オーガナイズドセッション

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  応募総数 採択件数 条件付き採択 総採択件数 実施件数
2019年度 22件 22件 0件 22件
2018年度 41件(重複申請除く) 26件 4件 28件 25件

オーガナイズドセッション一覧

  • OS-1 計算社会科学(鳥海 不二夫,笹原 和俊,吉田 光男,瀧川 裕貴,榊 剛史,高野 雅典)
  • OS-2 データ流通社会における技術基盤と異分野連携(早矢仕 晃章,大澤 幸生)
  • OS-3 AIにおける離散構造処理と制約充足(波多野 大督,蓑田 玲緒奈)
  • OS-4 自律・創発・汎用AIアーキテクチャ(栗原 聡,川村 秀憲,津田 一郎,大倉 和博)
  • OS-5 複雑化社会における意思決定・合意形成のためのAI技術(福島 俊一,福田 直樹,伊藤 孝行)
  • OS-6 人工知能と倫理(神崎 宣次,久木田 水生,服部 宏充)
  • OS-7 AIの法学への応用(佐藤 健,新田 克己)
  • OS-8 マイニングと知識創発(砂山 渡,加藤 恒昭,西原 陽子,森 辰則,高間 康史)
  • OS-9 顔文字の科学(奥村 紀之,Michal Ptaszynski,Rzepka Rafal)
  • OS-10 不動産とAI(清田 陽司,山崎 俊彦,諏訪 博彦,清水 千弘,橋本 武彦)
  • OS-11 社会的信号処理とAI(岡田 将吾,石井 亮)
  • OS-12 画像とAI(MIRU2019プレビュー)(長原 一,川崎 洋,岡部 孝弘)
  • OS-13 “ナッジ”エージェント:人をウェルビーイングへと導くエージェントの構築へ向けて(小野 哲雄,今井 倫太,植田 一博,山田 誠二)
  • OS-14 人狼知能と不完全情報ゲーム(稲葉 通将,片上 大輔,狩野 芳伸,大槻 恭士)
  • OS-15 人とAIが織りなす新たなエコシステム(中川 裕志,山川 宏,浅田 稔,井上 智洋,江間 有沙,金井 良太,高橋 恒一,萩田 紀博,堀川 優紀子,松原 繁夫)
  • OS-16 臨床の知(諏訪 正樹,藤井 晴行,加藤 文俊)
  • OS-17 農業とAI(小林 一樹,竹崎 あかね)
  • OS-18 感情とAI(日永田 智絵,堀井 隆斗,長井 隆行)
  • OS-19 「プロジェクション科学」の発展と応用(岡田 浩之,鈴木 宏昭)
  • OS-20 脳波から音声言語情報を抽出・識別する(新田 恒雄,桂田 浩一,入部 百合絵,田口 亮)
  • OS-21 プロセス中心のシステムデザインとラーニングアナリティクス(緒方 広明,近藤 伸彦,瀬田 和久,平嶋 宗,松居 辰則,堀口 知也)
  • OS-22 創作者と人工知能が創る創作の未来(上野 未貴,森 直樹,はたなか たいち)

OS-1 計算社会科学

オーガナイザ

  • 鳥海 不二夫(東京大学)
  • 笹原 和俊(名古屋大学)
  • 吉田 光男(豊橋技術科学大学)
  • 瀧川 裕貴(東北大学)
  • 榊 剛史(ホットリンク)
  • 高野 雅典(サイバーエージェント)

内容・テーマの例

Webのソーシャル化や実空間での様々な行動センシングが進行している現在,人々の自発的な情報行動やコミュニケーションなどの詳細はデジタルに記録・蓄積されるようになりました.このような大規模社会データを情報技術によって取得・処理し,分析・モデル化して,人間行動や社会現象を定量的・理論的に理解しようとする学問が「計算社会科学」 (Computational Social Science)です.
計算社会科学OSでは,大規模社会データ分析研究,社会シミュレーションによる理論的研究,バーチャルラボによる実験的研究などを使い,人間行動や社会現象を理解することを目指した研究を募集します.

キーワード

  • 大規模社会データ分析
  • 社会シミュレーション
  • バーチャルラボ
  • 社会ネットワーク分析
  • ソーシャルメディア分析

OS-2 データ流通社会における技術基盤と異分野連携

オーガナイザ

  • 早矢仕 晃章(東京大学)
  • 大澤 幸生(東京大学)

内容・テーマの例

AI技術の進展により、既存の分析技術や統計学では扱えないデータが登場するとともに、AIが主要技術ではなかった分野においても注目が集まっている。その中で、一つの企業や組織のデータではなく、異なる領域のデータやAI技術を流通・交換・連携させることで新しい価値を発見し、問題解決を行う動きが活発となってきた。しかし、異分野データ連携の重要性は認識されているものの、技術的に解決すべき問題だけでなく、法的な課題、社会の受容性、リテラシー教育など、様々な障壁が存在する。本オーガナイズドセッションでは、データ・AI技術・人間の相互作用によるデータの価値発見と交換によるイノベーションの場を「データ市場」と定義し、産官学民から多様なデータ利活用事例、データ利活用によるイノベーションを促進するためのコミュニケーション技法、データ価値化手法、認知プロセス、知識構造化、データ市場及びそのデザインに関する発表を広く募集する。また、データ市場及びデータ流通を阻害する社会的要因等についても議論し、これからのデータ流通社会に向けた提言も行っていく。以上に述べたデータ市場の最新の研究及びデータ流通環境整備技術をオーガナイズドセッションとしてまとめ、学会員及び全国大会参加者らに提供し、議論することを狙いとする。

