チュートリアル講演1
6月10日(水) 9:00~10:40 A会場(4F 5F 6F メインホール@熊本城ホール)
チュートリアル:AI系トップカンファレンスでの日本のプレゼンス向上を目指して ~最新カンファレンスの動向と論文採択に向けて~
世界的なAIブームの中で,人工知能関連のトップカンファレンスへの注目が高まってます.トップカンファレンスへの論文採録は,特に若手研究者にとって明確な業績となるだけでなく,その後の大きなジャンプアップに繋がります.その一方で,近年のトップカンファレンスは急激な投稿数の増加により採録へのハードルが非常に高くなっています.本講演では,トップカンファレンスへの論文投稿の敷居を下げ,若手研究者の挑戦を促進すること,および,日本からの投稿数/採録数を増やすことを目的として,近年のトップカンファレンスの動向まとめや英語論文を書く際のノウハウやテクニックについて紹介致します.
「トップカンファレンス報告会を通して振り返るAI分野のトレンド」
戸上 真人 先生
(LINE株式会社 DataLabs Speechチーム Manager,Principal Researcher / (社)人工知能学会 企画担当理事)
人工知能学会では,IJCAI, NeurIPSといった人工知能分野のトップカンファレンスに3~4名レポーターを選抜し,実際に会議に派遣した後,聴講内容をまとめセミナーを開催している.本講演では,このセミナーを通して見えてきた近年の人工知能分野のトレンドを簡単にまとめて報告する.
[ 略歴 ]
2002年東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻修士課程修了.2003年10月日立製作所中央研究所入社.
2011年東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻博士後期課程修了,博士(工学).
2017年Stanford Data Science Initiative Visiting Scholar.
2018年6月LINE株式会社入社.IEEE Senior Member.人工知能学会全国大会優秀発表賞,テレコムシステム技術賞,日本音響学会独創研究奨励賞
板倉記念,粟屋潔学術奨励賞などを受賞.
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「AI系トップカンファレンスへの論文採択に向けた試験対策」
鈴木 潤 先生
(東北大学 大学院情報科学研究科)
特に秀でた能力があるわけでもない普通の能力レベルの研究者が,これまで20年近く最難関国際会議への投稿を続けて得た経験と,それらの会議でreviewer/area chair等に従事して見えてきた知見やノウハウなど,いわゆる「試験対策(査読プロセス概要,論文内容の考え方,論文執筆時の細かいテクニック,賢い author response (rebuttal)の取り組み方,など)」を共有できたらと考えています.最難関国際会議への採録は,特別な選ばれし者のみが達成できるといったことではなく,きっちりおさえるべきことをおさえていけば,多くの人が十分に狙えるということを伝えられたらと考えています.
[ 略歴 ]
2001年 慶應義塾大学大学院 理工学研究科修士課程 計算機科学専攻修了.
同年 日本電信電話株式会社 コミュニケーション科学基礎研究所 入所.
2005年 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 博士後期課程修了 博士(工学).
2018年より東北大学 大学院情報科学研究科に所属 准教授.
主として自然言語処理,機械学習,人工知能に関する研究に従事.
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「簡単、楽ちん、論文の書き方 ~段階的アプローチ~」
杉山 昭彦 先生
(ヤフー(株) / 東京都立大)
簡単で楽ちんな論文の書き方を説明する.3点分析を行い,その結果を反映した発表用スライドを最初に作ることに大きな特徴がある.3点分析では,書こうとする論文に関して,価値,工夫,解決した問題の3点を順に明らかにする.価値とはその論文によって初めて達成されたことであり,工学であれば人々の生活に直結する利益となる.工夫は,価値を達成するために必須な技術,例えば利用する物理量,機械的な構造,処理または計算の工夫,あるいは特定の物質である.解決した問題は,価値の反対である.これら3点を用いて論文のタイトルを「機械的に」決定し,タイトルを用いて論文の概要にあるトピック文を作る.理解を深めるために,実際の例を用いて3点分析からトピック文作成までを実行して説明する.論文に何を書くべきかを論ずる数多くの文献と異なり,「何をどの順番で行うべきか」を具体的かつ段階的に示すので,初心者でも何をすべきか迷うことがなく,論文完成への最短経路となる.素晴らしい研究成果が査読者に正しく伝わらないために論文が採録されない著者にも,大きな福音となろう.
[ 略歴 ]
NEC中央研究所で通信及び信号処理の研究と技術開発に38年従事した後,2019年からYahoo! JAPAN研究所所属.
2016年から東京都立大客員教授.専門は,オーディオ並びに音響信号の処理.
1990年から継続的に,IEEE 及び同Signal Processing Society(SPS)で各種役職に従事.
2018年からIEEE Fellow Committee委員.IEEE SPS並びに同Consumer Electronics SocietyのDistinguished Lecturer,またSPSのDistinguished Industry Speakerを歴任.
27ヶ国75都市で143件の招待講演.書籍執筆17章,各種受賞19,日米欧加豪韓台伯で登録された217件の特許の発明者.
欧州,アジア,北米からの70人超をインターンシップで指導.
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チュートリアル講演2
6月11日(木) 13:40~15:20 A会場(4F 5F 6F メインホール@熊本城ホール)
チュートリアル:AI 倫理とガバナンス:世界動向と産業界の取り組み
中川裕志 先生
(理化学研究所革新知能統合研究センター)
2017年にFLIがAsilomar AI Principes として発表したAI倫理指針に続いて,IEEE EAD,EC-HLEGのEthics guidelines for trustworthy AI,内閣府の人間中心AI社会原則などの多数のAI倫理指針が公開された.これらを含む重要なAI倫理指針において取り上げられている主要項目と各AI倫理指針で焦点を当てた項目を俯瞰することによって,AI倫理指針の目指すところを明らかにする.
[ 略歴 ]
1975年 東京大学工学部卒業
1980年 東京大学大学院工学系研究科修了(工学博士)
1980年~1999年 横浜国立大学勤務
1999年~2018年 東京大学 情報基盤センター 教授
2018年~現在 理化学研究所・革新知能統合研究センター チームリーダ
東京大学名誉教授
人工知能,機械学習,AI倫理の研究に従事.
著書:『裏側から視るAI』近代科学社(2017),『東京大学工学教程 機械学習』丸善(2015)
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