味を持つ者から,広く,創作物と工学の関係性に基づくタスク設計,データ構築,数値計算手法,望まれる応用開発,に関する研究を募る.
キーワード
- 創作者と人工知能
- マルチモーダル情報
- 深層学習
- 機械学習
- 創作支援
OS-13 AIと制約プログラミング
オーガナイザ
- 宋 剛秀(神戸大学)
- 沖本 天太(神戸大学)
内容・テーマの例
制約充足問題および制約最適化問題 (以下,まとめて CSP と呼ぶ) は,それぞれ与えられた制約を満たす解および最適解を探索する問題である.
制約プログラミングは, CSP を取り扱うプログラミングパラダイムである.
人工知能研究で生じる多くの組合せ問題は CSP として定式化できることから, 制約プログラミングは, 1980年代から現在に至るまで人工知能分野で活発に研究されてきた.
本オーガナイズドセッションでは,「AI と制約プログラミング」に関する研究発表・議論を行う場を提供することを目的し,AIにおける探索や推論, 制約に関する理論, アルゴリズム, 言語, モデル, システムなど AI と制約プログラミングに関する基礎から応用問題まで幅広く募集する.以下にテーマの例を挙げる.
- ソルバー (CSP, SAT, MaxSAT, PB, SMT, ASP など)
- 推論・探索アルゴリズム (CDCL, 列挙 など)
- 知識コンパイル (BDD/ZDD/MDD などの Decision Diagram)
- マルチエージェント (分散CSP, 提携構造形成問題 など)
- 応用 (モデル検査, スケジューリング, プランニングなど)
制約プログラミングはCP国際会議や各種ソルバーの競技会が毎年開催されるなど国際的な関心が高い.本オーガナイズドセッションでは,国内の研究者を一堂に会して,国内コミュニティの活性化を目指す.
キーワード
- 制約充足問題・制約最適化問題
- SAT/MaxSAT/PB/SMT/ASP
- BDD/ZDD/MDD
- 列挙問題
- マルチエージェント