キーワード

  • データ市場
  • 異分野データ連携
  • データ設計
  • シナリオ
  • データ流通
  • メタデータ

OS-3 AIにおける離散構造処理と制約充足

オーガナイザ

  • 波多野 大督(理化学研究所)
  • 蓑田 玲緒奈(株式会社ベイシスコンサルティング)

内容・テーマの例

本セッションは,「AI における離散構造処理と制約充足」をテーマとし,離散構造処理と制約充足にかかわる学際的な研究課題を取り上げ,AI における新しい基盤技術の創出に資する研究発表・議論を行う場を提供することを目的とする.
計算機が扱う問題の多くは,集合・論理・グラフ・確率などの離散構造に対する処理を基盤としている.近年,二分決定グラフ (BDD) およびその進化形である ZDD をベースとした離散構造処理技術が大きく発展し,システム検証,データマイニングと知識発見,機械学習と自動分類など多種多様な問題に対する実用的応用が急速に拡大している.
一方,制約充足は与えられた制約式を満たす解を探索する問題である.特に,命題論理の充足可能性判定 (SAT) は,最初に NP 完全性が証明された問題であり,計算機科学の中心的課題であった.最近の十数年で,SAT 問題を解く SATソルバーの性能が飛躍的に向上し,今や SAT は AI 分野の様々な問題に対する推論基盤として広く利用されている.
離散構造処理と制約充足は,発展してきた経緯および基本技術は異なるが,共に離散的・記号的な処理を対象とし,その応用領域にも共通する部分が多い.したがって,AI における新しい価値創造のための基盤技術として,これら二つを融合させた技術が重要になると考えられる.

テーマ例:

  • 実用的な探索アルゴリズムおよびデータ構造(例えば, BDD/ZDD, CDCL)
  • 離散構造処理あるいは制約充足の観点からの知的処理(例えば、知識表現・推論, データマイニング, 最適化, 機械学習, 確率統計処理)
  • 離散構造処理と制約充足の融合
  • 制約(最適化)ソルバーの高速化(SAT, MaxSAT, PB, SMT, CSP, ASP など)
  • NP を超えた問題に対する SAT 技術の実用化
  • 実験と考察に基づく事例紹介や報告
  • 基礎理論(例えば, アルゴリズム, 計算量の解析)

キーワード

  • AIにおける列挙問題
  • 制約充足・制約最適化
  • BDD/ZDD/MDD
  • SAT/MaxSAT/PB/SMT
  • 解集合プログラミング

OS-4 自律・創発・汎用AIアーキテクチャ

オーガナイザ

  • 栗原 聡(慶應義塾大学理工学部)
  • 川村 秀憲(北海道大学大学院情報科学研究科)
  • 津田 一郎(中部大学創発学術院)
  • 大倉 和博(広島大学大学院工学研究科)

内容・テーマの例

今後の少子高齢化社会においては,AIを労働力として積極的に導入することが急務である.その場合,人とAIとのインタラクションが発生するが,人がAIに対して違和感や驚異を感じることがあってはならない.人がAIに対して親近感や安心感を感じ,人間同士における間合いや気配りといった一体感を人とAIとの間でも構築できることが極めて重要となる.このように,AIが人と共生するためには,現在のツール型AIでは必要とされない「自律性と目的指向性」が極めて重要な要素となる.目的指向に基づいた人や環境の状態に対するセンシングと能動的な人や環境へのインタラクション能力を創出する必要がある.そして,そのような知能アーキテクチャには環境に対する高い適応性と汎用性が求められ,まだ黎明期になる創発型のアーキテクチャなどの開発にも重点を置く必要がある.本OSでは,今後において重要性が高まる自律型AIを実現するための知能アーキテクチャ,認知アーキテクチャ,行動選択アルゴリズム,自律エージェントアーキテクチャ,創発メカニズムなどに関する研究発表を募集し,人と共生する日本型AIを実現するための中核となる自律性に関する研究コミュニティの活性化を目指す.

キーワード

  • 自律性
  • 創発メカニズム
  • 汎用人工知能
  • 群知能
  • 目的指向性

OS-5 複雑化社会における意思決定・合意形成のためのAI技術

オーガナイザ

  • 福島 俊一(科学技術振興機構)
  • 福田 直樹(静岡大学)
  • 伊藤 孝行(名古屋工業大学)

内容・テーマの例

AI技術の進化が著しく、人間の代わりにAIが自動実行するタスクが増えつつあるが、それらのタスクを定義し、実行を指示し、結果を評価する等、上位の意思決定をするのは人間である。しかしながら、情報爆発やボーダーレス化が急速に進んだことで、意思決定の際に考慮すべき要因・影響の膨大さや複雑さは、人間が思考できるレベルを超えるようになってきた。この困難さを克服し、人間が適切かつ迅速に意思決定できる仕組みを持たねば、ビジネス・研究開発・政策等における国際競争力を維持・確保するのが難しくなる。
一方、ウェブやソーシャルメディア等の情報技術の活用によって、これまでにない大規模な集団での合意形成や不特定多数の群衆の意思決定が可能になってきた。しかし、フェイクニュース、炎上、フィルターバブル等の現象が多々発生し、健全な議論が困難であるとか、集団浅慮(Groupthink)に陥るとか、世論誘導・政治操作(デジタルゲリマンダー)に悪用される等の問題も起きている。
このような問題意識のもと、本オーガナイズドセッションでは、複雑化する社会における人間(個人や集団)の意思決定・合意形成のためのAI技術にフォーカスする。膨大な意思決定空間の探索と解候補(選択肢)の評価、大規模議論の可視化・不整合検出、群衆の意思決定・合意形成のファシリテーション、集団浅慮・視野狭窄や悪意・扇動意図による思考誘導の回避、合理性・論理性だけでなく共感・納得感や主体性の高い意思決定・合意形成の仕組み等の技術開発を含む。機械学習、推論、マルチエージェント、メカニズムデザイン等のAI技術の発展に加え、計算社会科学、行動経済学、社会心理学、ソーシャルメディア論、シビックテック、社会学・政治学、法律・倫理等の知見や連携した取り組みも重要になる。

キーワード

  • 意思決定、合意形成、意見集約
  • エージェント技術、メカニズムデザイン
  • フィルターバブル、フェイクニュース、デジタルゲリマンダー、思考誘導
  • コレクティブインテリジェンス、シビックテック

OS-6 人工知能と倫理

オーガナイザ

  • 神崎 宣次(南山大学)
  • 久木田 水生(名古屋大学)
  • 服部 宏充(立命館大学)

内容・テーマの例

人工知能技術の開発と社会浸透が加速を続け,技術と社会の関わりはいっそう強まっている.AIの研究・開発者は純粋な技術開発に留まらず,技術やシステムの研究開発や社会実装の過程において,社会への影響にも目を向けざるを得ない.AIにおけるELSIが注目されて久しいが,社会のあらゆる局面にAIが埋め込まれていく現状では,検討すべき課題の網羅は難しい.その課題が法的なものか,倫理的なものか,道徳的なものか,またはそれ以外かにより,課題に臨む際の観点は全く異なるため,ELSI全般を取り扱う事で議論は深まりにくくなる.そこで,本OSでは,その重要性が認識されつつあり,かつ工学的な取り扱いが未だ陽とは知れない倫理に焦点をあて,多様な意見を収集・共有し,議論を行うことを目的とする.
近年,AIに関して倫理的問題に対する注目は高い.トロッコ問題に代表される明確な答えを見出しにくい問題に対し,倫理面に配慮したアルゴリズムやモデルをどのように設計するべきか.兵器のように人々を害したり,人々の思考を操作・支配し得る技術やシステムの研究開発をどのように進めるべきか,AI技術者の多くがそれらを検討する思考の道具立てを備えていない.また,技術の研究開発過程におけるデータ利用をはじめ,倫理面に配慮した対象の取り扱いについても議論を要する.
AI技術が急速に生活の場に溶け込み,データを介して人々に深く接触することが可能となった事で,我々はいますでに多くの倫理的課題を抱え,解決を迫られつつある.本OSでは人工知能と倫理について,現状の課題やその解法について国内外の動向を共有しながら.AIを扱う方向性について幅の広い議論を行う.以下にテーマの例を挙げる.

  • 開発技術がもたらしうる帰結の検討に役立つ倫理学の道具立てについての議論
  • 技術・人工物に倫理的価値を組み込む研究についての議論
  • 人工知能に関する倫理関連研究の現状についてオーバービューを与える報告
  • 人工知能浸透社会に向けた倫理観・価値観の構築に関する議論

キーワード

  • 機械倫理
  • データ倫理
  • アルゴリズム倫理
  • 技術の倫理的デザイン
  • 研究者倫理

OS-7 AIの法学への応用

オーガナイザ

  • 佐藤 健(国立情報学研究所)
  • 新田 克己(国立情報学研究所)

内容・テーマの例

IBMワトソンプログラムの法律文書への応用や契約文書不整合表現のチェック等、人工知能の法律分野への応用が進みつつある。
本セッションでは、最近の研究成果について人工知能学者だけではなく法学者も含めた発表を募集するとともに、今後の研究方向について議論を行う。
研究テーマの例としては、ベイジアンネットワークによる事実認定、議論学に基づいた法的議論の解析、自然言語処理を用いた法律知識の包摂推論の実現、論理的推論を用いた判決推論支援等が考えられる。

キーワード

  • 法学
  • 論理
  • 議論
  • 自然言語処理
  • ベイジアンネットワーク

OS-8 マイニングと知識創発

オーガナイザ

  • 砂山 渡(滋賀県立大学)
  • 加藤 恒昭(東京大学)
  • 西原 陽子(立命館大学)
  • 森 辰則(横浜国立大学)
  • 高間 康史(首都大学東京)

内容・テーマの例

多量のデータを理解し,そこから新しい知識を創発する目的で行われるテキストマイニング・データマイニングにおいては,人とコンピュータシステムのインタラクションを通じた,協働・共同による両者の連携が重要になります.本セッションでは,この知識創発に向けた,人とコンピュータに広く関わる研究発表を募集します.知識創発を支援するコンピュータシステム,そこでのインタラクションのデザイン,またこれらのプロセスに関する認知科学的モデルなど,システム構築から理論的考察まで,幅広いトピックを集め,総合的な議論を行いたいと考えています.更に,人と人とがコンピュータを通じてインタラクションを行い,協働・共同して知識創発を実現するプロセスにも,視野を広げていきたいと思います.また,総合的な視点だけでなく,コンピュータの処理結果についての人の理解を助ける情報可視化や,インタラクションのひとつの形式である言語による対話の管理など,知識創発に向けた人とコンピュータを支える要素技術の提案も歓迎します.

キーワード

  • インタラクティブマイニング
  • 知識創発
  • 情報理解
  • インタラクションデザイン
  • ヒューマンセンタード

OS-9 顔文字の科学

オーガナイザ

  • 奥村 紀之(大手前大学)
  • Michal Ptaszynski(北見工業大学)
  • Rzepka Rafal(北海道大学)

内容・テーマの例

内容
本オーガナイズドセッションでは,非言語情報をテキストベースで伝達する手段として広く活用されている顔文字や絵文字について広く意見交換を行うことを目的とする。日本国内で使用されている顔文字はすでに数万種以上確認されており,Unicodeを利用した顔文字を構成できるようになったことから今後も益々その数が増加していくと予測できる.また,2016年以降,世界中で絵文字に関する研究が盛んに行われるようになり,非言語情報の伝達手段に関する注目が高まっている.一方で,自然言語処理をはじめとした言語情報を取り扱う分野では,顔文字や絵文字をノイズとして除去してしまうことも多い.そこで,本セッションでは,顔文字や絵文字に関する知見を持つ研究者がそれぞれのアイデア,データを持ち寄り,顔文字や絵文字に関する知見を集約し,今後の展望について発表者を中心としてパネルディスカッション形式で討論する.また,素材を顔文字や絵文字のみに限定せず,アスキーアート,スタンプなどの表情を表す非言語情報の他に,クサチュー語・ギャル語・2ちゃん語など文字を分解し他の文字を組み合わせることで表現される文字列に関する知見についても幅広く取り扱う.

テーマの例

  • 顔文字など非言語情報の辞書
  • 顔文字,絵文字,アスキーアートと感情
  • 顔文字などの自動抽出
  • 顔文字などの自動分類
  • 顔文字などの自動生成
  • 言語と非言語行動
  • 画像処理としての顔文字認識
  • その他の非言語行動に関する研究

キーワード

  • 顔文字
  • 絵文字
  • 感情
  • 非言語情報
  • オンラインコミュニケーション
  • 言語解析

OS-10 不動産とAI

オーガナイザ

  • 清田 陽司(株式会社LIFULL)
  • 山崎 俊彦(東京大学)
  • 諏訪 博彦(奈良先端科学技術大学院大学)
  • 清水 千弘(日本大学)
  • 橋本 武彦(GA technologies)

内容・テーマの例

さまざまな産業分野においてテクノロジーが業界構造に変革をもたらしているが、ヒトの生活に密着した「住」の領域を扱う不動産業界においても、テクノロジーが広く浸透しつつある。世界中で不動産テックへの投資が盛んになる中、AIの応用にも関心が高まっており、不動産物件の推薦、チャットボットによる接客の省力化、画像認識、IoT、仮想現実(VR)・複合現実(MR)など、産学連携で多数の研究が進められている。一方で、不動産の購買プロセスの複雑さ、実世界の不動産の情報をどのように収集・取得するか、さらには宅地建物取引業法などによる規制など、AIの適用にあたって壁となるさまざまな問題も存在する。本オーガナイズドセッションでは、不動産分野でのAIの最新の取り組みや課題を俯瞰し、共有することによって、不動産分野のAI適用の研究・開発活動の活性化につなげることを狙う。

具体的には、以下に挙げるような(しかし以下に限定されない)テーマを扱う。

  • 立地や建物の品質など、さまざまな要因によって左右される不動産の価格を適切に推定するAI。現時点で達成できている精度、不動産物件の売買双方をどのように納得させるか、ソーシャルメディア・クラウドソーシング・IoT(センサーデータ)の活用など。
  • 不動産取引において大きなコストがかかっている「接客」を自動化するAI。適切なレコメンデーションやチャットボットなど。
  • 不動産情報の品質の向上(不正な情報の検出や是正)や、個々の不動産物件特有の「魅力」のアピールにAIを適用する取り組み。不動産物件画像への深層学習(CNN)の適用など。
  • 経済学、建築学、地理学、都市学など、不動産と密接に関連をもつ分野との連携。

キーワード

  • 不動産
  • 画像処理
  • 価格推定
  • チャットボット
  • 仮想現実

OS-11 社会的信号処理とAI

オーガナイザ

  • 岡田 将吾(北陸先端科学技術大学院大学)
  • 石井 亮(NTT メディアインテリジェンス研究所)

内容・テーマの例

社会的信号処理(Social Signal Processing)とは,言語・音声・視線・姿勢・ジェスチャ・生体情報といった複数のチャネルより得られる信号情報を統合し,人間の情動・態度・個性・スキル・リーダシップや,人間同士のコミュニケーションのメカニズムといった,人間が行動・コミュニケーションを通じて形成する社会性の側面を理解・計算するための技術である.この技術は,対話システム・ロボット,マルチメディア解析,コミュニケーション支援,インタラクティブシステムなどで重要な基盤となることから,近年,大きな注目を集めている.
社会的信号処理研究を推進するには,言語・音声・画像・生体信号処理や,機械学習・データマイニングといった,人工知能に関連の深い技術に加え,人間の行動・コミュニケーションの理論を構築する社会学・言語学・心理学などの知見が重要となる.このように,社会的信号処理は,異なる研究領域を横断した学際的な取り組みが必須である壮大な研究テーマである.
「社会的信号処理」に関する研究は,近年,多くのトップレベル国際会議で主要なトピックとして扱われており,例えば,ACM International Conference on Multimodal Interaction (ICMI), ACM Multimedia, IEEE International Conference on Automatic Face and Gesture Recognition (FG), International Conference on Acoustics Speech and Signal Processing (ICASSP), ACM International Joint Conference on Pervasive and Ubiquitous Computing (Ubicomp), Affective Computing and Intelligent Interaction (ACII)などがあり,様々な研究発表の場が整備されている.一方,日本国内においては,「社会的信号処理」に関して発表する主要な場が存在しない状況であり,研究者間の情報交換が難しい状況であり,コミュニティも十分に形成されていない.このような状況を踏まえて,本OSは,社会的信号処理の研究に携わる,国内の研究者を一堂に集め,研究発表・議論を行う場を構築することを目的としており,国内の社会的信号処理研究の発展,コミュニティの形成を行う上で重要な機会として位置づけている.

キーワード

  • 社会的信号処理
  • マルチモーダル
  • マルチメディア
  • 信号処理
  • 機械学習

OS-12 画像とAI(MIRU2019プレビュー)

オーガナイザ

  • 長原 一(大阪大学)
  • 川崎 洋(九州大学)
  • 岡部 孝弘(九工大)

内容・テーマの例

コンピュータビジョン・画像処理においてAIが活用されるようになり、目覚ましい進展や新しい応用が拡がっている。本セッションでは、画像と映像に関する国内で最大級の会議であるMIRUにおける発表者を中心に、当該分野を代表する研究者に発表・講演を募る。

キーワード

  • コンピュータビジョン
  • 画像処理
  • 画像認識
  • MIRU

OS-13 “ナッジ”エージェント:人をウェルビーイングへと導くエージェントの構築へ向けて

オーガナイザ

  • 小野 哲雄(北海道大学)
  • 今井 倫太(慶應大学)
  • 植田 一博(東京大学)
  • 山田 誠二(国立情報学研究所)

内容・テーマの例

行動経済学において提唱されている“ナッジ”(nudge) は「ほとんど気づかないくらいにささやかな方法」で人々を健康や幸福へと導く戦略 [Thaler 08] として知られ、Thaler は当該研究の業績により2017年にノーベル経済学賞を受賞した。
AI や IoTなどの情報技術の急速な発展により、社会システムのリデザイン (再構築) が求められている現在、我々は “ナッジ” を「心のナビゲーション」として捉え、それをこれまで研究を進めてきた Human-Agent Interaction (HAI) の基盤技術により“ナッジ” エージェントとしてモデル化および実装することにより、人々をウェルビーイングへと導くことが可能な、新しい社会的インタラクションの枠組みについて議論したい。
本OSのテーマはきわめて学際的であるため、AI研究者およびHAI研究者ばかりではなく、心理学、行動経済学、神経科学の研究者との協働により議論を深めていきたい。
テーマの例としては以下が想定される。

  • 人の意思決定を促すエージェントのモデル化と実装
  • 「心のナビゲーション」としての”ナッジ”の役割と機能
  • 人の意思決定に影響を与える要因についての心理学的考察
  • 認知的バイアスがHAIのインタクラションに与える影響
  • 時間と意思決定:神経経済学の視点から

キーワード

  • HAI
  • ナッジ
  • 行動経済学
  • 意思決定
  • 選択アーキテクチャ

OS-14 人狼知能と不完全情報ゲーム

オーガナイザ

  • 稲葉 通将(広島市立大学)
  • 片上 大輔(東京工芸大学)
  • 狩野 芳伸(静岡大学)
  • 大槻 恭士(山形大学)

内容・テーマの例

【主な内容】
本企画セッションは,不完全情報ゲームと不完全情報ゲームの一つである人狼を対象にして,「人間と自然なコミュニケーションを行うエージェントの構築およびその関連研究」に関する議論の場を提供することを目的とします.本セッションに関連する技術は,エージェント同士もしくは人間とエージェント間の信頼・説得・協調関係の構築や,欺瞞的コミュニケーション,ノンバーバルインタラクション,多人数インタラクション,自然な対話生成,不完全情報に基づく推定,雰囲気の理解と生成など多岐にわたります.これらは,将来の人工知能と人間とのコミュニケーションが密になるにつれて必ず必要となる技術であり,この様なテーマを凝縮した不完全情報ゲーム環境において,人工知能学会をベースとして統一した議論を行うことは今後のAI研究の発展に欠かせないと考える.

【テーマの例】

  • 新しい人狼知能エージェントの提案
  • 不完全情報ゲーム
  • 信頼・説得・協調力のある知的対話システム
  • 新しい人狼知能プロトコルの提案
  • 多人数コミュニケーションにおける信頼・説得・協調
  • ノンバーバルインタラクションによる信頼・説得・協調
  • 欺瞞的コミュニケーション研究
  • 不完全情報に基づく人狼の役職推定
  • 多人数の議論における空気を読む・生成するシステム

キーワード

  • 人狼知能
  • 不完全情報ゲーム
  • 多人数コミュニケーション
  • ノンバーバルインタラクション
  • 欺瞞的コミュニケーション
  • 信頼・説得・協調

OS-15 人とAIが織りなす新たなエコシステム

オーガナイザ

  • 中川 裕志(理研 革新知能統合研究センター)
  • 山川 宏(ドワンゴ人工知能研究所/全脳アーキテクチャ・イニシアティブ)
  • 浅田 稔(大阪大学)
  • 井上 智洋(駒沢大学)
  • 江間 有沙(東京大学)
  • 金井 良太(アラヤ)
  • 高橋 恒一(理研)
  • 萩田 紀博(ATR)
  • 堀川 優紀子(ATR)
  • 松原 繁夫(京都大学)

内容・テーマの例

AIが人々の生活の中に浸透するにつれ、そのメリットのみならずリスクも危惧される。身近には、データ処理によるバイアス、職業への影響面が指摘されている。また中長期的には、貨幣経済、資本主義、法制度、倫理観、労働の価値、民主主義などといった社会的枠組みも影響をもたらしうる。特に今後のAIにおいて汎用性、自律性、ネットワーク化が進むことで、様々な変化が加速し、社会や個人がその変化に追随すること事態が困難となりうる。人の能力がAIで拡張されたとしても人とAIが織りなすシステムの全体は大自然の如く複雑広大であり、個人としても人類全体としても、それを完全には理解し把握できない。
こうした背景を踏まえれば、人々が速すぎる変化から守られつつ遍く恩恵を得られ、なおかつ持続可能な形を造り出すためのエコシステムを新たに構築することは急務である思われる。なすべきことは数多いが、例えば、AIは不具合やハッキングを避けなが高度なロバスト性をもたせる必要がある。AIと人間の対話のあり方はいかにあるべきか。さらに技術進展にキャッチアップしたリスク管理や法制度整備をおこなうためにマルチエージェントシミュレーションなどを用いる必要も生ずるだろう。AI自身が持つべき価値観(公平性/公正性を含む)や、AIが占めるべき法的および倫理的な地位(人格)や責任についての研究も必要である。
多様な懸念事項に対処するには基本的には多面的なアプローチを取らざるを得ない。学術的には、計算機技術のみならず、倫理、哲学、経済、社会、心理、法律、歴史、政治、社会などのさまざまな分野の専門家の声を取り入れてゆくことが有効であろう。さらに、日本のAI学会としては、東洋もしくは日本の価値観を活かしながら世界的なコラボレーションにむけて貢献できるよう、技術的な議論を深める場をつくることは有意義であり。こうした活動を起点として国内の関連した活動を連携させる動きに貢献したい。

キーワード

  • エコシステムのフレームワーク
  • Human Agent Interaction
  • Multi-Agent System
  • 公平性/公正性
  • AI人格と責任

OS-16 臨床の知

オーガナイザ

  • 諏訪 正樹(慶應義塾大学)
  • 藤井 晴行(東京工業大学)
  • 加藤 文俊(慶應義塾大学)

内容・テーマの例

60~70年代に提言された情報処理パラダイムは、人の知能を「頭の中に格納された知識やアルゴリズムにしたがって、世界の情報を処理して、新たに情報をつくりだしたり、意図を生み出して世の中に働きかける」こととしてモデル化する考え方である。情報処理の考え方にしたがうならば、知能とその主体を取り囲む世界は、情報入手と、情報もしくは行動の出力という、入出力行為で結ばれることになる。人工知能研究はこの考え方に礎を置き、発展を遂げてきた。
しかし、70年代には、哲学分野からフレーム問題というAIにとっての障壁が指摘され、80年代以降、認知科学分野からはsituated cognitionという考え方が台頭した。これらの動向は、情報処理パラダイムが知能のモデルとして不十分であることを示唆する。それ以降、知能は身体という物理的な存在に宿っていること、したがって身体を通して世界の中に埋め込まれていること、情報は受動的に世界から与えられる(入力される)ものではないこと、知とは、身体と世界の相互作用の中から主体が能動的に見出すものであること、などが活発に議論されてきた。
この考え方に立つならば、主体が埋め込まれている現実世界(各々の「現場」と言ってもよい)の個別具体性や、主体の身体性および主観性は、知能を論じる際に捨象するわけにはいかないはずである。近代科学が良しと定めてきた原則、<普遍性><客観性>を無自覚に信奉していると、研究が捉える知の姿と「生きている人」の知のあり様には、どうしても大きな乖離が生まれてしまう。哲学者の中村雄二郎氏は著書『臨床の知とは何か』でそれを切に訴えている。
人の知のあり様は、多くのことがまだ謎に包まれている。暗黙知の壁が高く、深く掘り下げて探究できていない。その理由は、今もなお、近代科学の原則(特に<普遍性>や<客観性>)に則っていないと、研究として評価されない風潮が、知能の研究界にも根強いからではないだろうか。その結果として、主体が埋め込まれた状況の個別具体性、および身体性や主観性の中に生起している「現実世界の豊かな諸相」を捉え損ねることになる。
本OSは、中村雄二郎氏の著書にちなんで「臨床の知」と称する。客観性や普遍性の原則を念頭に置きながらも、個別具体性、身体性、主観性を強く孕むデータを尊重し、「知の現実の豊かな諸相」を浮かび上がらせるための「視点(世界の見かた)」を発見したり、有望な「仮説」を見出す研究の場としたい。そのために、生活や産業における(人が生きる)現場で生じているものごとを、個別具体性、身体性、主観性を大事にする方法で記述・観察し、たとえ証例数(心理学ではNという文字で表すことが多い)が少なくても、その中に面白い「視点」や「仮説」を見出そうとする研究の投稿を促す。この問題意識を共有する知能の現場は、少なくないはずである。

以下に示す、様々な現場で生じている知の姿を論じる研究を、本OSのテーマとして取り上げたい。

  • 学校における学び
  • 学校における教育・ファシリテーション
  • 産業界における学び
  • 産業界における教育・ファシリテーション
  • 技能伝承
  • リハビリテーション
  • 医療行為・看護
  • 地域施設のデザイン
  • 住まいのデザイン
  • 都市や建築における居場所の創造
  • 建築空間におけるふるまいの記述
  • 企業の経営
  • 企業の人材教育
  • アートや音楽などの創造
  • 庭園空間の鑑賞体験
  • 生活における感性・個性の醸成
  • 日常の生活経験に潜むデザイン・マインド
  • 地域の価値の発見
  • 小集団(家族、組織)におけるコミュニケーションの理解
  • コミュニティのデザイン
  • シビックプライドの醸成

キーワード

  • 臨床
  • 個別具体性
  • 主観性
  • 現場
  • 研究方法論

OS-17 農業とAI

オーガナイザ

  • 小林 一樹(信州大学)
  • 竹崎 あかね(農研機構革新工学センター)

内容・テーマの例

内容:
近年,日本では農業就業人口の減少と農業従事者の高齢化が進んでおり,農家の生産性と生産所得の低下が懸念されている.また,国全体において食糧の安定な供給に影響を与える可能性があり,現在農業分野では革新的な変化に対する期待が高まっている.その変化を主導する主体として情報通信技術(ICT)やInternet of Things(IoT),人工知能(AI)が注目されている.農業分野にICTやIoT,AI関連技術を導入することで生産の効率化と生産性と品質の向上を確保することができ,農業全体の価値の上昇も期待される.本OSは農業のスマート化を実現するための基盤技術について考察し,様々な先端技術を農業分野と融合させることで,農業現場における生産性の拡大と生産作業の効率向上を図る.

テーマ例:

  • IT基盤の営農支援・管理手法
  • 農業におけるセンサーネットワーク
  • 知識基盤の農業
  • 農業ITシステムにおけるデータの標準化
  • 収穫時期・量の予測手法
  • 栽培の自動化
  • 意思決定支援
  • ICTを用いた鳥獣・病害対策

キーワード

  • 農業
  • 農業情報
  • スマート農業
  • データ管理
  • センサーネットワーク
  • フィールドモニタリング
  • 農業IoT

OS-18 感情とAI

オーガナイザ

  • 日永田 智絵(電気通信大学)
  • 堀井 隆斗(電気通信大学)
  • 長井 隆行(大阪大学)

内容・テーマの例

感情は人や生物と人工物を分かつものとして,また知能とは異なるものとして考えられてきた.また,画像認識分野での研究成果を皮切りに深層学習が目覚ましい成果を上げたことで、人工知能が人の知能を超えるのではないかという議論もある.一方で認知科学や神経科学の分野では,感情は知能(いわゆる論理的な情報処理)と背反するものではなく,その一部であるととらえられており,また感情に関わる知能には身体的・社会的な情報を扱うことが重要だと考えられている.そのような考え方の中で,感情を理解できず感情を持たない人工知能が真に知能を獲得し,そして人の知能を超えることがあり得るのだろうか.
本セッションでは人工知能研究における感情へのアプローチを通して,感情の本質やメカニズムについての議論を行う.特に心理学や神経科学,認知科学など異なる分野における感情に関する知見を人工知能研究に取り込み,近年発展の著しい深層学習や統計的学習理論等を用いた構成的アプローチによる感情研究を促進することで,これまで曖昧なものだと思われていた感情の本質を明らかにしたいと考えている.そして真に人の知能に迫る人工知能研究への発展を目指す.
テーマ例:情動/感情モデル・認識・表出

キーワード

  • 情動/感情
  • 概念獲得
  • モデル化
  • Human-Robot/Agent Interaction
  • 機械学習

OS-19 「プロジェクション科学」の発展と応用

オーガナイザ

  • 岡田 浩之(玉川大学)
  • 鈴木 宏昭(青山学院大学)

内容・テーマの例

人間の認知的なメカニズムの解明とそのモデル化は、人工知能研究の理論的な基盤をなすものである。しかし近年、従来の理論的な認知モデルの限界も明らかとなってきた。本OSでは、認知科学的視点から「投射」(projection)を中心概念とした新たなモデルを提案し、将来的には現在の人工知能研究と融合させ、知的なシステムの構築に貢献することを目指す。
ここで述べた「投射」の概念について簡潔に説明する。人は外界から情報を受け取り、それについての「表象(内部モデル)」を作り上げていると考えられる。人の感覚や知覚はこの表象に基づいている。この感覚や知覚は脳という情報処理システム内に生じるのだが、人はこれを情報の提供元の性質と見なす。つまり、ここでは内部表象の世界への投射が起きている。通常はうまく働く投射であるが、様々な歪みも生じる。たとえば、ラバーハンド錯覚、フルボディ錯覚、腹話術効果などの実験室内の様々な現象、統合失調症における幻聴、幻視、失行症に見られる対象定位の不全などに見られる実在しない対象への投射、VR/ARによる臨場感、没入感などは人間の「投射」の豊かな広がりを示している。
プロジェクションサイエンスの応用としてはVR、ARを用いたテレイグジスタンスによる操縦が考えられる。操縦者の腕が,時間遅れの無いCGの操縦者の手,時間遅れの無いCGのロボットのアーム,遅れて動作する遠隔地のロボットのアームのいずれか,或いは複数に投射されることになる.これまでのテレイグジスタンスの蓄積からすれば,投射される対象の「身体保持感(Sense of Ownership)」が高い対象をより良く操ることが可能と予想されるが,作業において,最も重要なのは,実際に作業を行うロボットアームをより良く操ることであり,遠隔地のロボットアームの「所有感覚」を高めることが重要である.しかしながら,時間遅れが大きくなると,ロボットアームの「保持感」が急激に低下することが明らかとなっている.
本OSではこれまでのプロジェクションサイエンスの基礎的な知見を元にその応用にまで及ぶ議論を深めたい。

キーワード

  • 認知科学
  • 投射(プロジェクション)
  • Projected Reality
  • エージェント
  • VR/AR

OS-20 脳波から音声言語情報を抽出・識別する

オーガナイザ

  • 新田 恒雄(早大/豊橋技科大)
  • 桂田 浩一(東京理科大)
  • 入部 百合絵(愛知県立大)
  • 田口 亮(名古屋工大)

内容・テーマの例

内容:
脳波信号から音声言語情報を抽出して識別する研究が始まっている。ここ10年はfMRI, PETなどの観察から,概念–> 言語表現プランニング–> 音節・単語・文表現–> 発話運動神経系に至る活動関与部位に関する多くの知見が得られ,これらの知見を受けた脳波観測から言語活動を推定する研究が活発である。音声言語に関する脳波研究では,脳皮質上のセンサーから脳波(Electro-Cortico-Gram; ECoG)を検出する研究が先行しているが,頭皮上で観測した脳波(Electro-Encephalo-Gram; EEG)信号を用いる研究も実現すると応用が広いため意欲的に進められている。本オーガナイズドセッション(OS)では,主に後者の発話時EEG信号あるいは音声想起(speech imagery)時EEG信号から,単語,音節,短文などを分析・特徴抽出・識別する近年の研究成果を中心に紹介・討議する。
具体的には,雑音・artifact除去,言語情報抽出のための分析・合成写像方式,識別における課題と解決方法などを討議したい。本OSを通して,欧米に比べて遅れ気味の「音声言語に関するBrain Computer Interface (BCI) 研究」が前進することを期待している。

テーマの例:

  • 脳波のための分析モデル
  • 脳波中の高次認知機能の分析
  • 高次認知活動に関する脳波信号と雑音除去
  • 脳波における音素・音節の表現形態
  • 脳波信号からの音声言語特徴抽出
  • 発話時脳波信号からの音声識別
  • 音声想起時脳波からの想起内容識別
  • 脳波に対する音素・音節ラベリングツール

キーワード

  • 脳波信号
  • 脳波からの雑音除去
  • 音声想起
  • 脳波分析・特徴抽出
  • 音節・単語・文識別
  • 音素・音節ラベリング

OS-21 プロセス中心のシステムデザインとラーニングアナリティクス

オーガナイザ

  • 緒方 広明(京都大学)
  • 近藤 伸彦(首都大学東京)
  • 瀬田 和久(大阪府立大学)
  • 平嶋 宗(広島大学)
  • 松居 辰則(早稲田大学)
  • 堀口 知也(神戸大学)

内容・テーマの例

近年,単に知識や技能を習得するだけでなく,問題に対して論理的・批判的に思考するコンピューテーショナルシンキングやクリティカルシンキングといった能力を育成することへの関心が高まっている.このような学習をコンピュータ・システムによって支援しようとするとき,学習の成果物(プロダクト)のみを評価する従来の手法では不十分であり,学習の過程(プロセス)をデータに基づいて評価する手法を確立することが不可欠となる.種々の情報端末やLMS等に記録された大量・詳細な学習行動履歴データを分析・活用しようとするラーニングアナリティクス研究は,データ主導の立場からこの問題へアプローチすることを可能にするものである.一方,どのようなデータが重要かつ取得に値するかを教授・学習のモデルに基づいて考察し,その収集・活用をシステムの機能として実現するモデル主導による方法も,知的学習支援システム研究において試みられてきた.2016, 2017年度のOSでは,これら二つのアプローチによる様々な研究を一堂に会することで相互の交流と議論を深めてきた.最終年度となる本OSでは,これまでの議論を踏まえ,社会的諸活動におけるエビデンス(科学的根拠)及びアカウンタビリティ(説明責任)を果たすことに向けた両者の協働へのより具体的な方法論を得ることを目的とする.

  • 教授・学習のモデルに基づくシステム設計と機能の質保証
  • 論理的・批判的思考力養成の観点から見た学習支援システムの設計・評価
  • 学習支援システムにおけるログデータに基づく認知モデリング
  • LMS等に蓄積された学習ログに基づくラーニングアナリティクス
  • eポートフォリオに蓄積された学習成果データのテキストマイニング
  • 携帯情報端末により取得されたライフログの教育的利活用

キーワード

  • コンピューテーショナルシンキングとクリティカルシンキング
  • 教授・学習のモデル
  • ラーニングアナリティクス
  • 学習のプロセス
  • 学習行動履歴データ
  • データマイニング

OS-22 創作者と人工知能が創る創作の未来

オーガナイザ

  • 上野 未貴(豊橋技術科学大学 情報メディア基盤センター)
  • 森 直樹(大阪府立大学 工学研究科)
  • はたなか たいち(株式会社クリエイターズインパック)

内容・テーマの例

計算機は創作者が作品に込めた情緒を理解することができるのか?
近年,人工知能を用いて解析および生成の両面から,人の創作物を対象とした研究が進んでいる.
人がコミュニケーション手段として用いる言語や画像を中心としたストーリーを持つ創作物として,小説,漫画,絵本,アニメ,音楽などが研究対象として想定されてきた.
一方で,創作物をデータとして客観視するだけではなく,創作過程で込められた想いを主体的に扱い,創作者と研究者をつなぐための研究にも注目が集まっている.
人工知能分野では完成して公開された創作物を扱う事例が多いが,研究初期段階から創作者と連携し,人が考えて創る創作過程に発現する高度で繊細な情報を扱うことも今後重要になっていくと考えられる.
創作物の構成要素は言語と画像から成るなどマルチモーダル情報であることが多く,単一のコンテンツのみを対象として研究を進めるだけではなく,分野融合的かつ横断的な研究連携が望まれる.
また,研究者が単に創作物をデータとして扱い人工知能技術を適用するだけではなく,研究者と創作者をつなぐための方法論として人工知能技術を発展させていく視点が不可欠である.
本オーガナイズドセッションでは,創作者と研究者が人工知能を介して共存し豊かな創作の未来を築くことを目的として,研究的視点を持つ創作者,創作的視点を持つ研究者,本分野に興味を持つ者から,広く,創作物と工学の関係性に基づくタスク設計,データ構築,数値計算手法,望まれる応用開発,に関する研究を募る.

キーワード

  • 創作者と人工知能
  • 深層学習
  • マルチモーダルデータ
  • 機械学習
  • 創作支援